斜里岳 沢は渡渉の連続(2022/06/18)

山の記録

2022.06.22 08:30

今回の「北の国からシリーズ」第一弾ラストは斜里岳。三井登山口からのルートを使うつもりでいたが、他の方の登山記録などを拝見すると、清岳荘からの旧道ルートが沢沿いに進み面白そう。ということで、当日の朝に三井登山口からの登山届を取り下げて、清岳ルートの登山届を再申請した(「コンパス~山と自然のネットワーク~」でネット申請)

沢沿いに標高を上げていく。前半はドボンしないように渡渉を17回繰り返し、後半は次々と現れる滝を眺めながら20回以上の渡渉を繰り返す。冒頭の写真は、最後の方の沢登り。ナメタキのような沢の端を進む。子供の頃の里山の沢遊びを思い出し、何とも楽しい登りだった

まずは清岳荘前の駐車場に到着。ここで前日に羅臼岳でお会いした神奈川のご夫婦と再会。斜里岳に登られるとは聞いていたが、この日も駐車場で一緒になった。昨日同様、ご夫婦が先に出立。10分ほど遅れて私もスタート

登山道を進むとすぐに沢に出た。一つ目を渡渉し、振り返って撮影。水量は想定範囲内といったところ。下二股まで17回の渡渉がある

次々と渡渉を繰り返す。何とか岩や石の頭を渡っていける

渡渉ポイントには、両岸にリボンの目印か、岩に赤ペンキの印がある。ただし数か所はリボンもペンキも目印がなかった。そんなところは、渡渉しないと先へ進めない

残雪によるスノーブリッジが何か所かある。ここは左手前から渡渉し、写真中央の石を踏み台にして、雪に埋まった枝を掴んでスノーブリッジに乗り上げる。私はピッケルを持って行ったので、ピックを雪に打ち込んで登った


下が空洞になり始めているので、スノーブリッジの上を歩く時も、いつ踏み抜くか、あるいは崩れて落ちるかとヒヤヒヤドキドキ

ここは両岸にまたがるスノーブリッジで、末端が崩落しているところ。上流側から振り返って撮影。下流側から歩いてくると、この崩落は見えない。真ん中を歩こうものなら、ブリッジの崩落とともに沢に落ちる。落ちて濡れるだけならまだしも、捻挫や骨折など怪我をすると、撤退しようにも身動きが取れなくなる


ちなみにここは、右岸(写真右側)を歩いてきて、右手前の崩落した部分を下りてくる

ここは渡渉後にスノーブリッジに上がり、左手に進む

スノーブリッジの左端を下りて手前に渡渉すれば、前半の渡渉は終了

北海道はオオバナエンレイソウだけかと思ったら、普通のエンレイソウもいるんだね

下二股で尾根に登って斜里岳を目指す新道と、引き続き沢を進む旧道に分岐する。旧道を進むと斜里岳山頂方面の雲が取れ始めている。これは良い兆候だ

下二股から上流へと進むと、滝がいくつも現れる。下二股からリセットしてカウントし、7回目の渡渉ポイントにある羽衣の滝(三つ目の滝)

ハクサンオミナエシ(コキンレイカ)

下二股から上二股までの後半も、渡渉やスノーブリッジが続く。写真中央の雪の下の空洞に小さくリボンが見える。渡渉後にブリッジに上がって左手へと進む

ここは左岸(向かって右手)のブリッジに上がり、先にある万丈の滝に向かって進む。ブリッジの下がえぐれているので、できるだけ山側を歩く

万丈の滝に沿って岩を登る。幸いお助けロープがある。登り切って少し先に千乗の滝がある。千乗の滝で右岸(上流に向かって左)に渡渉し、沢沿いに進む。道は不明瞭だが、踏み跡は見て取れる

次第に細くなる沢を登り続け、振り返ると麓の街が見える。斜里方面か?

冒頭の写真。沢が合流するところ。ここを左の沢へと進む

見晴の滝、竜神の滝を通過し、七重の滝(だと思う)。ナメタキの右岸(向かって左側)の縁を登っていく。上部で左岸(向かって右側)に渡ると(15回目の渡渉)、一旦沢から離れる。その先で再び細い沢にでて、やや細めの同じようなナメタキを登るが、17、18回目の渡渉辺りからは、カウントすること不能。何度も右へ左へと移る。最後の方は、跨げるくらいの細い沢になる

右側の沢をどんどん詰めていくと上二股に出て新道と合流する

上二股あたりのヤマザクラ。満開だ

オオバナエンレイソウもちらほら

上二股のすぐ上で雪渓歩き。滑り止め不要

しばらくして雪渓を左に外れて夏道へ。胸突き八丁。しばらく登ると鞍部直下の最後の雪渓に出る

胸突き八丁の上部で最後の雪渓。ここは滑り止めが欲しい。滑り止めのない方が、灌木の枝を掴みながら雪渓の右端を上り下りされていた。雪は暑さでシャーベットが融けたような状態で、チェーンアイゼンを着けてもよく滑る。行きにこの雪渓を撮り忘れて、帰りに遠景で撮影した写真。4人が立っている部分が鞍部で、雪渓の終了ポイント

鞍部から山頂へは夏道の急登。ビクトリーロードだ

エゾノツガザクラ。もうすぐ咲きそう

ミヤマダイコンソウが見ごろ

山頂で三井登山口から来られた方にシャッターを押してもらった

斜里の街とオホーツク海を眺めながら早めのお昼ご飯。風もなく気持ちいい。ちょっと暑いくらい。昼食を食べ終わったころに、神奈川のご夫婦が山頂に到着。聞けば、下二股から新道を使って登ってきたとのこと。しばしお話しして、私は下山開始

オホーツク海と反対側の山並み

写真やや左下、二つの雪渓の手前側、雪と地肌の部分が鞍部。あそこから右手に雪渓を下る(左へ続く雪渓ではない)

帰路は、上二股から新道を使った。稜線を歩くので、斜里岳の全容がきれいに見える。山頂は中央奥に見える。右端の雪渓が、上り下りした鞍部直下の雪渓

雪の重みで斜面を這うようにうねるダケカンバの幹や枝。山肌に蠢くような独特の模様を創り出している

稜線にはウコンウツギ

サンカヨウも咲いていた。雨に濡れると花弁が透明になるが、この日は真っ白

下二股で旧道と合流。ここから下流にある17回の渡渉は帰りも楽しんだ

下山して斜里の宿に向かう途中で、斜里岳を撮影。清岳旧道は変化に富んだ沢沿いの面白いコースだった。こちらのコースに変更して大正解だった


旧道コースは渡渉だけでも十分面白いが、この時期はスノーブリッジの通過もあり、ヒヤヒヤドキドキ、難儀しながらも楽しい。下二股までの渡渉で不安になり、そこから新道へ向かう方もいるが、ここまで来られれば、そのまま上二股まで沢沿いに行けると思う(※個人の感想です)


上部はナメタキのような沢を歩いて進むが、ドボンの危険性は格段に減る。何だか子供の頃に里山の沢を歩いて登った記憶が甦り、とても楽しかった。私は沢登りをやらないので、登山ルートでこれだけ渡渉を繰り返す山は初めてだ。次々と現れる滝も素晴らしく、目を楽しませてくれる


この日は晴れになり、前日の羅臼岳とは打って変わって北海道ツアー第一弾の最高の締めくくりとなった。翌日も晴れだったので、当初の計画通りの日程で、羅臼と斜里をやっていれば、羅臼も晴れのコンディションで登れた。残念だが、これは結果論


ただ、当初の予定では、斜里岳から下山してそのまま車で千歳に移動することになり、疲れた状態でのロングドライブは危険だっただろう。1日早めて二山に登り、翌日を移動日にしたことは良かったと思う。家に帰るまでが安全登山だ


ワイルドで面白い斜里岳を好天のもと楽しむことができて大満足。「北の国からシリーズ」第一弾は熊に遭遇することもなく終了できた。山の神様に感謝感謝!

 

なお、本山行のルートやタイムなどの詳細については、以下の記録を参照されたし

山行記録: 斜里岳。清岳旧道ルートは面白い ☜ ヤマレコの記録

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