北穂高岳 東稜、ゴジラの背を行く(2018/08/02-03)

北穂高岳/東稜

2018.08.04 23:48

今回の歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 48278 m
最高点の標高: 3057 m
最低点の標高: 1510 m
累積標高(上り): 8153 m
累積標高(下り): -8157 m

以下は私のGPS記録をもとにGoogle Earth Proを用いて作成した歩行軌跡の動画で約50秒の長さ。歩行速度によって赤線の進む速度が変わる。画像右下の三点リーダーで再生スピードを変更できるのでお好みの速度でご覧ください。

1日目山行の詳細

先週の御嶽山が思いのほか涼しく快適だったので、調子に乗って北アルプスに出かけた。北アの銀座のような涸沢をベースに北穂高岳を目指す。今回は地図に実線も破線もないバリエーションルート。ペンキの印も赤リボンも何もない稜線を行くルートだ。自分が行けると思うルートをファインディングしながら登るスタイル。ルーファイと岩登りの技術が求められる

高山のアパートから45分で平湯のアカンダナ駐車場に到着。岐阜県側から上高地へアクセスする玄関口。東京にいた時の通勤時間より短い。本当に地の利だ。できれば4:50の始発バスに乗り、少しでも涼しいうちに登りたかったが、この日は10時に外せない電話会議があり、電波の届く横尾山荘に10時に着くよう5:50発のバスに乗車した。まずは上高地の定番、梓川と河童橋をいれて穂高を眺める。今日もいい天気だ

上高地から歩くこと2時間45分、横尾山荘に9時半に到着。木陰に場所を確保して電話会議に備える。仕方ないな。週末の混雑を避けるために、木曜と金曜に休暇を取って出かけてきたのだから。ここで1時間を過ごし、10時半に登山再開

長くて遠い涸沢への登山道を横尾山荘から進むこと2.8キロ。本谷橋のかかる沢に出た。沢で顔を洗う。冷たくて気持ちいい。なにせ暑い。今回はテント泊装備を担いでいるのでザックも重い。ここからベース基地の涸沢まで2.4キロ。以降、沢に出るたびに冷たい水で顔を洗う

中央のピークが目指す北穂。テンション上がるも足は上がらず。あと少しが長い

青息吐息で午後1時半に涸沢ヒュッテのテント場に到着。平日に休暇を取ってきてよかった。テントは少ない。中ほど左が涸沢小屋。中央の谷の奥が明日登る東稜

マイテント設営完了。幕営料金は一人一泊1000円。岩だらけのサイトなので、マットを敷いても背中にごつごつ感が。1枚500円のコンパネ(分厚いベニヤ板)を借りてテントの下に敷く。これで快適。明日に備えて東稜の取り付きの下見に行く予定が、ヒュッテのテラスに直行し、生ビールx2と名物のおでんですっかりくつろぎモード

テン場から穂高連峰をパノラマ撮影。北穂、奥穂、前穂に抱かれるような場所に涸沢は位置する。高い山に囲まれているせいか、銀座のようなメジャーな基地なのに携帯の電波が届かない。まぁ、下界から隔絶されてこれはこれで良い

東稜の全景。中央やや右が通称ゴジラの背と呼ばれる核心部分。左端が北穂山頂。目にしっかり焼きつけイメージを膨らませる。絶景を見ながらテントで早めの夕飯にする。ヒュッテのテラスで購入したロング缶と普通サイズの缶では足らず、280Mlのペットボトルに詰めてきた焼酎も空っぽになる。いい気分になって6時過ぎには熟睡。この日の登りはほんとにきつかった

2日目山行の詳細

翌朝4時15分にヘッドランプを点けて出発。南稜に向かう一般登山道を登っていると奥穂がモルゲンロートに染まる

東稜へ向かう3人組の先行パーティー。ガレ場を登り右斜め上にガレ場を詰めて、最後は右側の岩場を登って尾根に出る。私は東稜への分岐点を見逃し、やや上まで進んでしまい、彼らより上部からガレ場に向かった

尾根への岩場を攀じ登っているときにイワギキョウ。お花撮影している程の余裕がある岩場ではなかったけど・・

尾根を反時計方向に回り込むように涸沢側とは反対の斜面のトレースを進み、いよいよ岩の稜線に向かう。ここからは尾根通しに岩稜を突き進む

尾根を回り込むと右手方向(涸沢とは反対側)に槍ケ岳方面の山々が見えるが、槍はまだ見えない

ひたすら稜線を進む。岩は安定しており、スタンスもホールドもしっかりしている。左上隅にゴジラの背が見える

通過してきた尾根を振り返る。写真右(進行方向左手)の涸沢側にキレ落ちているテラスのような岩を渡り歩いてきた

さらにゴジラの尻尾のような曲りうねる尾根を進む。左上のゴジラの背に一歩ずつ近づく

ゴジラの背を通過中。涸沢側にストンと切れ落ちた岩壁を回り込む。写真中央の岩に下り立ち、写真右方向に岩壁を巻いて進んだ

この岩の左の絶壁、恐ろしかったが、気合を入れて強引に通過。高いとんがり岩の手前を登って反対側に回り込むのが楽そうに見えたが、そこまで進んで反対側もキレ落ちていたらここまで戻ってくるのがちょっといやらしい。というわけで、写真中央やや下の亀裂のような部分を最初に取り付く縞にしてステップを置いて進んだ

通過して反対側を見ると安全に通過できるではないか。やっぱりとんがり岩の手前を登って反対側に移るべきだった

右下のナイフリッジのような稜線を進む。ゴジラの背もあと少し。写真一番上のピーク上に北穂小屋が見える

ゴジラの背の最後のピーク。ロープで懸垂下降する人が多いが、ピークの右斜め下にクライムダウンすることも可能。懸垂可能の練習の成果を試そうかとも思ったが、道具は重たいので家に置いてきた。選択の余地なくクライムダウンルートを進む

クライムダウンして最後のピークを振り返る。写真左側を斜めに下りてきた(進行方向に向かって右手方向)。見た目より簡単に下りられる。これで核心部のゴジラの背を通過

さぁ、気を抜かずに山頂めがけて稜線を登り詰める。小屋のすぐ横に見えるピークは右側に巻くようにトレースがあった。先の方でトレースは左右に分かれる。右に進めば槍からのキレット縦走路に合流するようで、左へ進むと北穂小屋の売店側の木の梯子に出る。左が定番

北穂山頂を目指す右側に槍ケ岳からの縦走路が見える。素晴らしい眺めだ

岩稜帯の最後の登り。ゴールは近い

小屋の直下に出た。テラスの左端にあるのが東稜から来た登山者用の木の板の梯子。朝8時のせいか、テラスのギャラリーは少ない。ちょっと残念

小屋の裏手のすぐ上にある北穂山頂。テラスでビールの祝杯をあげた後に来た。居合わせた人に撮ってもらう

槍とは反対側のパノラマ。手前が北穂南峰。その奥の左に前穂高の北尾根、中央奥に奥穂、その右に西穂へ続く稜線。ロバの耳やジャンダルムの鋭いピークが見える。さぁ、一般登山道の南稜を下って涸沢に戻ろう

下る途中でゴジラの背を眺める

ゴジラというよりイグアナやカメレオンにも見えてしまう(笑)

東稜と反対側には前穂の北尾根がきれいに見える。左下から6峰、5峰、4峰、そして3峰と2峰と前穂の3つのピークはほとんど一つにかたまっている。一昨年の秋に5,6のコルから北尾根をやったが、こちらもバリエーションルート。特に4峰と3峰の登りが核心部できつかった

涸沢ヒュッテのテラスに10時に下りてきた。悪くないタイムだ。ろくな朝ごはんを食べていないので、ここで昼食を兼ねてカレーと生ビール。もちろん東稜を愛でながら

こちらは奥穂。テント撤収中に撮影。右側のコルに穂高山荘が少し見える。そのうちにこちらも再訪しよう。テントの撤収は相変わらずへたくそで初心者だ。この日も小1時間かけて片付けた。晴れだから良いものの、雨だったらお手上げだな。ヒュッテで冷たい水を1.5Lつめて下山。金曜日はかなりの登山者が登ってきた。土曜はもっとすごいんだろうな

2日目は下りが大半とはいえ、北穂の往復含め久々の20キロ越えのロング歩行。横尾からのダメ押しにヘトヘトになる。やっぱり夏はダメだ

徳澤園まで下りてきた。横尾山荘でポカリ一本、ここでソフトクリーム。次の明神館でもポカリ一本。とにかく暑い!そして疲れた。徳澤園の気持ち良い草原のようなテン場でもう一泊しようかと一瞬迷う。徳澤はお風呂にも入れるし、レストランもある。う~ん、着替えがないのでやっぱり帰ろう。ここから明神館を通って上高地までの1時間半が辛かった

バスターミナルには4時半のバスの出発ギリギリに着いた。補助席に座ったが、路線バス仕様のバスだったので、大きなザックを通路両側の人にこすりながら車中を進み迷惑をおかけした。さらに両側の座席の人には体から汗臭い湯気が出るような状態だったので不快な思いをさせてしまった。一本遅らせて汗がひいた後に乗るべきだったと反省

暑さにやられた今回の山行だったが、久しぶりに岩稜歩きを楽しむことができ、無事に帰ってこられたことに感謝感謝! 

なお、この山行のコース概況、タイムなどの詳細は、以下の記録を参照されたし

山行記録: 北穂 東稜。涸沢テン泊 ☜ ヤマレコの記録

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