2021.11.02 08:00
計画に当たって
山は秋から冬へと衣替えが進んでいる。3000m峰が続く南アルプスの南部にある聖岳(3013m)から赤石岳(3120m)へと3泊4日で縦走する山旅に出かけた。山頂付近はすでに積雪し始めており、これ以上遅くなると私のレベルではとても入り込めなくなってしまう。その前にこの山域にある未踏の百高山二つ、上河内岳(かみこうちだけ)と大沢岳の頂に立ち、今シーズン中に百高山の完登を狙う。数日間の好天を待っていたところ、幸運なことに水曜から土曜まで晴れ予報になり、敢行することにした。
自宅を0時半に出て、東名高速を新静岡ICで下り、R27→R189→R60と進んで大井川上流の畑薙(はたなぎ)第一ダムへと向かう。一般車はその先の沼平駐車場までで、その先は登山口まで歩くことになる。例年なら森林を管理する東海パルプの関連会社である東海フォレストのマイクロバスが送迎運行してくれるのだが、コロナで南プス南部の山小屋は2年続けて休業中のため、バスも運休となっている
一番手前の茶臼岳へは、小一時間歩いた先の畑薙大吊橋を渡って入山する。聖岳へはゲートから13キロほど先の聖沢登山口から、また赤石岳や悪沢岳はゲートから16キロを歩いて椹島(さわらじま)から入山する。送迎バスがないと、長い林道歩きを強いられ、アクセスが極めて悪く、おまけに山小屋は休業中なので、寝袋や食料を担いで登らなければならない。この時期にこの山域に出かける人は、南プス南部を愛してやまない物好きが多い(笑)
ちなみに椹島の奥では、JR東海と静岡県が揉めているリニアのトンネル工事の拠点があり、豪雨災害で部分的に崩落した畑薙から椹島間の林道復旧工事と合わせて、ダンプなどの工事車両が走っており、紅葉を愛でながらのんびり歩いていると、砂埃や排気ガスにやられる
復旧工事やトンネル工事がなかった頃はとても静かな林道で、山に登らなくてもハイキングやサイクリングで椹島ロッジやその奥の二軒小屋ロッジを利用して手つかずの自然を楽しむことができた。何年先になるか分からないが、トンネル工事が終了した後は、工事拠点をリゾート地に開発する計画がある。上高地のような山岳リゾート地になるかどうかわからないが、多くの人が大井川上流の自然を楽しめるようになるだろう。ひっそりとした椹島を愛する者としては、ちょっと寂しい気もするが・・・
前置きが長くなったが、冒頭の写真は赤石岳。聖岳から赤石岳へと周回してきて、反対側から赤石岳に登り、山頂からこちら側へ稜線を下ってきたところ。赤石岳の稜線から椹島へ下山する分岐地点から振り返って撮影した写真だ
全行程の歩行ルート図と標高グラフ
聖沢登山口から畑薙へ帰る際に、聖沢登山口でログが切れた
最高点の標高: 3112 m
最低点の標高: 946 m
累積標高(上り): 7567 m
累積標高(下り): -7347 m
山行の詳細
山行タイムは休憩時間を含んだ1日の行動時間
1日目の記録
畑薙→聖沢登山口→聖平小屋:26.2km、9時間43分
歩行ルート図と標高グラフ
最高点の標高: 2285 m
最低点の標高: 946 m
累積標高(上り): 2290 m
累積標高(下り): -955 m
山行の詳細
まずは畑薙ゲートから聖沢登山口まで約13キロの林道を進む。今回は林道対策として電動アシスト自転車を新兵器として投入。ゲートを5時半に出発したので真っ暗な中を走った。この写真は帰りに撮影した写真だが、ご覧のように未舗装部分がかなりある。しかも前日の朝まで降った雨のため、往路の林道はぬかるんで水たまりもあちらこちらにできていて、電動アシストを生かしたスピード走行ができなかった
というか、登り坂ではアシストパワーが見る見るうちに落ちて、歩くスピードより遅いくらいだ。自分でもそれなりにペダルを漕がないと進まないことを体感した。それでも電動アシストの効果も十分に実感できたので、しばらくは登山にも活用していきたいと思っている
こちらの写真は、初日朝の明るくなった後の写真。実は泥濘や小石に集中しすぎて、聖沢登山口をすっかり見落としてしまった。聖沢登山口から先は写真のように舗装工事が完了しており、走りやすい道になったので気分を良くして、椹島にかなり近いところまで走ってきてしまった。ここまできたら逆回りに変更することも頭をよぎったが、CT(コースタイム)管理がややこしくなるので、Uターンして登山口に戻った
自転車を木に括りつけてデポし、準備を整えて8時少し前に登山を開始。Uターンや準備に手間取り、想定より1時間以上遅いスタート。樹林帯の中を黙々と進むと、樹間から前聖岳(左奥)と奥聖岳(右手前)の稜線が見えてきた。聖岳の山頂は標高が僅かながら高い前聖岳になる
吊橋を何回かわたるのだが、多くの吊橋は写真のように部分的に破損しており、通過するのが気持ち悪かった。2シーズン連続で山小屋が休業しているので、吊橋も崩落個所の補助ロープなども破損した部分が補修されないままになっている
標高2100mを過ぎたあたりから雪が現れた。ここは沢を通過していくところで、岩の上の雪が滑りやすく簡易的なチェーンアイゼンを装着した。その後は特に雪の量は増えず、雪のない部分もあったが、そのままチェーンアイゼンで小屋まで進んだ
聖平小屋に到着。標高1140mの登山口から、2260mまで上がってきた。正面が本棟で、左の木に隠れているところに冬期小屋として開放されている小屋が並んで建っている。前の空き地はテント場で、トイレ棟はテン場を挟んで私の立ち位置の左後方にある
水場は小屋の横を流れる沢で、この時期は涸れることが多いが、前日朝までの雨で沢は水がしっかり流れていた。涸れている場合は、登ってきた道を5分ほど下ると水が流れている沢がある
大きくてきれいな冬期小屋は、この時期の平日なので期待通り貸し切りだった。寒さ対策のため小屋の中にインナーテントを張らせてもらった。初日は、ほとんど寝付けないまま車を走らせてきたこと、体が思うように動かず予定より1時間遅れてヘロヘロになりながら登ってきたことで、この夜は爆睡だった
2日目の記録
聖平小屋→上河内岳→聖平小屋→聖岳→兎岳避難小屋:12.6km、13時間9分
歩行ルート図と標高グラフ
下の標高グラフの真ん中あたりで、標高を1800m付近まで下げているように記録されているが、GPSログの誤動作だと思う。ここは上河内岳から聖平小屋に戻ってきて、テントの撤収や荷物のパキング、小屋の片づけをしていた部分。左端の出発点と同じく標高2260m位のままで、凹みはなくフラットな線になるはずである
最高点の標高: 3012 m
最低点の標高: 1827 m
累積標高(上り): 2179 m
累積標高(下り): -1731 m
山行の詳細
翌朝、4時前に小屋を出て、一つ目の未踏の百高山である上河内岳(かみこうちだけ、2803m)に向かった。アタックザックに12本爪の本格アイゼン、ワカン、防寒具を入れ、ピッケルを外付けして、できるだけ軽量で登った。ヘッドランプを点けて暗い登山道を進み、ご来光直前に山頂に立つことができた
写真中央はこのあとに登る聖岳で、左奥がその後に進む兎岳や中盛丸山などの稜線、聖岳のすぐ右側は明日3日目に登る赤石岳、さらに右には荒川三山の一つである悪沢岳(わるさわだけ、3141m)が見える
6時過ぎに富士山の右からご来光。幸先良いスタート
朝日で私もちょっぴりモルゲンロートに染まる(笑)。百高山リーチ、99座目
山頂から一旦下り、南岳まで登り返して上河内岳を振り返る。反対側の茶臼岳側から見ると尖ったシャープな山に見えるが、こちら側からはどっしりとした山に見える
聖平まで下りてきた。下りは速い(笑)。昔はドコモしかつながらないところが多かったが、最近は各社の携帯電波が届くようになった。それでも小屋ではすべてのキャリアが繋がらず、小屋から5分ほど歩いて聖平の分岐までこないと繋がらない
聖平の木道を通り小屋に戻る。テントを撤収しパッキングしなくてはいけない。前方奥はこれから登る聖岳。小屋から先へ進むのではなく、この位置まで戻ってきて写真左手方向に進む
跳ね上げの雨戸をすべて締めて戸締りした。快適な冬期小屋に感謝!雪が積もると、看板横の入り口は雪で埋まるので、除雪のために登山用スコップをザックに括りつけて持ってこないとドアを開けられない
薊畑(あざみばたけ)まで上がってきて、先ほどピストンした上河内岳を望む。身軽にサッサと登って下りたが、聖岳へは重いザックを背負ってペースが上がらない
それでも小聖岳まではCTで上がってくることができた。ここで軽いブランチ休憩。お昼前には山頂に到達できると目論んでいたのだが・・・
富士山を右手に眺めながら喘ぎ喘ぎ登る。次第に失速していく
聖岳山頂に着いたのは午後1時だった。小聖岳からここまで登ってくる間に、名古屋から来られたソロの男性の方が下ってきてスライドした。私とは反対の伊奈側の芝沢登山口から入ってこられたとかで、日帰りで聖岳を往復するとか。私にはとても真似できない。今回の3泊4日の山中で出会ったのはこの方だけだった。土曜の朝に椹島に下山してからは、林道をやってくる登山者やサイクリングの人たちに出会った
聖岳山頂からの富士山。雲海とのコラボが何とも美しく似合う
富士山から左手にはこれから進む稜線が見える。左のV字谷に百間洞小屋があり、その左が最後の百高山となる大沢岳。V字を右側に登ったところが百間平とその右に馬ノ背。右端の白いのが赤石岳山頂
2泊目は沢が横に流れている百間洞小屋まで行きたかったが、山頂に到着したのが想定より1時間以上遅れているので、本日の夜は兎岳山頂直下の兎岳避難小屋に泊まることにした。兎小屋周辺には水場がないので、雪がたっぷりある聖岳山頂直下で水を2Lほど作った。約2キロの重量増加が圧し掛かり、このあとさらに失速することに・・
聖岳を下山する前に、上河内岳からここまで辿ってきた稜線を見納め。写真左の上河内岳から右手前に伸びる稜線だ。上河内岳から右横に続く稜線は、茶臼岳、仁田岳(にっただけ)、易老岳(いろうだけ)、百名山の光岳(てかりだけ)、池口岳へと続いている。その奥の山々は深南部と呼ばれる山域だ
聖岳から登ってきたのと反対側に下る。こちらは北側斜面なので雪が深い。特に山頂直下は膝まで沈む柔らかい雪で、ワカンを装着しようかと迷うくらいだった。結局、ワカンを使用するような個所は短かったので、アイゼンのままで聖兎のコルまで下った
下りは尾根筋を進むところや斜面をトラバースしながら下るところなどがあり、岩にペンキで書かれた矢印などのマークは雪に隠れているので、どこを通るか自分の目とGPSの両方で確認、判断しながら下りてきた
聖兎のコルまで下りてきて振り返ったところ。標高を下げればアイゼンは不要なほど雪は少ない。ここでチェーンアイゼンに戻した
兎岳への登り返しは結構な急登。雪を溶かして作った2Lの水が身にこたえ、登りのペースはどんどん落ちる
夕暮れの空。あと少しなのだが、足が動かず気ばかり焦る
聖岳は夕日でアーベントロートに染まるし・・・
やれやれ、暗くなる前に兎岳避難小屋に着いた。本当に避難小屋感の強いブロックと石積みの小屋だ。以前にここの前を通った時は、「この小屋だけにはお世話になりたくないな」と失礼ながら思っていたが、まさかここに厄介になるとは・・。中は4人が横になれるくらいのスペース。もちろんトイレもない。親切にも小屋の中には携帯トイレがストックしてあった(小屋の周りを汚されては困るしね)
問題は入り口のドアのフレームが壊れていて締まらないこと。ドアの自重で大きく開いてしまう。どうやったら締められるのか思案していると、ドアノブに長い紐が結んであり、小屋の内側に重い石が転がっていた。さらに石の横には白い紐も落ちていた
長い紐の先に10センチくらいの枝が括りつけてあったので、ピンときた。石に白い紐を巻いて、そこに枝を引っかけてドアを固定することができた。考えてみれば、テントの張り綱を石や木の幹に括りつけるのと同じだ
この日も貸し切りで、気兼ねなく小さな小屋の中にインナーテントを張って隙間風から身を守って寝た。ただし、深夜から強まった風の音が気になり、なかなか熟睡できなかった
3日目の記録
兎岳避難小屋→兎岳→中盛丸山→大沢岳→赤石岳→赤石冬期小屋:12.5km、12時間55分
歩行ルート図と標高グラフ
最高点の標高: 3112 m
最低点の標高: 2460 m
累積標高(上り): 1458 m
累積標高(下り): -1662 m
山行の詳細
3日目の朝。3時半頃に風が弱まったので準備を終えて4時前に出立。するとまた風が出てきて、兎岳の山頂を越えて小兎岳との鞍部へ下るまで風が吹き続けた。幸いなことに、その後はほとんど風は止み、穏やかになった
小兎岳を越えて、中盛丸山との鞍部まで下り、黎明の時間帯になった。地球が丸いことを感じさせるような空の青のグラデーションだ(太陽が丸いからか?)。手前の稜線のシルエットで、中央右の富士山が小さく見えてしまう
中盛丸山の山頂(2803m)から振り返る。左奥が聖岳、右奥が兎岳、中央手前が小兎岳と、通って来た尾根が一望できる
兎岳の右側(伊奈側)には雲海が広がっている
これから向かう赤石岳方面。左下のV字の右の白い斜面を登り百間平に上がり、馬ノ背を通って赤石岳の大斜面を右斜めに登っていく。赤石岳の左奥に悪沢岳を含む荒川三山、その左奥に白峰三山の農鳥岳と間ノ岳。さらに左奥に甲斐駒の頭が小さく見える。左端の奥が仙丈ケ岳。南プス北部の山々まで見えている
中盛丸山と大沢岳との鞍部へ下りたところで日の出。本日も素晴らしいご来光。鞍部に重いザックをデポして空身で大沢岳に向かう。大沢岳から向こう側へ回り込んで百閒洞小屋のテン場方面へ下りられるのだが、重いザックを背負って大沢岳に登らなくてはならないので、迷わずピストンすることに
大沢岳山頂(2820m)、百高山100座完登!自分にとっては大きなマイルストーンの達成。山を本格的に再開して8年目。百名山ハントに遅れてスタートした百高山だったが、コロナで北海道や九州への遠征が難しくなり、先に百高山をコンプリートした
ザックをデポしたコルまで戻り、大沢岳の斜面をトラバースしながら百間洞小屋へ下る。この辺りはピンクリボンのマークがほとんどなく、登山道らしきところを目とGPSで確認して下っていく
百間洞小屋まで下ってきた。冬期避難小屋スペースは右側の階段を上がっていく。水は前の沢で汲む。トイレ棟は使用できないし、携帯トイレもストックされていない。まぁ、自分で携行するのがマナーなのだが・・
右の階段を上がったところにある冬季避難小屋スペースの重い引き戸は、以前は開けると自分のほうに倒れてきていたが、修理されてまともにスライドするようになっていた
百間洞小屋で朝食を取り、沢で水を汲んで百間平に向けて急斜面を登る。チェーンアイゼンから12本爪の本格アイゼンに変更した。なかなか厳しい登りが続き、失速が始まる
百間平に到着。先の中央やや右の緑の部分が馬ノ背。ともに平らなのだが、踏み出した足に体重を乗せると足首から脛まで沈み、微妙に疲れる。ここでも失速
馬ノ背から赤石岳の大斜面のトラバース路が見て取れる。左下から右上に続く白い線だ
いよいよトラバース路に突入。この辺りは比較的緩やかで余裕だったが、次第にトラバースの上部は厳しくなり、足が攣りそうになった
大斜面のトラバースを終えて、右正面の斜面を右下から左上に進み、写真中央で右上に曲がって進む。分かっていながら急斜面をショートカットしようとして、中央やや右の雪の斜面を進み、ドツボに嵌ってさらに失速
斜面を登りきると斜度が緩み、正面に赤石頂上避難小屋が目に飛び込んでくる。やれやれ、緊張が一気に解けた
県営の山頂避難小屋。こちらも2シーズン休業。小屋の反対側の外階段を上がって、2Fに冬期避難小屋スペースがある
2階の冬期避難小屋スペース。いつの間にこんなに綺麗になったの?以前から十分綺麗だったものの屋根裏感の溢れるスペースだった。改装されて天井が高くなり床や壁が張られて素晴らしい。さすが県営!前泊の兎小屋との違いに、真剣にここで泊まろうかと迷った(笑)
定番。赤石岳山頂標と富士
ここからの富士山は本当に大きく美しく見える
山頂から小屋を見下ろす。奥の小さい小屋がトイレ棟。以前はすべてカギがかかっていたが、今は営業期間外でも一つが利用可。ただし、雪かきをしないと扉が開かないと思う
赤石山頂で午後2時すぎ。ここから見える赤石小屋はCTで2時間半なので、やっぱり赤石小屋まで下ることにした
昨日からずっと見えていた北アルプスの槍ヶ岳から穂高連峰の山並みにお別れ
冒頭の写真。赤石山頂から椹島への分岐まで下りてきて振り返った写真
分岐からの下りは、登り返しが何度もあったが、CT通り赤石小屋に到着。本棟の近くにある冬期小屋の看板の建物ではなく、さらに50m程進んだ倉庫棟が冬期避難小屋になっている。水場はここから下ること数分。細いがしっかり出ている
水を汲んで戻ってきたら、ちょうど暗くなった。小屋は外梯子で2Fから入る。中の内梯子で1Fの土間に下りられたが、1Fの宿泊スペースに入るドアはロックされていた。天井が低い2Fスペースを利用。きれいで4-5人は寝られるスペース。この日も貸し切りだった。なお、トイレ棟は本棟まで戻った先にあり利用可
4日目の記録
赤石冬期小屋→椹島→聖沢登山口(→畑薙):9.9km、4時間6分
歩行ルート図と標高グラフ
最高点の標高: 2546 m
最低点の標高: 1134 m
累積標高(上り): 1621 m
累積標高(下り): -2958 m
山行の詳細
4日目の朝。4時半頃に小屋を出立。ヘッデンで下りてくると次第に明るくなってきた。中腹はまだまだ秋だね
GPSの調子が悪かったようで、スマホ画面ではなかなか椹島の登山口への距離を縮められないことにイライラしていたら、突然道路が見えてこの階段の上部に出た。椹島にワープしたみたいな喜び。ここから自転車をデポした聖沢登山口までは徒歩40-50分
椹島から聖沢登山口までは、ほぼコンクリート舗装が終了している。泥濘も水たまりもなく景色を楽しみながらぶらぶらと歩いて下った。山の中腹は秋色で、上部は冬景色になりつつある
今回初投入した電動アシスト自転車を回収。登山靴を荷台に括りつけ、ジョギングシューズで楽ちん走行。ガタガタ道を飛ばして下りたら、ヘッドランプのネジが緩み外れてしまった。このネジで一緒に固定していた前輪の泥除けカバーも外れ、タイヤと擦り始めてしまった。紐で応急処置するも、何度もやり直して思わぬ時間がかかってしまった。XX製は面白い製品を作るようになったが、まだまだ細部の品質が・・・
大井川に山の斜面の紅葉が映り綺麗だった。4日間、本当に素晴らしい天気に恵まれ、今シーズン中に滑り込みで百高山を達成することができた。感謝感謝!
山行を終えて
残すところ百高山6座でスタートした今シーズン。達成は楽勝かと思っていたら、コロナ自粛でなかなか山に出かけられず、ヤキモキさせられた。ワクチン接種が進み、百高山ハントを再開したのは9月半ばだった
降雪しても百高山完登を粘れるように、雪が早く降り始める北ア北部から始め、順番に南下する作戦を取った。最後に残したのが一番南にある南プス南部の2座、上河内岳と大沢岳。今回2座を一度に終えるべく、最後の賭けのタイミングを待っていた。出発2日前に天気予報が好転したことをもって計画を実行に移した
ほぼテン泊装備を担いでの縦走となり、直前に降った雪と相まって厳しい山行となった。そう簡単には終わらせてくれない。結果的には、自分が何とか対処できる降雪レベルだったこと、4日間の天候が打って変わって安定し登山日和になったこと、ヘロヘロになりながらもやり遂げようという意思を貫けたことにより、一つの大きな目標を達成することができた
平日とは言え、これだけの好天にもかかわらず、山で出会ったのは聖岳の御一方だけ。椹島に下山するまで、それ以外には全く出会っていない。もはや冬山シーズンに突入し、そう簡単には3000m峰を縦走できる状況ではなくなりつつあるということだろう。年も顧みず挑戦したのは無謀だったかもしれない。今回も神仏のご加護のようなものを強く感じる山行となった
関連情報
なお、今回の山行のルートやタイム、小屋や水場の情報などの詳細については、以下のヤマレコの記録を参照されたし
山行記録: 南プス 聖岳、赤石岳周回。極上の百高山締め括り ☜ ヤマレコの記録