2017.09.07 18:35
2日目の山行(北鎌尾根核心部。西岳~槍ヶ岳)
歩行ルート図と標高グラフ
最高点の標高: 3178 m
最低点の標高: 1829 m
累積標高(上り): 2350 m
累積標高(下り): -1960 m
山行の詳細
いよいよ核心の2日目。まずはヒュッテ西岳を早朝に出発して、昨日の水俣乗越まで200m下る。そこから天上沢を延々と600m下り、北鎌沢出合まで進む。出合から北鎌のコルまで600m強を登り返す。ここまでが一苦労で、ここから北鎌尾根がスタートする。まさに体力勝負のコースだ
真っ暗な中、夜行性の熊に怯えつつ、ヘッドランプに熊鈴を鳴らしてヒュッテ西岳から水俣乗越へ下りた。そこからさらに天上沢を下りてきたところで、空が明るくなってきた。天上沢の下り始めは、聞きしに勝る急峻なザレた悪路だった。一歩進むたびに、石がざざーっと落ちていく。先行者がいなくてよかった
北鎌沢出合の目印。通称テーブル岩。ケルンが積んである
朝食を食べて、いよいよ北鎌沢の登りに突入。沢といっても水は下を流れ、乾いた岩の上を歩いていく。北鎌のコルは写真中央の窪んだ部分
登り始めて20分弱、左俣と右俣の分岐に出る。水が流れている左俣の水2.5Lを確保。ずっしりと重くなったザックが急登に一層応える。右俣に進み、その後の分岐も右へ右へと進む。最後の分岐は中央を進む
コルに到着。途中で一度入り込んだら身動きが取れなくなる「クライマーズホイホイ」と呼ばれるエリアへ入り込む分岐(右側)があるはずなのだが、気づかないままコルまで来た。昨日水俣乗越で会った女性は昨夜多分ここでテン泊したのだろう
いよいよ北鎌尾根の始まりだ。ここからがスタート。まずは右手のP8を目指す。左奥はP10、通称「独標」と呼ばれるピークだ。独標の取り付きまではさほど難しくない
P8への途中で後ろを振り返る。右手には表銀座の山並みとその奥に(写真の中央から左へ)後立山連峰の山並みが連なる。左端に近い谷下には青い黒部湖も見えた
P8が近づいてきた。本日は高曇りかな?低い雲でガスがかからなければ良しとしよう。今日は岩との対話を楽しめればよい
P8山頂かな。振り返れば、右手に表銀座から後立山の山並み。左手奥には裏銀座の山並みが広がる
中央の禿げた尾根は硫黄尾根。後ろは裏銀座。鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳など
通称「天狗の腰掛」を見ながら進む。ということは、P9をスルーしてしまった?
P10、独標が近づいてきた
独標の直登ルートのイメージを描く。取り付きポイントまで行って、直登するか右側斜面のトラバースルート(巻き道)を行くか判断しよう
いよいよ独標から穂先までの北鎌の核心部分に突入
独標の取り付きへ向かうが、右斜め下に下る明瞭な踏み跡は間違い。写真左上の岩を反時計回りに巻くのが正解。ここから先は、いろんな踏み跡がある。基本は稜線通しだが、場合によって巻き道を行く。どれが正解というものはない。個人のポリシーと技量で判断するのみ
有名な独標取り付きの緑のお助けロープ。巻き道はこのロープにつかまりながら岩を反時計回りに巻く。その先に白い踏み跡が続くのが見て取れる。ここから緊張の連続だ
緑のロープの岩を左に回り込むと直登ルートの取り付きだ。もう心は決まっている。直登ルートを行く
取り付き直後のこの部分が、私にとっては直登ルートの核心だった。お助け残置ロープがなかったら、ザックを背負ってここを攀じ登れなかっただろう
ゴジラの背のような細い岩尾根を登ってきて振り帰る。ホールドはしっかりしており気持ちよく登れる
続いてこの壁を直登する。見た目より登りやすい
難所はあと少し。直登ルートのゴールは近い
難所をほぼ終えたところで雷鳥が応援に現れた。癒される
あとはハイマツ帯をぬけて、岩の門を通過すれば独標山頂だ
独標の門を抜けると
素晴らしい!槍へと続く北鎌尾根が姿を現す。右下から中央へ進み、右へ進んで写真の右端中央から穂先へと進む。美しい尾根だ。写真の左奥には昨年やった前穂高の北尾根がギザギザの姿を見せている
独標山頂でお昼ご飯。槍をバックに自撮り。高曇りが青空に!
さぁ、気合を入れて進もう
本当に気持ちの良い尾根歩きだ
左中央がP12で右のとんがり岩が穴開き岩 。尾根通しで進む
P12。ここも尾根通しで進む
尾根通しで進む。とんがりは右に巻く
ここは尾根は無理。右側斜面を巻く
尾根に戻り進む。何とも楽しい
P13。通称「大砲岩」を目指して尾根を進む
左手には奥に常念岳。手前に西岳と今朝出発したヒュッテ西岳が見える
手前の小ピークは越えていく
奥のピークは私には無理。ここから右側(仙丈沢側)に巻く。右側の隙間を下りる
下りてきて振り返る
巻きながらピークを見上げる。ちょっと悔しい
通称「白ザレ山」。真っ直ぐ進む
この先の向こう側が下りられるかどうか不安なので、ここは諦めた
巻いて尾根に復帰し振り返る。すると下りにはお助け残置ロープが見えた。尾根通しで来ることができたようだ
いよいよ残るは右からP14、P14.5、P15
う~ん、ここは無理
一旦右側へ(千丈沢側へ)巻いた。この巻き道で逆コの字を通過。ザックをぶつけながら這うようにして抜けた
尾根に戻って北鎌尾根を振り返る
尾根を進んで来たが、中央のとんがり岩から巻いてきた。すぐに尾根に戻るべきところをぼんやりここまで巻いてしまった
というわけで、ここから尾根に向けて攀じ登る
P14の尾根に復帰。ピークを目指して尾根を進む
P14山頂から先を見る。この時点で3時を回った。5時に肩の小屋に着けないと判断し、山荘に電話して宿泊と食事をお願いする
P14.5からP15を見る。雲よかからないでくれ
P15へ尾根を行く
P15からP14.5(左)とP14(中央右寄り)を振り返る
その先に越えてきた北鎌尾根を眺め感慨にふける 。中央右奥がP10の独標
P15の「諸君頑張れ」のプレート。写真の角度が悪く読みずらいが・・
P15からラスボスを眺める。大槍の右に小槍、孫槍、曽孫槍
P15の懸垂下降ポイント。技術も道具もない私には関係ない
手足でクライムダウンするのみ。心配していたが、全く問題なし。前穂北尾根のⅡ峰のクライムダウンより簡単だった
P15から下りてきた尾根を振り返る
尾根伝いに北鎌平へ進む
P15(左)を振り返る。右奥の峰は何だっけ? 独標だな
最後の登攀へ。大槍の左裾にあるカニのはさみが近づいた
穂先の根元から見上げる。「Berg Heil 穂先は近い 気を抜かず頑張れ 」のプレートを見つけ損なった
雲がかかってきた。これが北鎌尾根の見納めか
この標識でルート取りが正しいことを確認
下のチムニー。写真を撮るには近寄りすぎた か
上のチムニー
チムニーを登って見下ろす
さらにこの白い棒でルート取りが間違っていないことを確認。あそこから右手方向に最後の登り
ゴール!5時登頂。祠の横に出るルートを選択した。北鎌は雲に隠れてしまった
穂高方面も雲がかかってしまった
急いで小屋に下りて5時15分にチェックイン。電話に出た山荘のご主人が「北鎌の途中で電話してきた人だね。無事について良かった」と気にかけていてくれた。感謝。食事は6時20分のグループで余裕だった 。疲れた。でも心地よい疲れだ。今夜はぐっすり眠れそう
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なお、この山行のコース概況、タイムなどの詳細は、以下の記録を参照されたし
山行記録: 北鎌尾根 還暦爺いの積年の夢 ☜ ヤマレコの記録