尾張の実家へ老母の様子を見に出かけた際に、愛知県犬山市にある『博物館 明治村』に出かけた。実に30数年ぶりの明治村だ。今回、実家に同行した長男のリクエストにより出かけたのだが、紅葉の明治村の散策は好天にも恵まれて気持ちの良い一日を過ごした
ぶらぶら歩きの紹介(2025年11月22日)
約6時間の滞在でほぼ全域をブラ歩きした。以下に主だった建物をいくつか紹介

今回は北口から入門した。この日は5丁目からスタートし、一日かけて1丁目へと散策し、最後に北口へ戻るルート取り(末尾に駐車場や周遊ルートについて記載しておいた)
まずはゲートから下っていくと紅葉がいい感じに色づいていた

スタートは旧帝国ホテル中央玄関(東京都千代田区)。ちょうどガイドツアーが始まる時間だったので参加した。米国の建築家、フランク・ロイド・ライトが設計したレンガ造りの建物。色々と細部にこだわって注文が多く、その結果、費用が膨れ上がって途中で契約を打ち切られ弟子が完成させたとか、ガスではなく電気コンロ設備を使用していたため関東大震災では出火しなかったとか、いろいろな逸話から、材質や装飾のこだわりなどについて興味深い話を聞くことができた
そういえば、数年前に『黄色い煉瓦〜フランク・ロイド・ライトを騙した男〜』というドラマをNHKで見たのをふと思い出した。安田顕が主役をやり、フランク・ロイド・ライトがこだわった黄色いレンガの製造を請け負った愛知県常滑(とこなめ)の煉瓦職人を演じた実話風のドラマだった

正面玄関内部の様子。開館すぐにロビーのカフェは満席になっていた(コーヒーや紅茶より雰囲気を味わうカフェかな)

金沢監獄中央看守所。この建物の横方向や斜め後ろ方向に監獄棟が広がった建物

独房が並ぶ棟。当時としては割と快適じゃないかと思えるような個室の部屋。別棟の集合部屋の方は、江戸時代のように牢名主が威張ってそうな感じの部屋だった

聖ザビエル天主堂。京都市中央区にあった建物

中では結婚式があるらしく親族が前方の椅子席に座っていた。そのためか椅子席後方にロープが張ってあって、前方には行けなかった
長男の嫁さんが所用で彼女の母親と二人で名古屋に来た際に明治村にも立ち寄ったらしいのだが、その時もウェディングセレモニーをやっていたとのことで、ここで結婚式を挙げるカップルも少なくないようだ

やむなく後方より祭壇とその上のステンドグラスをズームアップして撮影

正面玄関の上にあった丸いステンドグラスは、外されて館内の床に展示されている。間近に見ることができた

4丁目に移動。「呉服座」と書いて「くれはざ」と読む芝居小屋(大阪府池田市)。ここも約10分後にガイドツアーが始まるタイミングだった。ツアー前に道路を挟んで反対側にある五平餅屋で団子を食べてから参加
NHKの『坂の上の雲』の撮影や、最近では大河の『べらぼう』の撮影などで使われている

枡席で説明を聞いた後は舞台に上がり、左奥(羽織袴姿のガイドさんの後方)の階段で奈落の底へ下りた。舞台を回す仕組みや、役者が奈落からエレベーターのような仕掛けで舞台へと上がっていく仕組みなどを知ることができて面白かった
枡席へ進むには、平均台二つ分ほどの幅の板上を歩いて進む。バランスをくずして他人の枡席へ落ちる人もいたんだろうな

宇治山田郵便局舎(伊勢市)。日本に郵便システムを導入した前島密(まえじまひそか)の説明を読んで、ちょっと前に渋沢栄一を描いたNHK大河『青天を衝け』にも描かれていたことを思い出した

工部省品川硝子製造所(品川区)。明治村では喫茶店として活用されている

歩き疲れた人はバス利用も可能。500円で1日乗り放題

4丁目にあるカフェでカレーを食べて3丁目に移動。こちらは品川灯台。東京湾が埋め立てられる前は品川は海岸だったもんね

入鹿池(いるかいけ)。品川灯台からの眺め。入鹿池はその昔に入鹿村を集団移転させて作った灌漑用の人造池。学生の頃、合ハイで来てボート漕いだな。もう半世紀近くも前の話か…

西園寺公望(さいおんじきんもち)の別邸「座漁荘」(ざぎょそう、静岡市清水区)。外壁に杉の皮を使った趣のある家だ。公家であり政治家であり(文部大臣、外務大臣、内閣総理大臣など歴任)、立命館大学につながる私塾「立命館」の創設者とか

こちらが座漁荘の玄関。こちらから見るとさらに立派な構え

芝川又右衛門邸(西宮市)。兵庫の豪商の邸宅。お洒落だね。座漁荘が和の建築なら、こちらは随分とモダンで、今時の建売住宅のスウェーデンハウスみたい(笑)。いかにも神戸エリアの家という感じ

北里研究所本館・医学館(東京都港区)。野口英世もそうだが、北里柴三郎もノーベル賞を授与されるべき業績を上げた人物だったのに。当時は……。建物内の階段や廊下を歩くと、この建物で研究した人たちの熱意や気概のようなものが伝わってくるような気がする

2丁目のゆるやかな坂道を登ってきて東山梨郡役所の建物前から振り返る。2丁目はこのストレートな坂道の両側に建物が並ぶ
中ほどにある京都中井酒造の建物が甘味処になっていて、抹茶と甘味で休憩した

最後の1丁目にやってきた。明治天皇・昭憲皇太后の御料車。建物は鉄道局新橋工場。伝統工芸の木工細工や螺鈿の装飾など御料車の内装は現代の豪華列車に引き継がれている。「四季島」だったか「ななつ星」だったか忘れたけど…

三重県庁舎。県知事室の豪華なこと。明治の初めは何とか藩の殿様のような人が知事になっていたのだから豪華なのは当たり前か…

聖ヨハネ教会堂。京都市下京区にあった建物。聖ザビエル天主堂と言い、この教会堂と言い、両方とも京都からの移設というのが興味深い。京都は先の大戦で焼けなかったから残っていたということなのだろう。神社仏閣の京都の雰囲気に合致しないので、明治村に移築されてしまったとか…

天井を支える梁の構造は西洋建築風なのか日本の伝統的な技術の応用なのか?

こちらはややシンプルなステンドグラス

西郷従道(さいごうつぐみち)邸(東京都目黒区)の2階バルコニーから眺めた聖ヨハネ教会堂。ここと隣の学習院長官舎はガイドツアーに参加できた。学習院長官舎では乃木希典(のぎまれすけ)の人となりの話を、ここでは大西郷の実弟である西郷従道の話を聞くことができた
さらにガイドツアーでは、一般公開していない2階もツアーできて上の写真を取ることができた。また館内の豪華な椅子やソファーにも座らせてもらえた

今回のぶらぶら歩きの最後は森鴎外・夏目漱石の二人の文豪が住んだ家(東京都文京区)。鴎外は明治23年から25年に、漱石は明治36年から39年にこの家に住んだ。部屋や廊下には猫の置物が置いてあり、漱石時代のデコレーションになっている
ここから北口まで戻り午後3時半に周遊おしまい。朝9時半の開門から6時間の滞在。バスや市電、SLには乗らず歩き通した。約1万3千歩の歩数だった。暑くもなく寒くもなく、さわやかな紅葉シーズンのぶらぶら歩きで気持ちよかった。これまで何度か訪れたことはあったが、ガイドツアーの参加は初めてで、4つも参加できたのは収穫だった
余談だが、90歳になる私の母親が今年のGW直後に腰椎を圧迫骨折し、4カ月のリハビリを経て9月から実家で一人暮らしを再開した。その様子を毎月確認しに来ているのだが、今回は三連休を利用して長男が同行した。私とカミさんの実家を訪ねて、両方の婆さんに久しぶりに顔を見せることができたのは良い婆さん孝行になった
実家はともに尾張にあるので、息子の要望ですぐ近くの明治村にでかけた。嫁さんが先に訪れたので、自分も行ってみようと思ったのかもしれない。息子は一度も訪れたことがないと思っているのだが、実は一度訪れていて園内を走るSLにも乗っている。まぁ、記憶がないのも仕方ない。まだ2歳ぐらいだったので…。経緯はともあれ、秋晴れの気持ちの良い行楽日和に三人で明治村を楽しむことができた
いつか次男家族がやってきたらまた来るとしよう
明治村の概要
明治村は東京オリンピックの翌年の昭和40年に開村した。世はまさに戦後の高度経済成長へと走り始めたころである。東海道新幹線が開通し、東名や名神などの高速道路の建設が進められていた時代だ。日本橋の上を首都高が覆い隠したのは、オリンピックの前年で、日本中で槌音が響き渡り、古い建築物や構造物が壊されていった時代でもある
そんなスクラップ&ビルドの開発で、西洋に追いつけ追い越せと明治時代に建てられた貴重な建物などまでが壊されていくのを嘆く声も少なくなかった。そんな文化財を後世に残そうという活動が起き、明治村は生まれた
国の重要文化財などを含め、現在60を超える構造物がこの地に移築・復元され、当時の姿を残している。概要については、以下の公式サイトを参照されたし
『博物館 明治村』公式サイト ☜ クリック
アクセスと村内周遊ルート
マイカーで出かける場合、ナビで「明治村駐車場」を選択するとオフィシャルの北口駐車場に誘導される。明治村は1丁目から5丁目までの5区画に分かれているが、北口駐車場を利用すると北口から入門することになり、5丁目からスタートして正門のある1丁目へと進むことになる
周遊ルートについては、北口からスタートするのと正門からスタートするのとで、特に差があるわけではない。村内地図の建物の番号が1番からスタートするか(正門の場合)、67番からスタートするか(北口の場合)の違いくらい。時間などの都合で優先して見たい展示がある場合は、近い方の入り口を選ぶことになるが、それ以外はどちらを起点にしてどのように回っても良いかと・・(個人の意見です)
正門からスタートする場合は、オフィシャルマップには記載されていないが、民間の駐車場が正門付近にあるので、そちらを利用するとよい(料金は同じ)。国道41号線から明治村へ向かうと公式駐車場の北口駐車場方面からアクセスすることになる。北口駐車場の看板をやり過ごし、正門方面へと進む
高速の場合は、中央道の小牧東インターから近い。こちらからは入鹿池を通って正門方面に進むことになるので、ナビに誘導されないよう正門近くの民間の駐車場に入る。詳しくは以下のサイトを参照されたし
明治村の駐車場について ☜ クリック
公共交通機関の場合は、名鉄犬山駅の東口から明治村行きのバスが出ている。こちらに乗れば、正門に到着する
バス時刻表(名鉄犬山駅東口) ☜ クリック
名古屋駅からも明治村行きのバスがある。また、東京からも明治村直行の夜行バスがある
コメント入力欄