計画に当たって
1907年(明治40年)頃に繰り広げられた陸軍参謀本部陸地測量部と日本山岳会による剱岳(つるぎだけ)の初登頂争いを題材にした新田次郎の小説『劔岳 点の記』(文藝春秋、1977)
2009年6月には映画化され公開された。測量隊の隊長役に浅野忠信、その先輩役に役所広司、測量隊の隊員には松田龍平らが、日本山岳会の登山隊リーダーには仲村トオル、測量隊の案内役の宇治長次郎の役には香川照之がキャスティングされた映画だ
当時、山を再開する前だった私は、フレックスを利用して平日午後に映画を見た記憶がある。修験者の言葉、「雪を背負って登れ、雪を背負って下りよ」の言葉を頼りに長次郎の案内で「三ノ沢」の雪渓を登るルートにて測量隊が初登頂に成功する
後に「三ノ沢」は長次郎の名前をとって、長次郎谷(ちょうじろうたん、この地方では谷を”たん”と呼ぶ)と名付けられる
20代の頃に別山尾根で剱岳に登り岩稜の面白さを味わったのだが、この映画を見て雪渓ルートを知った。以来、気にはなっていたが、50代後半から山を再開した自分に登れるのか自信がなかった
山を再開してからこれまで何度も別山尾根で登り、長次郎谷の雪渓も上部の「熊の岩」辺りまで登り詰めたし、別ルートで長次郎のコルから剱岳本峰へも登ったりもした。今回の登りのルートの9割程度はすでに経験している
あとは長次郎谷の雪渓を登り切り、体力を残して平蔵谷(へいぞうたん)の急な雪渓を下れるかどうかだ。ダメなら長次郎谷を引き返すつもりでやってみようと、60代最後の歳に最初で最後の挑戦として計画した
歩行ルート図と標高グラフ
GPSの記録において、以下の区間で歩行ログがうまく取得できなかった:
① 2日目の剱沢の登り返しの途中から剱御前小舎まで(原因不明)
② 3日目の雷鳥荘からみくりが池(起動忘れ)
上記区間は歩行の軌跡が直線となって記録されている。①については往路とほぼ同じルート取りで剱御前小舎(つるぎごぜんしょうしゃ)に戻っている。②についてもジグザグの登山道を歩いている。両方とも大勢に影響ないので手修正は行わず、生データを用いて作成したので、悪しからずご了承願いたい
2D歩行ルート図と標高グラフ
最高点の標高: 3002 m
最低点の標高: 1968 m
累積標高(上り): 3332 m
累積標高(下り): -3337 m
3D歩行ルート動画
以下は私のGPS記録をもとにGoogle Earth Proで作成した3Dツアー動画
動画の作成条件は、カメラ角度40度、カメラ高度5000m、作成速度は再生時間が60秒程度になるよう作成している。再生速度はYouTube画面右上の設定ボタンから変更できるので調整されたし
山行の詳細 Part – ①
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一日目:扇沢駅から室堂へ。立山を雄山から別山に縦走し剱御前小舎泊

TDL近くの自宅を深夜1時に出立し、扇沢の駐車場に5時ごろ到着。しばらく休憩後に扇沢駅へ。Web予約した7時半発の始発でアルペンルートに向かう。天気予報通りの素晴らしい晴れ

まずは電気バスで黒部湖へ。中央奥は日本百名山の一つ薬師岳。黒部ダムの上を歩いて対岸のケーブルカー駅へと向かう

次はケーブルカーに乗ってロープウェイの黒部平駅へと向かう。土曜日ながらこの時期は夏シーズンや紅葉シーズンのような混雑はない

室堂(むろどう)駅から雪の上を歩いて一の越へと向かう(写真中央の鞍部)。スキーやボードの方、登山者の方がメインで、稀に観光客の方もいる。スニーカー等ではなく、登山靴やスキーブーツなど適切な履物であれば、アイゼンなどの滑り止めの装着は不要
中央の一の越の右側が浄土山、すぐ左が雄山(おやま)。アルペンルートの最後のバスは、雄山の真下のトンネルを通ってロープウェイの大観峰(だいかんぼう)駅から室堂にやってくる

雪面に差してある竿に沿って歩けば一の越へ着ける。ガスの時は竿を見失わないよう要注意。写真の中央は、雪渓が少し途切れるところ

一の越山荘直下も雪がない夏道を歩いて登る。上部に山荘が見えている。この時期はサングラスや日焼け止めクリームは必需品

一の越山荘まで登り上げれば、遠くに北アルプスの南部を代表する槍ヶ岳と穂高連峰の山並みも見える

雄山山頂へ向かう登山道は完全に雪解けで露出している。降雪や気温が低くならなければ、室堂から雄山山頂まで普通の登山靴で登ることができる

山頂の社務所前から雄山神社の祠を見上げる。開山前なので、拝観料不要で祠まで行くことができる

雄山山頂(3,003m)に立ち、山頂の祠の横からの眺め。雄山から別山(べっさん)への縦走路も夏道を通って行けそうだ。直近の雨や夏のような暑さで一気に雪解けが進んでいる

雄山山頂から見下ろす。中央左の雪の平原が歩いてきた室堂平で、写真右端下が雷鳥沢のキャンプ場。後ろに聳えるのが大日三山。まだまだ雪に覆われた姿を楽しめる

立山最高峰の大汝山(3,015m)の直下より雪に囲まれた大汝休憩所を撮影。松山ケンイチが主演を務めた映画『春を背負って』で撮影に使用された小屋だ

前方から私と逆回りの登山者二人が雪渓の上を歩いてやってくる。ほぼ夏道で富士ノ折立(2,999m)まで行けるが、どっちを進むかはそれぞれの好み
この辺りから稜線を吹き抜ける風が強くなり、ウィンドブレーカーが風に煽られてバタバタとうるさい

岩陰で風をよけながらランチを食べていると、岩ひばりがやってきた。しばらく周りをちょろちょろしてた。おこぼれを狙っていたか?

富士ノ折立、真砂岳などを通過し別山南峰(2,874m)に到着。ザックをデポして北峰(2,890m)に足を延ばし剱岳(2,999m)を眺める。ここからの剱岳の眺めは私の好きなアングルの一つ。山頂から右下へと連なる八ツ峰と源次郎尾根が重ならずにしっかりと見える。奥が八ツ峰で手前の尾根が源次郎尾根だ

ちょっとアップで。明日は『雪を背負って登り、雪を背負って下りよ』。無事にあの岩稜の尾根の間にあるの雪渓を登り切って下りてこられるか?

手書きの赤線のように、剱岳山頂から右下に伸びる源次郎尾根の奥側の長次郎谷を登り、手前側の平蔵谷を下りる。ひたすら雪で覆われた急な谷を登って下りることになる

別山南峰に戻って、この日に歩いてきたルートを振り返る。大汝を過ぎたあたりから稜線を吹き抜ける強風に煽られた。風さえなければ長閑な稜線歩きができたけど、贅沢は言えないな。風のおかげで汗もかかなかったし…

本日の宿、剱御前小舎の少し上から剱岳を眺める。明日は深夜に手前の雪渓を剱沢へと下り、そこから取り付きの長次郎の出合へとさらに下る

小屋に到着後、3時間ほどガスに覆われたが、日の入り直前に劇的にガスが取れた。富山湾、水田、川の水面が夕日に照らされて光っている
1日目はこれにて終了。翌日の深夜の出発に向けて早々に寝床に入る。この日は自宅を深夜に出て車を走らせて扇沢まで来たので、寝床に入って比較的すんなりと眠ることができた。Zzzz…
山行を終えて
二日目の記録にまとめて記載した
関連情報
アクセス、コース状況、歩行タイム、日帰り温泉などの関連情報は、二日目の記録にまとめて記録した
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