南アルプスの雄『北岳』/ブロッケンは大当り、キタダケソウは空振り(2026/07/14-15)

山の記録

5月末に「点の記ルート」で剱岳に登って以来の山行になった。梅雨の合間の晴れには野暮用があって山に行けないという山の「あるある」。尾張の実家に帰省していて戻って間もないのだが、待望の2日間の晴れ予報

このチャンスを逃してなるものかと、晴れそうな山の中から行先を物色。固有種のキタダケソウのシーズンはもう終わってしまっているが、一縷の望みをかけて以前から見に行こうと計画していた北岳を選定。富士山に次ぐ日本第2位の高峰で、南アルプス北部の名峰だ

今回の山行を決めたのは前日の夕方。乗合タクシーと山小屋をすべり込みで電話予約し、それから荷造り。いつもながらのことなので、カミさんはもう驚きも呆れもしない(笑)

2D歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 12286 m
最高点の標高: 3190 m
最低点の標高: 1519 m
累積標高(上り): 1926 m
累積標高(下り): -1937 m

3D歩行ルート動画

今回はGoogle Earth Proを使った動画制作ではなく、ヤマレコに追加された3Dマップの動画作成機能を利用して作成した。ヤマップには以前からこのような機能があったのだが、ヤマレコもユーザーからのリクエストに対応したようだ

雪山などの季節感を出すことはできないが、夏山であればこの機能で簡単に作成できるし、出来栄えも良いので重宝する

ヤマレコの作成機能を利用したYouTube動画(約1分10秒)☜ クリック

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1日目:広河原登山口から北岳肩の小屋まで

芦安第2駐車場7時発の乗り合いタクシーで広河原へ。奥に目指す北岳が姿を見せている(中央奥やや左)。手前の石積みは数年前の豪雨で崩落した斜面の修復

身支度を済ませて8時過ぎに出立。まずは吊橋を渡って北岳山域に入る。この吊り橋はほとんど揺れない

第1ベンチ、第2ベンチと休みながら登ってきた。急登で折れそうな心をタカネグンナイフウロが癒してくれる

イブキトラノオも近くに咲いていた

2時間半ちょっとの我慢の登りで白根御池小屋に到着。ここまでが一苦労。風の通らぬ樹林帯の急登で汗びっしょり。木陰のベンチでコンビニおにぎりの遅めの朝食

白根御池小屋から通称「草すべり」の急登が続く。薄紫色がハクサンフウロ、黄色がシナノキンバイ

何度も休みながら2時間かけて草すべり分岐近くまで登り上げた。シカの食害から高山植物を保護するためネットで囲いがしてあった。黄色はキンポウゲやシナノキンバイの群生

草すべり分岐に到達。急登はあと少し。振り返ると、南アルプスの鳳凰三山(左から地蔵ヶ岳、鳳凰山、薬師ヶ岳)の稜線。ほぼ同じ高さまで登ってきた

手前がタカネヤマハハコ、奥の紫がヨツバシオガマ。近くには蕾を付けたコバイケイソウも

小太郎分岐まで上がると仙丈ヶ岳(3,033m)が目に飛び込んでくる。南アルプスの女王と呼ばれる嫋やかな山容の山だ。私にはゾウさんの顔に見えてしまうのだが…

小太郎分岐から小太郎山(2,725m)に伸びる稜線。地味にアップダウンがあって、見た目よりしんどい。小太郎山の奥が甲斐駒ヶ岳(2,967m)。南アルプスの貴公子とか団十郎と呼ばれる男性的な山容

タカネツメクサ。森林限界より上の稜線で見かける花。イワツメクサと比べて花びらの先が丸っこい

イワベンケイ。こちらも稜線上の岩のあるところでよく見かける高山食物

こちらはミヤマダイコンソウ。シーズン終盤で花は終わりかけ。キンバイやキンポウゲと違って、葉が団扇のように丸く大きい。ちなみにミヤマキンバイの葉はイチゴのように扇状の葉が三つ。キンポウゲは細くて切れ込みの大きい葉で、英名でbutter cupと言うように花弁に艶があるのが特徴。今回、ミヤマキンバイはいっぱい咲いていたけど撮り忘れてしまった

こちらはコケモモの蕾。小さくてかわいい花だ。似たような大きさの花にツガザクラがあるのだが、コケモモの葉っぱは丸っこいので区別できる

小太郎分岐から約40分、山々や稜線の花を楽しみながらゆっくり登ってきて北岳肩の小屋に到着。標高3,011mに立つ。背後に見えるのが北岳山頂

汗びっしょりなのでチェックイン前に30分ほどベンチに座って、風に吹かれながら日光と体温で汗を乾かした(笑)。小屋は増改築されて見違えるほどきれいになっていた

ガスや雲が湧き、富士山は見えたり隠れたり。これがこの後に幸運をもたらす

その幸運がこちら。夕食後にブロッケンのショーの始まり。ガスが薄い時のブロッケン

自分の前方のガスや雲がスクリーンとなって、自分の後方から射す太陽光により自分の影が投影される現象。朝や夕方に見えることが多い。自分のブロッケンはその人にしか見えない。自分が動けば影も同じ動きをする。自分が稜線を歩くとブロッケンも影のようについて動く

左側に鳳凰三山の稜線を入れて撮影したブロッケン。ガスの濃淡により、断続的に2時間ほど見ることができた

ガスが濃い時のブロッケン。自分の影を取り囲むように虹色の光輪が見えるのが特徴。お釈迦様の後光はこの光輪を模したものとも言われている。山の多い日本では山岳信仰が昔から色んな地方にあったが、山に入ってこの光景を見た昔の人は、神仏に出会った思いだっただろう

新田次郎の『槍ヶ岳開山』にも、そのような話が出てくる。ちなみにブロッケンの名の由来は、ドイツのブロッケン山でよく見られた現象なのでその名がついた

2日目:肩の小屋から北岳山頂を経て反対側へと周回して広河原登山口へ

翌朝、小屋を4時少し前に出立。山頂を目指す。オレンジ色のビーナスベルトが美しい。山で一番好きな時間帯

登ること40分で北岳山頂。手前が鳳凰三山、奥に奥秩父の山並み。金峰山(きんぷさん)のあたりから御来光

標高第2位から断トツ1位を眺める。雲海に浮かぶ富士山は本当に美しい

富士山アップ。多くの人が山頂でご来光を眺めているんだろうな

仙丈ヶ岳とその奥に北アルプスの山並み。一番左が乗鞍岳。仙丈ヶ岳の右肩の奥に槍ヶ岳から穂高連峰に続く稜線が見える

中央アルプスの山並み。右端奥に御嶽山のピーク群も見えている

甲斐駒と仙丈をバックに山頂標と一緒に撮ってもらった。ありがとうございました

写真中央奥に端正な姿の影北岳もくっきり見えた。山頂から反対側へ下山開始

白い花がハクサンイチゲの群生。キタダケソウをじっくり探したいが、双眼鏡を持ってこなくてはいけなかったな。この距離では微妙な違いを見分けられない

中央下のコル(鞍部、稜線の凹んだ部分)に北岳山荘、その奥に中白根山、間ノ岳(あいのだけ)へと続く稜線。昨年秋に歩いた稜線だ

イワベンケイ(緑と黄)、タカネシオガマ(紫)、チョウノスケソウ(白)のコラボ

ミヤマオダマキもあちらこちらに咲いていた

チョウノスケソウはまだしっかり咲いていた。ハクサンイチゲやキタダケソウに似ているが、小判型の葉っぱが特徴的で容易に見分けられる

シナノキンバイとキバナノコマノツメ(小さい花の方)のコラボ

ハハコヨモギが銀色っぽく見えてきれい

北岳山荘方面(写真左方向)へのトラバース分岐まで下ってきた。この辺りから大きな岩の上をまたいで下る

八本歯のコルに向けて木段の下りが始まる。振り返って撮影。ちなみにギザギザのピーク群が八本の歯のように見えるので「八本歯」とよばれ、ピーク間の一番低いところがコル

キバナシャクナゲはこれから本番かな

6時半なのにもう暑い。たまらず沢の冷たい水をがぶ飲み。ペットボトルの水も詰めかえた。この後、別の沢でも

ミヤママンネングサ(だと思う)

雪渓の横の夏道を下ってきた。夏道は完全に出ている。雪渓の横なのでもう少し涼しい風が吹くかと思いきや全く無風だった

ミヤマハナシノブ(淡紫の花)。この後30分ほどトラバース路を歩いて白根御池小屋へ。朝食を食べた後にゆっくりと初日に登ってきた道を下った

広河原の吊り橋から早川尾根を望む(中央奥)。昨年秋にあの稜線を甲斐駒ヶ岳から縦走した

北岳山頂には雲がかかっているけど、今日は快晴の一日。登りは昨日以上に暑いだろうな…

いつ登っても北岳の急登には心が折れそうになる。日帰り登山する人もいるが(多くは若い人)、私は最低でも一泊は必要。今回は下界が猛暑日になるほどの暑さもあって、とにかく汗をかいてへばった。肩の小屋に着いたものの、汗ぐっしょりでどうしようもない。やむなく小屋前のベンチで30分ほど過ごし、風と日光と体温で衣服を乾かしてチェックインした(笑)

チェックイン後に外でビールを飲んでまったりしていると、ガスや雲が湧いて富士山は見えたり隠れたり。これはひょっとしてブロッケンが見られるかもと期待が膨らむ。一巡目の組で夕食をそそくさと済ませて外に出ると大当たり。ブロッケンが出始めたところだった。外のベンチにいた人たちもスマホや会話に夢中で気づいていなかった

写真を撮ろうと慌てるも、スマホは充電中で自分の寝床スペースに置いたままであることに気づく。慌てて取りに行って戻るとブロッケンは消えていた。トホホ・・

ただ、ガスが絶えず湧いてきていたので少し待っていると、すぐにショーの再開。その後は断続的にブロッケンが消えたり出たりで2時間ほど続いた。私にとっては11回目のブロッケンとの遭遇だったが、とてもくっきり見えて本当にラッキーだった。これだから山はやめられない(笑)

一方で、北岳の固有種であるキタダケソウは遅きに失したようだ。シーズンは6月下旬ころから7月初旬の10日間ほど。ひょっとしたらまだ咲いている株もあるかもしれないと、一縷の望みをかけてきたものの、見つけることはできなかった

晴れの日に出かけようと欲張ったのがいけなかった。私的には雨の登山はありえないのだが、せめて曇りの日も加えれば、キタダケソウの短いシーズン中に来て念願のキタダケソウを見られたのではと後悔。今後の反省だ

とは言いつつ、北岳のような急登が続く山は正直なところ辛くなってきた。草すべりの途中で何度も小休止をとりながら、何とか肩の小屋に辿り着くことができた。足繁く登れるような山ではないので、次やるときは白根御池で一泊して、刻みながら登るのかな・・・

キタダケソウは空振りに終わったが、関東がまだ梅雨明けしていない中で、2日間の好天に恵まれ花のシーズンの北岳を楽しめたことを山の神様に感謝感謝!

駐車場&登山口へのアクセス

芦安駐車場:
乗合タクシーの乗車場所である市営芦安第2駐車場は平日6時半で9割ほど埋まっていた
週末はすぐ満杯になるので、手前の駐車場を利用することになる
https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/19511.html

芦安から広河原への移動:
バス
https://minami-alpskankou.jp/?page_id=6542
片道1580円+協力金300円
乗車券はスイカ等で支払い可能、協力金はバス内で現金払い
バスは甲府駅から出発するので、登山最盛期の週末やお盆休みなどは芦安から乗車の場合に座れない可能性あり

乗合タクシー(ミニバン)
https://ashiyasu-kankou-taxi.co.jp/climbing-for-taxi-and-bus/taxi_for_hill_climbing2/
片道1400円+協力金300円
両方とも現金払い
芦安からの行きの便は要予約、帰りは予約不要。確実に座れる

私は行きも帰りも乗合タクシー利用
帰りの広河原から芦安行きは、一定数の乗客が集まれば時刻表とは別に随時発車する
私が乗車したバスは、時刻表では10時発のところ9時40分に発車した
運転手によって所要時間が短くなる(運転が荒っぽい場合、笑)

コンビニ&日帰り温泉

コンビニ

竜王交差点から芦安へ向かう途中にメジャーなコンビニが多数あり。最後は南アルプス街道(R20)の「芦安入口」交差点にあるローソン

日帰り温泉

今回も市営第2駐車場の前にある白峰会館を利用(早くさっぱりしたかった)
750円、平日 9:00-16:30(16:00受付終了)土日祝 9:00-19:30(19:00受付終了)
https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/lodge_hakuhou.html

その他は以下参照
https://search.yahoo.co.jp/search?p=%E8%8A%A6%E5%AE%89%E3%81%AE%E6%97%A5%E5%B8%B0%E3%82%8A%E6%B8%A9%E6%B3%89&x=wrt&aq=-1&ai=6fdb78e8-72a5-406e-9827-cb26a3732c6a&ts=1844&ei=UTF-8&fr=mcafeess1

コースの状況(個人の感想です)

登山ポスト:
広河原の登山インフォーメンションセンターで提出
私はいつものごとく「コンパス~山と自然ネットワーク~」にてWeb提出

広河原から白根御池小屋:
蒸しっとする樹林帯の中を行く。ここを下る際に登ってくる人が「白根御池の小屋はまだですか?」と聞いてくるくらい初っ端から身に堪える急登

白根御池小屋から肩の小屋:
「草すべり」と呼ばれる急登。小太郎山分岐までは急登が続く。技術はいらないけど、体力と忍耐がいる(笑)。危険個所はない
小太郎分岐からは比較的緩やかな稜線の登り。背後に甲斐駒、右手に仙丈を見ながら最後のひと踏ん張り

肩の小屋から北岳山頂:
標高差約180mを登る。空気が薄いのでそれなりにキツイ。落石に要注意

北岳山頂から八本歯のコル:
鎖や岩場の下り。慎重に下ればOK

八本歯のコルから大樺沢の二俣:
最初は木段が断続的に続く。不安な人はバックステップで。木段を終えると、ごく普通の下り。ザレているのでスリップや捻挫に注意

大樺沢の二俣から白根御池小屋:
大樺沢ルートは、二俣から広河原へダイレクトに繋がる登山道が損壊のため通行不可。白根御池小屋へトラバースルートを進む

白根御池小屋から広河原:
下りは登りと比べて楽に下りられるが油断禁物

歩行タイム(私のログ記録)

<1日目> 山行 5:21、休憩 0:36、合計 5:57

8:02 広河原インフォメーションセンター → 8:08 旧広河原山荘 → 8:24 白根御池分岐 → 8:55 第一ベンチ(1880m) 9:04 → 9:30 第二ベンチ(2059m) 9:35 → 10:25 白根御池小屋 10:48 → 12:52 草すべり分岐 13:02 → 13:09 小太郎尾根分岐 13:20 → 13:59 北岳肩ノ小屋

<2日目> 山行 4:43、休憩 0:43、合計 5:26

3:56 北岳肩ノ小屋 → 4:10 両俣分岐 4:13 → 4:37 北岳 4:51 → 5:19 吊尾根分岐点 → 5:32 吊尾根・北岳山荘トラバース道分岐 5:40 → 5:57 八本歯のコル → 7:04 大樺沢二俣 → 7:30 白根御池小屋 7:44 → 8:21 第二ベンチ(2059m) → 8:36 第一ベンチ(1880m) → 9:00 白根御池分岐 → 9:17 広河原・吊り橋分岐 → 9:22 広河原インフォメーションセンター

註)コースタイムの 1.0-1.1 位で歩行している(ヤマレコのログ計測値)

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