さよなら 飛騨(2019/12/24)

旅の記録

二年余りにおよぶ高山での仕事をやめて、12月24日に飛騨地方を離れた。この日は午前中に最後の会議を取り仕切り、午後にはアパートの退去チェックに立ち会った。立ち会い終了後に引っ越し荷物を積んだマイカーで東京へ移動。自宅2回、実家、息子のアパートと、異なる行先に荷物を運ぶこと計4回、やっとアパートを空っぽにすることができた

住めば都とはよく言ったもので、山深い飛騨の地の単身生活はそれなりに快適で楽しかった

- 自然が豊かで四季折々の移ろいが美しい

- 地酒が美味い

- 山の幸のみならず、日本海側からの海の幸も味わえる

- 飛騨の小京都とも呼ばれる古い街並みが風情溢れる

- 北アルプスなどの山が近く、山好きにはたまらない

もちろん良いことばかりではない。夏は盆地のように暑く冬は寒い。近年は降らなくなったと言われるが、積雪や凍結した道路には緊張を強いられる。古い街並みはいつも観光客で溢れ(半分くらいは海外からの旅行者)、宿や食事処などは観光客相手の料金設定になっている。名古屋に出るまでにJR高山線か高速バスで2時間半を要する、などなど

しかしながら、総じて言えば楽しくもあり充実した2年の高山暮らしだった。写真を織り交ぜながら振り返る

高山の陣屋。檜や杉などの木材が豊富なため、江戸時代は幕府の直轄領となっていて、代官が執務兼住居に使用していた館。現存している日本でも数少ない代官所の一つ

三町(さんまち)と呼ばれる上一之町から上三之町の街並み。左手前は地酒の山車(さんしゃ)で有名な原田酒造。この他に6-7の酒蔵がある

三町の横を流れる宮川。左側の川沿いの道で有名な朝市が開かれる。上三之町は一本左側に入った細い路地

宮川には鯉や鴨がいて長閑そのもの

下一之町から下三之町の街並みを抜けて江名子川をわたり櫻山八幡宮方面へ向かう

江名子川沿いの桜

秋の高山祭(八幡祭)の屋台。櫻山八幡宮でからくりの奉納がある。春は山王祭と呼ばれ、陣屋前の広場でからくりが披露され、日枝神社前に山車が揃う。山車は八幡祭と山王祭の各祭りで11台があり(合計22台)、毎回そのうちの4台の曳き廻しが行われるそうだ

金箔の飾りが黒や赤の漆塗りに映え、とても美しい

この時は八幡宮で布袋のからくりが奉納された

木の横棒を童子が次々と渡り、布袋の肩に移る。見事なからくりだ

こちらは会社のオフィスからの眺め。紅葉している手前の山の左奥に穂高連峰が見え、右の方に焼岳の頭が見える。晴れの日にはこの眺めを自席から飽きることなく楽しんだ。仕事が手につかない(笑)

会社の駐車場から乗鞍岳。雄大な山容だ

こちらも会社の駐車場から夕日に赤く染まる穂高の山並み。アーベントロートの北穂、奥穂、西穂、前穂、明神岳(左から右へ)

オフィスの窓にできた身長ほどもあるツララのカーテン

アパート前のマイカー。こんな日がシーズンに何度かある。地元民いわく、高山も雪が少なくなったとのこと。アパートの大家さんがいつも重機で除雪してくれ、本当に助かった

奥飛騨温泉郷の新穂高温泉のロープウェイ山頂駅。展望台にある「にしほ君」。バックの稜線が西穂高岳に続く厳しい稜線。一番高い尖ったピークが西穂山頂

西穂への稜線から左に目を移せば槍ヶ岳のとんがりピークが頭をのぞかせている

こちらは登頂した西穂高山頂からのパノラマ写真。左の笠ヶ岳から右の明神岳まで約180度をカバー

静寂の上高地にて河童橋から穂高連峰を眺める。シーズン中は観光客や登山者で溢れかえる定番スポットだが、冬季閉鎖中は物好き以外ほとんど人がいない。冬季は工事車両を除いてタクシーやバスも入れないので、釜トンネルから徒歩で2時間ほどかけてアクセスする。そのご褒美はこの世のものと思えないほど美しい眺めだ

世界遺産の白川郷合掌造り。やっぱり雪が良く似合う

実際に地元の人たちが合掌造りの家で生活されている

こちらは春の白川郷

茅葺きの家並みが素晴らしい。まるでお伽話の世界のよう

さて、心残りを言えば切りがないが、富山や金沢や能登半島方面に足を伸ばす機会を失したこと、行きそびれた温泉が数多くあること、アパートから新穂高温泉の登山口まで車で1時間の地の利を生かしてもっと北アルプスに足繁く通いたかったこと、などなど色々ある

それでも、20代の頃には足を伸ばすことができなかった黒部源流の山々を訪れることができたこと、日本海側沿いにある妙高山、火打山、雨飾山など頚城山塊(くびきさんかい)の山々に行くことができたこと、白山や荒島岳などの北陸の名峰に何度か出かけることができたこと、一番好きな山の一つである木曾の御嶽にはこの2年間で5回出かけることができたことなど、登山に関しては夢のような二年間だった。アパートを引き払ってみると、何だか前線基地を失ったような感じで寂しい

料理では、飛騨牛は霜降り特有の脂っこさがあって特にファンというわけではないが、朴葉味噌や鶏ちゃんなどの郷土料理はおいしく、久寿玉(くすだま)、山車(さんしゃ)、氷室(ひむろ)などの高山のお酒や、近隣の飛騨古川の蓬莱や下呂の天領などの地酒を満喫した

実家のある尾張からは、東海北陸自動車道で2時間かからずに来ることができる。高山に来た頃は、白鳥から高山の間は対面通行の箇所が多かったが、高山を離れるまでの2年間のうちに完全に複線化が完了して快適に高速道路を走れるようにもなった

これからは、東京の自宅よりも実家で過ごす時間が長くなるので、飛騨の地理に明るくなった強みを生かして、北アルプスや周辺の地域にもいろんな季節に足繁く通いたいと思っている

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