COVID-19に思うことー3

年寄りの繰り言

緊急事態宣言の発出につぃては、危機感をより強く持っている東京都が政府に迫り、やっと実現したような印象を受けるし、実際のところ小池都知事の押しがなければ、4月11日からの週末も先週末と同じ外出自粛要請に終始したと思われる

(東京湾の夕景。一見きれいに見えるのだが・・・。2月4日撮影)

発令の遅れの原因は、宣言を出した後の諸施策の具体的な実施内容の詰めが政府内で間に合わなかったという事情もあるだろうし、縦割り行政である各省庁の調整も簡単ではなかったこともあるのだろう。それにしても、東京都が先行して具体的な対応を取りまとめ、小池都知事が積極的にメディアを使って発信し始めたことで、政府としても動かざるを得なくなったのではないか

安倍首相の説明を聞く限りは、諮問委員会の判断を受けて緊急事態宣言を発令することとしたということだが、経済にも目配せしたい安倍政権の意向を忖度し、諮問委員会がぎりぎりまで判断を伸ばしてきた感も否めない。諮問委員会を構成する感染症の専門家や医師会の重鎮などは、3月30日には「諮問委メンバーではもう宣言した方がいいのではないかとの意見がほとんどだ」と述べていた。にもかかわらず判断を仰ぐ諮問委員会の開催を4月6日とし、実際の発令を7日としたことからも、政府の決断はスピード感があるとは到底言い難い

一方で、東京都を牽引する小池都知事の対応については、安倍政権よりも良い意味でセンシティブな危機感を持っていたと称える一方で、小池都知事の政治的なパフォーマンス、私の方が政府よりも迅速かつ適確に対策を進めていますよというスタンドプレー的な印象を受けるのは私の穿った見方だろうか

(1枚目の写真の雲は太陽の反対側へと怪しげに空を覆っている。まるで不吉な竜のよう)

都知事という立場で、東京都を守るという使命感とリーダーシップは素晴らしいが、東京都は同じ自治体といっても地方の県とは大きさも重要度も桁違いに異なる。東京都の施策が他の自治体に及ぼす影響にも目配せし、事前の根回しや意見交換などの配慮をすべきではなかったかと思うし、政府との間でも事前調整ができていないが故の対立や違いが浮き彫りになった

事前調整、根回しなどは、日本においては「文化」のようなもので、政治家は特に秀でていたはずなのだが、最近の政治家を見ていると首をかしげたくなるような光景を目にするようになった

上述の小池都知事の例だけでなく、安倍首相の突然の休校宣言や外国からの入国規制も同様な印象を受ける。旧民主党政権下でも、前原大臣の八ッ場ダム中止や蓮舫議員の事業仕分けなどの進め方も稚拙そのもので、政治家そのものの「手腕」というか「品格」というようなものが低下してきているように思う

小池さんと安倍さんに話を戻すと、TVと新聞との違いはあれ、お二人ともメディア出身であるが、それにしては言葉に対する感性がイマイチだ。小池さん率いる希望の党への民進党の合流時にも、「全員受け入れ、サラサラない」とか異なる政策を持つ議員を「排除する」と述べたことは記憶に新しい(あの時も民進党側の前原さんの稚拙さが際立った)

安倍首相の「入国を拒否します」との宣言についても、文言自体は正しい言い回しなのだろうが、個人的には違和感を覚える。「制限します」とか「禁止します」とか、言い方を工夫しても良かったのではないかと思う。また、宣言する際には、事前に対象国に説明し理解を得ておくとか、「こういう事態なので相互で入国制限しませんか」というような提案をすれば、ギクシャクしないで済んだのではないかと思う

明治から大正、昭和、そして平成へと時代が変わるにつれて、政治家が小粒になったという揶揄は大きくなってきたが、政治家だけでなく企業の経営者も文豪や芸術家も、はたまた裏社会も同じような傾向にあるように思う(企業経営に携わった者としての自嘲も込めて)

そしてこの傾向は日本だけでなく、世界にも共通して言えるように思えるのは私だけだろうか・・

次回は、東京都と政府のコロナ対応策、特に施策の打ち出し方について私見を述べてみたいと思う

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