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本や映画などのレビュー、感想など

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『日本の歪み』養老孟司x茂木健一郎x東浩紀 を読んで思うこと

養老孟司x茂木健一郎x東浩紀の三人による鼎談「日本の歪み」(講談社現代新書)を読んだ感想と自分ながらに思うところを述べた
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『充たされざる者』by カズオ・イシグロ。筋トレ用文庫本?

最近、カズオ・イシグロをたて続けに読んだ。文庫本5冊。数年前に読んだ3冊を合わせれば、多分この作家の文庫本はこれですべてだと思う。日本語に訳された本で残るのは、『クララとお日さま』のみ。こちらは単行本だけで、まだ文庫化されていない(後記:文...
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ゼロからの『資本論』by 斎藤幸平。資本主義について語ろう

以前、同じ著者の「人新世の『資本論』」について本ブログに書いた(人新世の「資本論」斎藤幸平著。う〜ん、マルクスかよ)。今回はその続編というか、シリーズというか、2023年1月にNHK出版新書から発刊された「ゼロからの『資本論』」に関するレビ...
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映画『帰れない山』と『Aftersun』

最近見た映画から標題の二本についての感想。 ともにヨーロッパの映画で、『帰れない山』がイタリア映画で、『アフターサン』がイギリス映画。どちらの映画も親子の関係がストーリーの一つの柱となっている。『帰れない山』は世間でありがちな父と息子の断絶...
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黒澤映画のリメイク版 ”In living”(邦題『生きる』)を見て

黒澤映画「生きる」の英国リメイク版 "In living"(邦題、「生きる」)を見た。原作と見比べ、私なりの感想を書いた
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エベレスト 1996年5月の遭難事故

1996年5月のエベレスト遭難事故についての映画と当事者による2冊の本を読んだ考察
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『22世紀の民主主義』by 成田悠輔

最近読んで面白かった本だ。著者はTVのコメンテーターとして見かけることが多くなってきたので、左右が〇と▢の面白いメガネをかけた新進気鋭の人といえば、思い出す方も多いだろう 『22世紀の民主主義』― 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコにな...
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映画『アルピニスト』

梅雨の戻りなのか、行きたい中部山岳地帯の天候が安定しない。個人的に日本百名山の仕上げを計画している北海道も、一般的に7月に入ると天候が安定すると言われているが、今シーズンは蝦夷梅雨のような不安定な状態で天候が安定してしまって、どうにもこうに...
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映画版『ドライブ・マイ・カー』

コロナ前には月に1-2回出かけた映画も、すっかりご無沙汰状態だったが、少し前に久しぶりに足を運んだ。平日なのでガラ透きかと思えば、想定以上に人がいた。海外でいろんな映画賞を受賞しつつある濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』 海外で注目され...
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『生物と無生物のあいだ』福岡伸一著。講談社現代新書刊

ずっと気になっていた本があった。タイトルがひっかっていた。何故かというと、リケジョの姪っ子が学生時代に研究していたのが、生物と無生物の区別についてだった。ボソッと語った研究テーマが妙に頭の隅に引っかかっていた。某通信会社の基礎研究所に就職し...
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NHK「青天を衝け」でふと思ったこと

今年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」は、渋沢栄一が官を辞めて民に下り、次々と起業する終盤のクライマックスへと突入する。明治維新の頃の主人公なので、史実がはっきりしており、脚本家が想像を挟む余地は少なく、ドラマは私が8年くらい前に読んだ本の内...
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人新世の「資本論」斎藤幸平著。う〜ん、マルクスかよ

少し前に本ブログで、これから30年後に向けて、私が考える日本の目指す姿について拙論を述べた (『日本を今一度せんたくいたし申候』―私が考える日本の将来像-) ざっくりいえば、■人口の減少に合わせて、自然と共生する住みやすい住環境をつくる■経...
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『民主主義とは何か』宇野重規 著

4年前(2017年)の夏、このホームページを開設して気の向くままにブログを発信してきた。年寄りがブツブツと独り言をつぶやいているようなブログなので、普段は来訪者も少なくアップして数日もすれば顧みられることもほとんどないのだが、熊野古道や槍ヶ...
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『イノベーションのジレンマ』

7月12日に東京に対する緊急事態宣言が出された。首都圏の感染の拡大状況をみれば、お盆も帰省できそうもない。というわけで、宣言が発令される前に実家に母親の様子を見に行った。実家で本棚を整理していたら、すっかり忘れていた以下の本が出てきた “T...
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司馬遷『史記』

今年の長梅雨を活用して、「雨読」を楽しんだ。コロナ騒ぎもあり、どこにも出かける気がしないので、本棚から以前読んだ本を引っ張りだしては読み耽っていた。その中に、北方謙三の『史記 ー 武帝紀』(ハルキ文庫、全7巻)があり、今回も読みだしたらあっ...
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『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』の紹介(長文メモ)

野中郁次郎ら共著の『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』の要約を試みた。長文、拙文許されたし
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『南総里見八犬伝』- 江戸版ワンピース?

千葉県民になって20年になる。こんなに長くこの地に住むことになろうとは思いもしなかった。千葉県民といっても、すぐ近くを流れる旧江戸川を渡れば東京都なので、天気予報などは東京を参照している。日課としているTDR周辺のウォーキングでは、東京湾に...
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『極夜行』(文藝春秋 角幡唯介著)を読んで、山での夜明け前歩行について考えた

山登りに出かけると、夜が明け始める前に動き出すことが多い。その日の行程が長いとか、午後になると天気が崩れるとか、夏は暑いので涼しいうちに距離を稼ぐとか、標高を上げたところでご来光を拝みたいとか、それなりの理由があって夜明け前から動き出す 岩...
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「深重の海」by 津本陽

作家の津本陽さんが無くなったとの訃報に接した。信長を描いた「下天は夢か」など、歴史ものが得意な作家だ。特にこの作家のファンというわけではない。たまたまつい最近、1978年の直木賞受賞作である「深重の海」(じんじゅうのうみ)を読んだばかりで訃...
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笹本稜平の山岳小説

少し前にある本を探しに書店に出かけ、たまたま手にした本がある。笹本稜平の「分水嶺」(祥文社文庫864円)だ。興醒めになるのであらすじは書かないが、冬の東大雪山系を舞台にして絶滅したとされるオオカミを探し求める男を描いた作品だ。とにかく面白く...