計画に当たって
昨シーズン、登り始めて早々に撤退した谷川岳の西黒尾根をやり直すべく計画した。天気予報と睨めっこするも新潟と群馬の境に位置する谷川岳は日本海側で雪を降らせ続けた天候に影響を受けてなかなか好天に恵まれなかった
バレンタインの週末に晴れが続く予報となった。ただ、予報では一気に気温が上がって4月上旬並みになるとのこと。ちょっと雪崩が怖いなと感じつつ、今シーズン最後のグッドコンディションになるかもしれない西黒尾根へ向かうことにした
歩行ルートと標高グラフ
最高点の標高: 1945 m
最低点の標高: 748 m
累積標高(上り): 1324 m
累積標高(下り): -750 m
3D歩行ルート動画については、Google Earth Proで真冬の谷川岳の映像が見つからなかったので作成を断念した。悪しからず
山行の詳細

登山指導センター横からショートカットして西黒尾根へと向かう。冬の西黒の定番アプローチ

この日の直登トレースは左へ大きく蛇行していた。典型的な真っすぐな直登ルートを進めばラッセルを強いられるので、皆さん先行者の踏み跡を忠実にたどっていく
急登を登り始めてしばらくすると汗が滴り始めたので、ジャケット、フリースの帽子、厚手の手袋を外した。まるで春山みたいだ

西黒尾根に出た。左に形成されている雪庇(せっぴ)を避けながら樹林帯のすぐ横を歩くことが多いのだが、先行者あるいは前日のトレースがさらに安全な樹林帯の中にできていたので踏み跡を辿る

樹間から谷川岳の姿が見えるようになった。特徴的な双耳峰で、山頂を形成するトマの耳とオキの耳が見えるようになった

ラクダのコブと呼ばれる小ピーク群に突入。西黒尾根の核心部。この手前でジャケットや帽子や手袋を再度着用し、ストック1本をピッケルに換装

中央左のピークがトマの耳で。凹みのすぐ右がオキの耳。このあたりから山頂を視界に捉えながら登っていく。素晴らしい谷川ブルーだ

後ろを振り返ると、写真中央右に白毛門(しらがもん)、中央奥に朝日岳、すぐ左手前に笠ヶ岳。ずっと左には巻機山(まきはたやま)や越後駒ヶ岳が見えている。素晴らしい眺望だ

ラクダのコブが続く。稜線の左端は雪庇なので、そちらに近づくと雪庇もろとも落っこちる。少し内側を歩いていく

コブによっては急峻な下りなので、後ろ向きにクライムダウンで進む方もいる。前向きに斜面を下るか後ろ向きに慎重にステップを踏むかは登山者それぞれ

奥の上越の山々は今シーズンに日本海側を襲った大雪で一段と白く見える

通過してきたコブたちを振り返る。雪の状態が良い時でも緊張感のある部分。踏み跡があるから安心して歩くことができるが…

緩やかな大きいコブは景色を楽しみながら歩くことができる

緊張が続いたコブたちの通過終了。ラクダのコルと呼ばれる鞍部に向けて緩やかに下る。その後はひたすら急登が続く
写真中央やや左、青空のすぐ下の稜線近くにザンゲ岩と呼ばれる岩が見える。あそこまで登ればトマの耳へと続くビクトリーロードになる

写真左の天神尾根にはまだ登山者の姿がほとんどない。8時半から動き出すロープウェイ組が天神尾根の登山を開始したころだ

ザ・雪山を楽しむ。と言いたいところだが、アップアップで登っているのが実態

なかなかの急登が続く。胸突き八丁ともいうような我慢の登り

トレースのすぐ左右にはこんなホールやクラックがポツンポツンと現れる

多くの方が斜度が緩んだところでちょっと休憩。この辺りで風もなくなり日差しも強まってきたので、ジャケットを脱いで厚手の手袋から薄手の手袋にチェンジした。ここから最後の急登に進む

天神尾根のずっと奥の方に富士山が見えた。奥秩父の山々の上に頭を出している。春のような気温の日に見られるとはラッキーだ。奥秩父の手前に横たわるのは妙義山の山々かな

富士山から左方向に見えるのは赤城山系。明日はあそこに登る予定(今宵の宴会で酒量を抑えて二日酔いにならなければ)

西黒尾根の最後はひたすら登って山頂稜線へ。稜線に隠れていた谷川連峰の主稜線が目に飛び込んできた

写真左側には奥へと延びる主稜線。右側に肩の小屋。小屋の上の奥には平たい山容の苗場山がきれいに見える

山頂直下の標識。エビの尻尾と呼ばれる霧氷がびっしりついた姿ではなかった。前日あたりからの暖かい天候で融け落ちて無くなったかな

トマの耳。登山開始から4時間半弱。春山のような雪山を存分に楽しませてもらった。感謝感謝!
同じようなペースで西黒尾根を登ってきた方に撮ってもらった。ありがとうございました。谷川ブルーを背景に、私の左奥に尾瀬の山、山頂標の右奥に日光白根山と上州武尊山(じょうしゅうほたかやま)。さらに右端の奥が赤城山系。
この後、ジャケットを着こんで厚手の手袋に戻した。ロープウェイ組も続々と到着して山頂は賑やかになってきた

もう一方のオキの耳にも到達。混みだす前に戻るとしよう

写真左下から右斜め奥へ続くのが谷川連峰の主稜線。中央あたりから左へ続くのがマナイタグラへの稜線。その上の奥に見えるのが浅間山

浅間山アップ

右側奥の平たい山容が苗場山、その左奥に見える稜線は北アルプスの後立山連峰の山々のようだ

反対側には上州武尊山と左奥に日光白根山

尾瀬の山々。左奥に燧ケ岳(ひうちがたけ)、そのすぐ右手前に至仏山(しぶつさん)

トマの耳(写真中央の尖がり)へ戻ろう。私の立ち位置のオキの耳と前方のトマの耳を結ぶ稜線の右側(写真右側)は比較的緩やかな斜面で、稜線の左側は切れ落ちている
せり出した雪庇が崩れ落ちる際に山の斜面を削り、長い間に垂直のような岩壁を形成した。典型的な「非対称山容」と呼ばれる山の形だ
この岩壁が一ノ倉の岩壁で、アルパインクライミング(ロッククライミング)の聖地の一つとして一流の登山家を輩出する一方で、これまでに300人以上の犠牲者を出してきた悲しい歴史を持つ

どんどん人が増えてトマの山頂にはBCスキーヤーや登山者がいっぱい。皆さん楽しそう

この日、ひときわ目を引いた一人。パティシエの格好でデリバリーサービスを真似るコスプレパフォーマー。両手に箱を持ったまま天神尾根を登り降り。転ばないようにね・・
山頂ではタンクトップ姿で登山をする有名なユーチューバーさんも見かけた。かつて妙高山の山頂では、スパイダーマンンのコスチュームで登山をする人にも出会った。山の楽しみ方も人それぞれだな

天神尾根で下山を開始すると肩の小屋まであと一息の登山者たちとスライド。続々と登ってくる

雪の谷川岳名物、「蟻の行列」のような登山者の列。首都圏に近く、公共交通機関でも容易にアクセスでき、ロープウェイを利用してお手頃に本格的な雪山を楽しめるのでとても人気がある
天神尾根のトレース横にも所々クラックなどがあった

「天狗の溜まり場」と呼ばれるポイント。アジア系の外国人グループがたくさん。暖かい母国ではなかなかこのような雪山は体験できないだろうから日本の雪山を存分に楽しんでいってください

だいぶ雪に埋もれてきた熊穴沢避難小屋。入り口に下りていけるように雪を掻き出して階段が作ってあった。雪が多い年は煙突のような部分さえ埋もれてしまうことがある

ロープウェイ駅へ最後の急下り。天神平スキー場が眼下に広がる。久々に雪山を楽しませてくれた山の神様に感謝感謝!
山行を終えて
雪山には出かけたいが、寒い中、深夜に自宅を出て車を走らせるのが億劫になってきたというのが正直なところ。もうすぐ70という年のせいもあるかな・・。こんな弱音を吐くと、84歳で同じ日に谷川岳を登られたヤマレコの名物おじいちゃんの「いいゆ」さんに怒られてしまいそうだけど
一昨年の白毛門以来、久々に雪山のガッツリ登山。ほぼ無風で春のような陽気の中、多くの先行者が作ってくれたトレースを踏ませてもらいながら雪山らしい西黒尾根を楽しんだ
途中に現れたいくつかの穴とクラックに、10年位前に武尊山で全身すっぽりと落ちた経験を思い出してビビったが、無事に山頂まで至ることができた。トレースがない時に一人で進んだら、十中八九踏み抜いてまた落ちてただろうな(笑)
久しぶりに雪の谷川に来て、外国の方の多さにびっくり。白人系は板を担いだバックカントリーが多く、アジア系は登山という感じ。旅行で来たのか、東京などに住んでいるのか分からないが、皆さんしっかりした装備の出で立ちだった。安全に注意して存分に日本の雪山を楽しんでもらえたらと思う
翌日は毎年恒例の赤城山なのだが、今シーズンもう1回くらいガッツリと雪山を楽しめればと思っている。八ヶ岳とか乗鞍岳などに再訪できればうれしい限りだ
関連情報
アクセス&駐車場
公共交通機関の場合は、上越新幹線で上毛高原駅下車。駅前からバスで谷川ヨッホへ
車の場合は、関越道の水上ICで高速を降り、30分くらいで谷川ヨッホに着く。当日は水上の一般道に雪はなかったが、早朝は濡れた路面の凍結あり。またヨッホに近いトンネルやスノーシェッドの中など、日の当たらない路面に圧接された雪やアイスバーンがあるので要注意。スタッドレスなどすべり止め対策必須。最新の天候状況を確認の上で出かけること
谷川岳ヨッホの駐車場(旧谷川ロープウェイ駐車場):
無料で駐車でき6時の到着時には1Fのみならず2-5Fの駐車場も利用可能だった!(冬期だから?土日だから?)
昨年9月に西黒尾根に出かけた時は、時間外の早朝は1Fのみ利用可能で時間外駐車料金500円/日を出る時に支払った。1Fトイレは使用可能だった。時間外はエレベーターを利用できないので駐車場入り口から外へ出て坂道を歩いて、6階玄関方向へ向かった。この時はヨッホ定休日だったからか?
https://tanigawadake-joch.com/access/
なお、ヨッホ駐車場の少し下(坂道の途中)の谷川インフォメーションセンター駐車場は、この時期は除雪などの都合によりセンター利用者のみ駐車可能で登山者は利用できない
https://tanigawa-ic.com/access/
ロープウェイ:
片道利用 1800円、往復 3000円。8:30 – 16:30
https://tanigawadake-joch.com/
コンビニ、日帰り温泉
<コンビニ>
水上ICを下りてからセブン、ファミマの順にある。ともに24時間営業
<日帰り温泉>
鈴森の湯:
TEL:0278-72-4696。900円。11:00〜20:00(最終19時)、季節によって変動。源泉かけ流し。水曜日定休。湯テルメ谷川が利用できなくなったので混雑する
https://suzumorinoyu.com/
ふれあい交流館:
TEL.0278-72-8885。600円。11:00~20:30(最終受付20:00)。火曜日定休(休日の場合は翌日に変更)。水上駅から徒歩12分。街中の狭い道なので車ではちょっと入りずらい
https://www.enjoy-minakami.jp/spa.php?itemid=585
この夜は60歳まで務めた会社で一緒に働いた後輩達と飲み会があったので、埼玉北部のホテルへ直行してホテルの浴場を利用した
コースの概況(個人的な感想)
週末晴れだったので、多くの登山者によるトレースがしっかりできていた。ワカンはザックに括りつけたまま出番なし。12本爪の本格アイゼンは最初から最後までつけっぱなし
<登山指導センターからラクダのコブ>
センター横でアイゼン装着。直登コースは「く」の字を下から辿るように左に蛇行していた。鉄塔通らず。汗をかき始めたので、尾根に出る前にジャケット、フリース帽子、テムレスを外した
尾根は雪庇を大きく避けて樹林帯の中にトレースが付いていた
ラクダのコブ直下でストック2本のうち1本をピッケルに替え、ジャケット、フリース帽子、テムレスを再度着用した
<ラクダのコブからザンゲ岩>
西黒尾根の核心部。急登の連続。ところどころにトレース横にクラックやホールあり。雪はしっかりしており登りやすい状態だった。ただピッケルは差し込んでもスカスカで手ごたえの無いことが多かった
ラクダのコルあたりで再びジャケット、フリース帽子、テムレスを外し、山頂までそのまま進んだ
ラクダのコルからザンゲ岩までは途中で斜度が緩くなる部分があるものの、総じて急登が続く
<ザンゲ岩から山頂>
西黒尾根を登り上げると主稜線が目に飛び込んでくる。山頂まではビクトリーロード。天神尾根からの登山者も到達しはじめ一気に賑やかになる
<山頂から天神平>
週末の谷川名物「蟻の行列」とスライドしながら下る。メインのトレースは登りの人たちに占拠されるので、トレース横を下る。急な下りなので雪に足を取られないように。またところどころクラックがあるので要注意
歩行タイム(私のログ記録)
6:32 土合口駅/谷川岳ベースプラザ → 6:46 谷川岳登山指導センター → 6:50 西黒尾根登山口 6:58 → 6:59 西黒尾根の水場 → 8:45 ラクダの背(ラクダのコブ) 通過 → 9:07 ラクダのコル → 10:26 ザンゲ岩 → 10:51 トマの耳 10:58 → 11:12 オキの耳 → 11:28トマノ耳 → 11:31 肩の小屋 11:51 → 12:09 天狗の留まり場 → 12:21 熊穴沢避難小屋 → 13:09 天神平
注)コースタイムの0.9 – 1.0位で歩いている(ヤマレコアプリの計測データ)
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