南ア仙塩尾根-稜線編(2017/08/23‐26)

山の記録

2017.08.27 17:56

8月に入り山の天気はパっとしない。やっと2‐3日持ちそうな予報だったので、縦走に出かけた。今回は南アルプスの中央あたりにある塩見岳と最北エリアにある仙丈ケ岳を結ぶ稜線、通称「仙塩尾根」を3泊4日で歩いた。

仙塩尾根の前半部分。塩見岳からはたおやかな尾根が続く。冒頭の写真で、中央左奥に見えるのがゴールの仙丈ケ岳。

南アルプスは公共交通機関のアクセスがあまり良くない。まずは車をゴール地点の仙流荘P に駐車する。ここから、長谷循環バスで高遠駅へ、JR関東バスで伊那市駅へ乗り継ぐ。そこからJR飯田線で伊那大島駅へ行き、最後に伊那バスで鳥倉登山口へと向かう。登山口には午後2時到着。ほとんど一日がかりで移動。この日は登山口から2時間半ほどかけて、三伏峠小屋まで登る

2日目は朝4時に小屋を出る。少し雨がパラつくも、レインジャケットを着るまでではない。まずは塩見岳を目指す。このコースは以前にも登ったので、真っ暗な中をヘッドランプで進んでも不安なし。最初の三伏山通過時は闇の中(笑)

次の本谷山まで来た。ここで塩見岳を視界に捉えられる(中央やや左奥)。塩見方向からのご来光を期待したが、残念ながら見られなかった

塩見小屋に朝7時頃到着。まずまずのペース。ここまでは南アルプスの特徴ともいえる樹林帯歩き。塩見小屋の少し手前から視界が開ける。まずはここでゆっくり朝食を自炊

塩見岳山頂方面は雲に覆われて見えない。山頂に着くころにガスが取れるといいのだが・・

塩見岳への岩稜を登る先行者たち。どうか落石しないでね

塩見岳山頂(東峰)に着くも、ご覧の通りガスガス。記念撮影も思わず苦笑い

一瞬ガスが取れて、さっき通過してきた西峰が見える。南プスの中央に位置する塩見岳からは、南部と北部の山々が全て見渡せる素晴らしい眺望なのだが、今回はこれで良しとしよう

さぁ、いよいよ仙塩尾根に進もう。上空はまずまずの天気なのだが、ちょうど山の稜線の高さに雲がへばりついて、眺望を邪魔している。中央やや左の一番奥に雲をかぶって見えるのがゴールの仙丈ケ岳。歩きがいがある

いい尾根だ。右前方には農鳥岳が雲から出てきた。その左には同じ白峰三山の一つ、間ノ岳が見えるが、上部は雲に隠れている。その奥に北岳(日本No.2の山)が隠れている。中央やや左奥がゴールの仙丈ケ岳。まずは緩やかな稜線を進み、写真ほぼ中央の北荒川岳を目指す。百高山の一つだ

後を振り返るとラッキーなことにNo.1の富士山が見えた

富士山をアップで。山頂から噴煙が上がっているみたいに見える

稜線をさらに進むと、ダケカンバが寝そべっているような不思議な空間を通る。雪の重みに耐えてきた姿だな

北荒川岳山頂まであと少し。山頂について15分程小休止し、おやつでエネチャージ。1時間後の新蛇抜山の山頂でお昼ご飯。バテバテだった

稜線の少し下を巻く登山道から尾根に登り上げ百高山のしんがりにリストされる新蛇抜山のピークを踏み、「竜尾見晴」と呼ばれるポイントを通過。嫌なことに空の雲が厚くなってきた。左前方には別の百高山である安倍荒倉岳。あそこにも用があるので、登山道から外れて山頂に寄っていく

安倍荒倉岳から山腹を30分ほど下ると本日のお宿、熊ノ平小屋に到着。午後2時。ここには冷たくて美味しい沢水が豊富にあり重宝する。上半身裸になり、しこたま搔いた汗をぬぐい、服を着替えるとさっぱり。上着やタオルをストーブの上に吊るして乾かしながら、早速アルコール。小屋の主人やスタッフはとても暖かく、気持ちの良い山小屋だ。小屋の中は外見よりずっときれいで快適

夕飯の頃には厚い雲もどこかへ行き、この青空。小屋の前のテラスから西農鳥岳が眼前に見える

アーベントロート。夕日に赤く染まる西農鳥岳。美しい。明日も晴れますように

3日目。残念ながら数メートルしか視界がきかない濃霧の中を3時半に出発。2500mの熊ノ平から三峰岳(みぶだけ、2999m)まで真っ暗な中、ヘッドランプで上がってきた。ここで白峰三山方面からのご来光を期待するも、ガスガスで山頂標以外は何も見えず(泣X2)。ちなみに三峰岳は、この高さにもかかわらず百高山に選出されていない

天然ミストを浴びながら(ガスってただけなんだけど)約2300mの野呂川越の分岐まで下りてきた。ここから3033mの仙丈ケ岳まで登り返す。6時間弱の行程

とりあえず2500mの稜線まで登ってきた。ガスはなくなったが、目指す仙丈方面の上部には雲が引っ掛かっている

大仙丈ケ岳(2975m)まで登ってきた。ラッキーなことに山頂の雲も切れて視界が開けた

登ってきた仙塩尾根を振り返る。先の方は雲に覆われている。ここだけぽっかりと雲が切れたようだ

目指すゴールの仙丈ケ岳がうっすら見える。手前の岩稜を進んでくる人がいる。TJAR(Trans-Japan-Alps-Race)という富山の日本海から静岡の太平洋まで、北アから中ア、そして南アを抜けていく山岳レースがあり、そのトレーニングをしている方だった。今日は駒ヶ根から走り、尾根を登って仙丈ケ岳に登ってきたとか。午後2時だというのに、私が出発した熊ノ平小屋までこれから行くという。呆れるやら驚くやら・・。そりゃそうだ、TJARの上位者は6日間でこのコースを走り抜けるのだから

トレーニングの方と話をしていると、仙丈ケ岳の雲も取れて山頂が見えた。登山者が見える

さぁ、フィナーレだ。最後の岩稜を抜けてゴールを目指そう

ゴール!仙塩尾根を歩き通した。残念ながら山頂に着くとまた雲の中にスッポリ。眺望はなし。こればかりは仕方ない。今夜のお宿の仙丈小屋へ行き、生ビールをぐびぐび飲もう

仙丈小屋に到着して15分もすると通り雨。何と幸運な!1時間ほど強い風と雨が続いた。予定を変えて、朝食をとらずに3時半に小屋を出立して正解だった。予定通りに出発していたら、風雨のなか大仙丈から仙丈ケ岳への岩稜帯を抜けることになっていた。雨の後には雲が取れ、甲斐駒ケ岳が姿を現した

真ん中の尾根は甲斐駒から続く鋸岳の稜線。その奥には八ヶ岳も見えてきた

翌朝も朝食をとらず、7:20発の始発バスを捕まえるために4時半に小屋を出た。昨日と同じく、濃い天然ミストの中を下山し、北沢峠のバス待合所に6:40分に到着。その10分後には本格的な雨が降り出した。またまたラッキーな・・

今回の3泊4日の山行は、稜線がガスに覆われて眺望があまり見えなかったが、雨らしい雨に降られることもなく仙塩尾根を歩き通すことができた。感謝感謝である

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なお、この山行のコース概況、タイムなどの詳細は、以下の記録を参照されたし

山行記録: 南ア仙塩尾根を行く。天然ミストとフィトンチッド満喫(笑) ☜ ヤマレコの記録

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