コールマン ガソリンランタン・ストーブ(コンロ)のポンププランジャー修理

旅の記録

先日久しぶりにキャンプに出かけた。出かける前にテストして使用可能なことを確認したコールマンのガスストーブ(コンロ)の調子が悪く、だましだまし使用した。次回に向けて、早速修理したので備忘録として記録に残すことにした。

対象製品

コールマン製ツーバーナーコンロ。モデル424-700

上の写真が小型のツーバーナーコンロ。今から30年くらい前、カリフォルニアに駐在していた時に現地で購入したもので、通常のツーバーナーコンロより小型のタイプ。本体の手前に装着されているのが、ホワイトガソリンのタンク。

不具合の現象

上がガソリンタンクを外した状態。右に伸びているのがポンププランジャーで、これをピストンすることでタンク内を加圧するのだが、うまく加圧できなかった。調子が良いと圧がかかるのだが、どうかすると突然プランジャーがスカスカになり全く圧がかからない。特に気温の低い朝と夜は加圧できず、使用できなかった。日光が当たり気温が上がると加圧しやすくなり、昼間は何とか使用できた。

東日本大震災の時に、我が家の浦安地区もひどく液状化し、電気、ガス、水道などのライフラインが一週間近く止まった。その際に、このツーバーナーが活躍したので、10年前には問題なく機能した。今回のキャンプに出かける前にも自宅でテストし、着火できることを確認した(若干、圧がかかりにくい感じはあった)

修理方法

部品の調達

ネットで調べると、同じようなトラブルに関する記事や投稿が見つかった。殆どの方がプランジャーセットを購入し交換することで、元通り加圧できるようになったと書かれていた。

色々調べると、不具合のない部分まで丸ごと交換するのは勿体ないとか、SDGsからも疑問だというコメントがあった。全く同感だったので、アマゾンのサイトをさらに調べると、さらに細かい部品単位でも購入できることが判明。そこで、一番疑わしいポンプカップだけ注文してみることに。

プランジャーセット 242J5201 ¥2,389(アマゾン)☜ 丸ごと交換

ポンプカップ 216-1091 ¥588(アマゾン)☜ ピンポイント交換

部品交換

1)プランジャー部分を外す

プランジャーを引き延ばし、タンク本体の黒いキャップ部分を捻って反時計回りに回す。この時、黒いキャップの溝にかませる専用工具のレンチ(コールマン スーパーレンチ 149A9505、¥1,099、アマゾン)がない場合は、上の写真のようにペンチの先を溝にかませて捻ればよい。ペンチのない方は、ダイソーで100円で購入できる。

回してロック部分を解除したら、プランジャーごと引っこ抜けば簡単に外れる。下の写真が外した状態のプランジャーと購入したポンプカップ(ビニール袋内)。プランジャーの左端のカップを交換する。

2)プッシュアンナット(retainer)を外す

ポンプカップを交換するため、カップを固定しているプッシュアンナットと呼ばれる部分を外す。

上の写真のように、ポンプカップの内側に円盤状のプッシュアンナットがある。プッシュアンナットの中央には、3つの突起があり、突起の先端がプランジャーの溝にはまってポンプカップが動かないように固定している。

プッシュアンナットを外す専用工具はないので、マイナスドライバーやピンセットなどを使って外す。プランジャーの溝に突起の先端がはまっているので、外すのに苦労する。外れない場合は、先に突起の先端部分を一旦広げておくなどの一手間を加える。この場合、精密ドライバーやピンセットの方がやりやすいかもしれない。

不幸にしてプッシュアンナットを破損してしまった場合は、ポンプカップとプッシュアンナットのセットも販売されている(R216-111T、¥800程度)。最初からセットで購入しておけば、プッシュアンナットを力任せに外して破損しても安心。

3)ポンプカップの交換

購入したポンプカップと取り換えて、プッシュアンナットで抑える。3つの突起の先端がプランジャーの溝にはまってカップが固定されたことを確認。プッシュアンナットを外す際に、突起の先端を広げた場合は、ペンチなどで狭めて元に戻したうえで装着する。

4)プランジャーをセット

プランジャーを差し込んで、手順1)のようにペンチの先を嵌め込んで、時計回りに回してロックする。プランジャーをピストンさせて、加圧できることを確認する。

以上で、修理完了。万一うまくいかない場合はコールマンに電話して相談する。現物を持ち込むか、宅急便で送るなどして、修理してもらうことになる

コールマン修理受付サイト 電話:0120-999-050

応急措置

現地で突然加圧できなくなった場合の裏技を紹介。冒頭の写真は、我が家のバーナーとランプの箱入り写真。写真左は帰国後に日本で購入したコールマンのランタン。ともに同じホワイトガソリンを使用し、プランジャーで加圧してガソリンを送り込む仕組みも同じ。

実は米国メーカーのコールマンはとても合理的な設計で、ほとんどの製品が同じ部品で構成されている。つまりランタンのプランジャーシステムとコンロのプランジャーシステムは互換性があり、どちらにも使用可能ということ(修理方法も同じ)。

品番によっては互換性のない製品もあるので要注意。アマゾンなどのポンププランジャーのサイトには以下のように対応製品が列挙されている:

  • ランタン: 282 285 286 286A 288 290 295 200B 214 635B 639B 639C ほか
  • ストーブ: 508 508A 502A 533 413H 416 424 425 426 426E ほか
  • ピーク1などのストロークが短いモデルは装着できません。

もし、上の品番のコールマンのランプとコンロを持っているのであれば、ペンチを一つ持っていけば、咄嗟の時にプランジャーの入れ替えができる。我が家もそうだが、キャンプの場合、大抵は複数のランタン(ランプ)を持っていくので、ランタンが一つ使用できなくなっても何とかなる。

上の写真がコールマンのガソリンランタン。燃料のホワイトガソリンも共通なので、1缶持っていけば両方に補給できる。専用ロートも共用できる。東日本大震災の際に我が家で活躍したように、災害時にもコンロや電灯代わりになるので心強い。

今回のトラブルには現地でホトホト困ったので、ペンチをコンロの箱に常備するようにした。念のため、次回以降は登山用の携帯ガスコンロも持っていくつもり(笑)

余談

今回は最小限のパーツ購入(¥588)でセルフ修理ができた。当たりを付けた通り、ポンプカップが劣化したことによるトラブルだった。

上の写真が外したポンプカップ。見た目にどこが悪いのか分からなかったが、届いた交換部品に触れて納得。とても柔らかく弾力性があるのに対し、経年したものは固くなっていた。柔らかさというか、しなやかさを失って空気の出入りをうまく制御できず、隙間から空気が抜けて加圧することができなくなったようだ。日光などで温度が上がると、ポンプカップの弾力性が多少復活して、日中は加圧できたのではないかと推察している。

ポンプカップには、より耐久性のある革製のものもあるがちょっと高い。あと何回くらいカミさんと二人でキャンプに出かけられるだろうか?ということで、従来通りのプラスチック製のカップにした次第。10年持てば、私も後期高齢者に仲間入りし、億劫になってキャンプには行かなくなるだろうな・・

それにしてもコールマンには感謝。30年も経過しているのに、まだ部品が供給されているとは驚き。日本製だったらどうだっただろう?10年もすれば、部品は手に入らないかもしれない。ポンプカップ一つのために、コンロの買い替えが必要になって、古い方は廃棄になるだろう。

絶えず改善してより良い製品を世に出そうという品質追究の精神は悪くはないのだが、ちょこちょこ変えることで、日本製品は互換性や共通性がなくなって、パーツの在庫管理も煩雑になり、そのうちに廃盤になってしまうことが多い。

マイホームを例にとっても、30年を過ぎると建て替えする家が多くなる日本と、リフォームなどで手入れを繰り返し、長く使い続ける欧米と、どちらが良いか考え物だな。適度に壊れて買い替え需要が起こらないと企業としては大変な面もあるが、世代を繋いで使い続けられる物というのも素晴らしいと思う。

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