2022.01.21 08:45
コロナの第6波が始まり、昨年同様、今シーズンも山初めをしばらく自粛するつもりだったが、尾身会長の「オミクロンは人流抑制ではなく、人数制限が肝要」との発言を聞いて、平日の山なら人がほとんどいないので大丈夫と意を強くし、しかも首都圏のまん防が発効される前なら、大手をふってとは言えないまでも後ろ指を指されることもないかと出かけることに。
今回、出かけることを決めたのは山へ行く前日。いつものごとくカミさんには呆れられたが、「思い立ったが吉日」なのだ。早速、直近の雪の様子などを山好きのSNS「ヤマレコ」でチェックすると、とある方の記録にアイスバブルの写真があった。これはラッキーとばかり、今回は大沼の氷上歩きを楽しむことに
冒頭の写真がアイスバブル。赤城山の噴火でできたカルデラ湖の大沼にて撮影。湖底からわき出るメタンガスなどの気体が透明な氷の中に閉じ込められて、気泡や円盤のような形に凍ったもの。これが上下に連なって層のようにできるのが何とも不思議。 見られるのは、氷結してから雪が降り積もるまでのわずかな間
本格的に山を再開した2014年から毎冬のように赤城山に来ているが、アイスバブルが発生したのは、2019年と今年の2回だと記憶する。2019年の1月の時は、降った雪が強風で飛ばされ、湖面の中央部がまるでアイススケートリンクのようになっていた。今回は氷がむき出しになっている部分が斑に点在している状態だった
まずは自宅から東京を取り巻く中央環状線で川口まで行き、そこから東北道と北関東道を走り、伊勢崎ICから一般道で赤城山に向かう。標高1350m位のところにある大沼湖畔の無料駐車場に車を停め、大沼の氷上を歩きはじめる。年によっては、この時期でも完全に凍結していないこともあり、氷上歩きができなかったり、ヒヤヒヤすることがあるのだが、今年は昨年暮れから急にやってきた寒波で全面凍結しており、ワカサギ釣りのテントがあちこちにあって安心して歩ける(笑)
おのこ駐車場から氷上に進んでしばらく、ドーンドーンというような音に気付く。遠雷だろうか、それとも神社の御祈祷の太鼓だろうか、はたまたどこかで工事の発破でもやっているのかと思いながら歩いていると、音が足元から来ることに気づく
以前にも凍った小沼湖畔でお湯を沸かしてお昼ご飯を食べているときに不気味な音を聞いたことがあるが、今回の音は不気味さがハンパない。氷がぶつかる音なのか、氷が膨張して圧力が限界に達してひび割れる音なのか、何とも気味が悪かった。iPhoneの動画で音を捉えようと試みたが、耳で聞くほどには補足できていなかった
気持ちの悪い不気味な音を足下に聴きながらアイスバブルを探し続ける。コップに注いだばかりのシュワシュワのサイダーを瞬時に凍らせたような細かい泡は至る所で見られるのだが、本格的なアイスバブルはなかなか見つからなかった。赤城神社の横を通り抜けて、湖の真ん中から奥へと氷上を歩いて行くと、ついにそれらしきものを発見。さらに周囲を探す
そしてついに、冒頭の写真のアイスバブルを発見できた。縦に層状に連なる円盤状のバブルは、一瞬にして同時にできるのか、それとも順に形成されていくのか、何度見ても不思議な現象だ。日本では北海道の湖などで見られるが、関東ではなかなか見ることができない
周りにはワカサギ釣りの太公望たちが、寒さを凌ぐためのテントを張って、氷に開けた穴から糸を垂らしている。釣ったワカサギは、氷の上に放置しておけばすぐに凍ってクーラーボックスもいらない。この日は大沼の駐車場でお昼ごろの気温がマイナス6℃だった。それにしても、このテントはでかい芋虫みたいに見えてしまう(笑)
橇は釣り人たちの必需品。この橇に道具一式を乗せて湖面を引っ張て歩く
30-40分、氷上歩きを楽しんだ後、大沼湖畔に鎮座する赤城神社に参詣する
拝殿で安全登山のお願いをした後、社務所でザックの形をしたお守りを授かり、昨年のお守りを返納。今年で9代目のお守りになる。山を本格的に再開してから、これまで何回か登山で危ない目に遭ったが、そのたびにこのお守りに救われてきた
さて、駐車場を出発してから、大沼の氷上歩きと赤城神社での安全祈願詣を終えると1時間程経過していた。やっと初登りのスタート。今回も黒檜山(くろびやま)の登山口から登り、駒ケ岳へと周回して駐車場に戻る。今年はそれなりに雪があり、岩ゴロの登山道が雪で覆われて、上り下りがしやすくなっている
通称、猫岩まで上がってきて、大沼と赤城神社(写真中央やや左下)を眺める。湖面の黒い斑点のように見えるのが、氷がむき出しになっている部分。小雪がちらついているので、画面が白っぽく見える。日本気象協会の有料サイト「山頂の天気」の予報では終日晴れなんだがな・・
富士見ポイントから地蔵岳を眺める。山頂の電波塔群の左に富士山が見えるのだが、今日は地蔵山頂の電波塔すらも霞む。別の天気予報サイト「SCW」の雨雲予測では、午前は薄雲がかかるものの、昼前から雲が取れて青空が広がる予報。そろそろ取れる時間のはずなんだが・・
登山口から登山道はほぼ雪に埋まり、天候を除けば快適な雪山ハイクだ
赤城山の主峰「黒檜山」山頂に到着。まだ薄雲が取れない。すぐ近くの絶景ポイントに行っても、何も見えそうもないので、駒ケ岳への周回へと進む
その前に、黒檜大神に昨年のお礼方々手を合わせる
一旦下って登り返して、駒ヶ岳山頂に到着。やっと青空が広がり始めた。山頂標の後ろの木々には霧氷ができている。左の霧氷の背後に、先ほどまでいた黒檜山が見える
大沼を左下に望む。青空は広がってきたが、谷川連峰や浅間山などは相変わらず雲に隠れている。ちょっと残念
ここは山の片側が崩落しているポイント。登山道は右側の少し下の樹林帯を進む
鳥居峠方面と大沼方面との分岐。写真の向こう側からやってきて振り返ったところ。木製ベンチが3つくらい並んでいるのだが、一つだけかろうじて座面が出ている
大沼方面へ向かって下りていくと、九十九折りのコーナーに何かいる。最初は岩かと思ったが、毛で覆われているので獣だと気づいた
のっそりと顔を上げたので、鹿だと分かった。絶えず口をモグモグさせていた。1mほどの接近遭遇だが、鹿は驚くことも逃げることもなく、こちらをずっと見ていた。熊じゃなく、鹿で良かった
鉄製の階段も埋まって手摺りが出ているだけ。この上の階段は全体が出ていたが、皆さんアイゼンが引っ掛からないように階段ではなく、雪の上を歩くので、トレイルは階段横についている
車道まで下りてきた。先に駐車場が見えている。気持ちの良い雪山ハイクだった。今年もコロナの間隙を縫って山を楽しめますように・・・
なお、登山コースやタイムなどの詳細については以下を参照されたし
山行記録: 赤城山。アイスバブルと恒例の安全登山祈願 ☜ ヤマレコの記録