6月下旬に会社を辞めてほぼ1か月が経過した。
時節柄、梅雨とその後の猛暑で好きな山登りにもあまり出かけられていない。生活のリズムを作るべく、朝5時ごろから約13キロ、約2時間のウォーキング+軽いジョギングをしている。こちらは好天続きのため、三日坊主にならずに自宅にいるときには継続できている。
日中はひどく暑いので、早朝のウォーキング以外は家で本を読んだりテレビを見ていることが多い。しかも、ついつい昼間から冷えたビールや焼酎のオンザロックを飲んでしまう。至福の毎日を過ごしていてとてもハッピーなのだが、こんなの続けていていいわけないよなという気持ちも膨らんできている。
先日、とあるTV番組が面白い実験をしていた。認知症との関連が疑われている脳の老廃物のアミロイドベータについて、健康な若い女子大生と私と同年代の60歳前後の女性の血液中のアミロイドベータを比較していた。その結果、若い女性の血中濃度は高く、熟年女性のデータは低かった。つまり若い女性は血液循環の過程で、老廃物をうまく脳から排出して、アミロイドベータの蓄積を抑えているというわけだ。
面白いのは次の二つの実験であった。
①この女子大生二人を豪華なマンション風の部屋に滞在させ、食事もスナックも飲み物も取り放題、TVも人気のDVDも見放題、本や雑誌も読み放題という生活をさせて、その後にアミロイドベータの血中濃度をチェックする
②先の熟年女性にアミロイドベータの蓄積防止に効果があるというポリフェノールを多く含む皮付きピーナッツを一日15粒食べてもらい、15分程度のウォーキングを毎日続けさせ、同様に血中濃度を測定する
結果は、女子大生の血中アミロイドベータは実験前の熟年女性並みに低下し、一方の熟年女性のデータは実験前の女子大生並みに血中濃度が高まっていた。つまり、双方のデータが実験後に逆転したわけだ。
結論的に、日ごろ活動的な生活を送っていた女子大生は、脳内のアミロイドベータを効率よく排泄できていたが、至れり尽くせりの部屋でのんびり生活すると、アミロイドベータの排泄が低下してしまった。逆に、アミロイドベータの排泄がうまくできていなかった熟年女性は、皮付きピーナッツとウォーキングによって、脳内のアミロイドベータの排泄効率が改善したという実験結果だった。
被験者数が限定的で、どこまで一般的に通用する結果なのかは保証の限りではないが、自分の今の生活を考える上では、十分に示唆に富んだ実験結果だった。昨今、アミロイドベータの蓄積を抑える、あるいは分解を促進する薬剤の開発が進められているが、世の中に登場するのはまだまだ先のようだ。一方で、軽度の認知症は生活習慣の改善で元に戻せるという本の広告も目にする。
アミロイドベータの蓄積量と認知症の発症には連関性が見られるものの、因果関係は必ずしも明確になっているわけではない。蓄積量が多くても認知症になっていない方も少なからずいる。さりとて、アミロイドベータを蓄積させないようにすることに越したことはない。
翻って自分の生活パターンを顧みると、明らかにアミロイドベータの排泄を低下させる生活と言わざるを得ない。オフィスでデスクワークしていた現役時代も、今とさほど変わらないといえばそれまでだが、体を動かすことを心掛けなければ・・・
筋力低下防止も兼ねて、手っ取り早くスポーツジムに行って筋トレするというのも一手だが、すでに団塊の世代の先輩方が占拠しており、ジムに行った若い人が「ここは老後施設か」と驚く状況のようなので、別の方法を考えてみよう