八ヶ岳:主峰赤岳→横岳→硫黄岳周回。赤岳鉱泉でのんびりテント泊ー①稜線編(2024/06/19-20)

山の記録

梅雨入り前の晴れ間に八ヶ岳に出かけ、高山植物に癒されながら稜線歩きを楽しんだ。前週の飯豊連峰北部に続き、稜線編とお花編の二部構成にした。以下は稜線編の記録。

1週間前に新潟と山形と福島にまたがる飯豊いいで連峰に出かけた。前夜23時に家を出て車を走らせること5時間半、登山口に着くころには疲れてしまった。そこから避難小屋泊装備を担いで、急登の尾根を6時間かけて登ったのだが、さすがに疲れて果てた。一方で、久しぶりに飯豊の避難小屋にのんびり泊まり、残雪と高山植物の稜線歩きを満喫することができた。

今回は昨年2月初旬に出かけた金峰山きんぷさんでのテント泊以来、久しぶりにテントを担いで一人静かな夜を楽しむ山行を計画。しかしながら、避難小屋泊装備よりさらに重いテン泊装備のザックを担いで稜線を延々と登るのはちょっとキツイ。金峰山と同じように山腹の下の方にテントを張って、アタックザックの軽装で稜線歩きができる山がいい。水場に困らず、山小屋でアルコールを調達できれば言うことなし。可能であればシャワーなど浴びられれば・・・などと要求が膨らむ。

こういう軟弱かつ贅沢な望みを叶えてくれる山としては、真っ先に八ケ岳を思い浮かべる。自宅から車で2時間半の距離で、朝も比較的ゆっくり出発できる。本沢温泉のテン場、オーレン小屋のテン場、赤岳鉱泉のテン場など選択肢も多い。今回は、いろんな季節に何度も通過して、いつか静かなウィークデイを選んでテン泊したいと思っていた赤岳鉱泉に出かけることにした。

合計距離: 17892 m
最高点の標高: 2887 m
最低点の標高: 1690 m
累積標高(上り): 1704 m
累積標高(下り): -1727 m

歩行ログをもとに、Google Earth Proで以下のごとく3D歩行ルートの動画を作成した。Google Earthの直近の画像は積雪期の画像なので、無雪期の過去画像を用いた。秋の画像なので、今回の新緑の季節とはちょっと違って見える点をご了解願いたい。カメラ高度は4000m、カメラ角度は60度、速度は45秒程度の再生時間になるようリアルタイムの700倍に設定している。なお、右下の3点リーダーからPlayback speedを変更できるので、好みで調整されたし。

この季節に日課のようにしている早朝ウォーキングと同じ4時に起床。4時半に自宅を出て中央道を走る。上の写真のように、八ケ岳が目の前に見える八ケ岳PAでトイレ休憩。天気予報通りの青空。下界は30℃越えの真夏日予報。稜線上の涼しさを期待しよう。

美濃戸口から凸凹の悪路を進み、赤岳山荘の駐車場まで入った。平日なので7時半到着で7割くらいだった。そこから登山開始。いつも下山で使用する北沢方面へと進み、まずは赤岳鉱泉小屋のテン場を目指す。登山道は幸いなことに前日の激しい雨の影響が無かった。

新緑が鮮やかで美しい。沢を吹き抜ける風が何とも心地よい。

赤岳鉱泉小屋に着くと、ちょうどヘリの荷揚げが届いたところだった。テントは一張りもない。良さげな場所に荷物を下ろして受付に行こうとすると、荷揚げされた荷物を運んでいるスタッフに呼び止められ、ヘリの荷揚げが続くので終わるまでテントは張れないとのこと。

ザックをデポできないか尋ねると、小屋の食堂の奥にある乾燥室に置いてよいとのこと。小屋の受付で同じやり取りをして、ザックをデポさせてもらった。受付は山から下りてきてからでよいとのことだったが、「今夜はお風呂が利用できませんので、ご了解ください」との衝撃の一言。贅沢な望みが一つ潰えた(泣)。

アタックザックの軽装で行者小屋まで来た(通過後に振り返って撮影)。赤岳鉱泉の姉妹小屋。どうせ風呂に入れないなら、最初から南沢経由でこちらに来てテン泊してもよかったか。

文三郎ぶんざぶろう尾根経由で主峰の赤岳を目指す。空との境界にある稜線の左4分の1くらいのところに小さく標識が見える。右から続く阿弥陀岳からの稜線と文三郎尾根が分岐するところ。文三郎尾根は階段が整備された急斜面を進むのだが、毎回あそこの分岐までが結構キツイ。ちなみに、階段には登山用品のブランドであるマムートのロゴ(マンモス像)のプレートが打ち付けられていて、マムート階段と呼ばれている。

文三郎尾根の途中でヘリの音。振り返ると行者小屋も荷揚げを行っていた。夏山シーズン本番に向けてどこの小屋も準備に忙しいようだ。

分岐点近くまで文三郎尾根を登り上げた。手前にミヤマキンバイを入れながら、右奥に蓼科山たてしなやま、ずっと奥に北アルプスを捉えた構図で撮ったのだが、遠近共にクリアに撮れるようF値を16くらいに設定するのを忘れたので、手前のお花がちょっとぼけてしまった。

北アルプスをアップ。右端から白馬三山、唐松岳、五竜ごりゅう岳、鹿島槍ヶ岳(双耳峰)と続く。左端に切れているのは爺ヶ岳。後立山うしろたてやま連峰北部の山並みだ。

ずっと左に目をやると、北アルプス南部を代表する槍ヶ岳から穂高連峰の山並み。赤岳山頂とほぼ同じ高さの稜線にも雪が多く残っている。

赤岳から縦走する稜線。中ほどが横岳、左に硫黄岳。

またヘリがやってきたと思ったら、行者小屋ではなく赤岳頂上山荘への荷揚げだった。

分岐点から少し登ったところ。手前に中岳、奥に阿弥陀岳へと続く稜線。

阿弥陀岳から左方向へ目をやると御嶽山。

さらに左側の後方には中央アルプスの稜線。手前は入笠山にゅうかさやまと富士見パノラマリゾートのスキー場。

最後の岩場の登りに取り掛かる。岩が脆く浮石も多い。落石要注意部分。

こんな標識あったんだ。いつからあるんだろう? 若い頃から20回くらいは登っている赤岳だが、この標識に気づいたのは今回初めてかも。雪山の時は埋もれているから見えなくて当たり前だけど、いつも足元とか落石に備えて頭上ばかり見ているから気づかなかったのか・・

もう少しで竜頭峰分岐。あそこまで登れば反対側が見える。

反対側の景色。南牧村と奥秩父の山並み。

清里方面の奥には富士山も見えるようになる。

八ヶ岳連峰の最南端方面。中央が権現岳(左)とギボシ(右)、その右に編笠山、権現岳の左に三ッ頭。奥には南アルプスが見えるのだけど、低い雲がわいて覆い隠してしまった。

赤岳山頂(2,899m)到着。

富士山アップ@赤岳山頂

赤岳山頂から北西方面の眺め。右端にはこれから周回する硫黄岳、そのすぐ後ろに双耳峰の天狗岳、中央やや左奥に蓼科山、その左最奥に北アルプス。左下には赤岳鉱泉小屋(奥)と行者小屋(手前)が見える。こちら方面は雲がなく良い眺め。

赤岳頂上山荘に荷揚げするヘリ。何回目の荷上げだろうか?山頂では小屋のこちら側と向こう側で2回ヘリの荷揚げを間近に見た。その都度、スタッフからヘリが離れるまで動かないように足止めされた。今日は荷揚げ祭りだな。ヘリを効率的に使うため、まとめてあちこちの小屋にピストンしているんだろう。

赤岳展望荘まで下りてきた。小屋には寄らずにスルー。奥が赤岳の山頂。

横岳(奥の院)。あっという間にというわけではなく、ここまで稜線のお花ばかり撮影して、風景を取るのを忘れてた(笑)。それにしても横岳の山頂標はいつも斜めっているな。左奥は富士山。

稜線周回の最後、硫黄岳に到着。

硫黄岳の爆裂火口。ロープの規制線ギリギリから撮影。

浅間山と外輪山。小諸や軽井沢を挟んで八ヶ岳とは近い。

写真の中ほどに八ヶ岳北部の天狗岳。右が東天狗岳、左が西天狗岳。その左奥には蓼科山。東天狗岳のずっと奥には、妙高山みょうこうさん火打山ひうちやま焼山やけやま雨飾山あまかざりやまなどの頚城山塊くびきさんかいが見える。

何といっても硫黄岳からの眺めの定番はこの稜線。右から阿弥陀岳、中岳、主峰の赤岳、そして左端に横岳。中岳の奥には権現岳とギボシ。さらに奥には南プスの稜線。いつ見ても美しい眺めだ。

阿弥陀岳の稜線の右横には南アルプスの「貴公子」甲斐駒ヶ岳とその右奥には「女王」仙丈ケ岳せんじょうがたけが並ぶ。仙丈ケ岳の手前の稜線は鋸岳のこぎりだけへと続く尾根。

西方向には諏訪湖とその最奥に乗鞍岳のりくらだけ。さて、そろそろ下山開始するとしよう。

赤岩の頭まで下ってきた。阿弥陀岳に隠れていた南アルプスの北岳(3,193m)の山頂がみえる。富士山に次いで標高第2位の高峰だ。芦安あしやす温泉から登山基地の広河原ひろがわらへ入るバスは2日後の6月21日から運行する。固有種のキタダケソウを見に行きたいな。 

赤岩の頭からは、赤岳鉱泉まで樹林帯の中を下っていく。

赤岳鉱泉に到着すると、小屋前に若者たちが溢れかえっていた。東京の高校の林間学校とか。そういえば、今朝は北沢を登ってくる途中で50-60人の団体が下山してくるのとスライドした。同じ高校のようだ。小屋は貸し切りとのこと。だから今日はお風呂が利用できない。納得。

それにしても今朝下山していったグループは前日の雨の中を登ってきたようで可哀そうだ。その分、今朝は抜群の天気の中、下山路を楽しめただろう。この日に上がってきたグループはラッキーだ。2日とも良い天気に恵まれる。天気ばかりは仕方ないな・・

小屋入りする団体と錯綜しながらデポしたザックを回収してテン泊の受付。この時点でテントは一つも見当たらない! 礼儀正しい高校生たちなのだが、元気いっぱい、青春真っただ中の若者たちなので賑やかだ。静けさを求めて念のため小屋のすぐ近くは避けた。上の写真のごとく少し下った離れたところの樹間に幕営することに。これで今回の目的の静かなテン泊を確保。

テント設営後に、高校生たちが入浴と食事をしている間に、小屋の横のテラスで夕飯の支度。この時点で小屋の近くに2張りのテントが増えたが、私を入れて合計3張り。人気の赤岳鉱泉にしては格段のガラ空きコンディション。

小屋貸し切りのせいかヘリの荷揚げのせいか、小屋のテラスはテーブルと椅子が積み重ねられていた。2つほど利用できる状態だったので、そこの一つを占領させてもらった。

今宵は久々にフライパンを使って鶏ちゃん焼き。漬けてあった汁が飛び散るし臭いもそこそこなのでテントの中では調理できない。夕方には気温も落ち着いてきたので、テラスでの食事が気持ちいい。

鶏ちゃんをつつきながらビールが進む。今日は「おつかれなまです」x3。

締めは冷凍ピラフ。鶏ちゃんもピラフも良い塩梅に自然解凍されてばっちり。アルファ米に比べればちょっと重いが、1泊山行なら十分担いで来られる。私としては久々に充実した山ごはんになった。この後、テントに戻って持参の焼酎をお湯割りにして一人2次会を楽しむ。次第にテントの中が暗くなり、若人の声からも隔絶された至福の時空。ジジイ一人で酔いしれたよ。

翌朝4時に目が覚める。酔いしれた割にはなかなか熟睡できず、1-2時間おきに目が覚めた。それでも自分としては良く眠れた方のテント泊だった。

トイレに起きだすと、横岳から伸びる雲が朝焼け。今日はのんびり下山する予定なので、テントに戻って5時半頃まで横になる。テントで棒ラーメンに小さいお餅を数切れと乾燥野菜や乾燥ラーメンの具を足して朝食を済まし、のんびりと撤収開始。7時半に下山を開始した。

北沢を下って林道に合流し、しばらく進むと赤岳鉱泉のマムート号がやってきた。前日は林道終点近くの駐車スペースに見かけなかったが、今朝になって戻ってきたようだ。

美濃戸みのとにある赤岳山荘の駐車場まで戻ってきた。朝の9時でちょうど良い時間だ。この時間なら上がってくる車もほとんどいないだろう。対向車を気にせず、悪路をとろとろとゆっくり下っていける。

近くの日帰り温泉は、どこも10時オープンなので、10時になるまで車を走らせて先へ進むことに。道の駅こぶちざわの延命の湯にちょうど10時に到着。汗を流して帰路についた。梅雨入り突入前に、気もちの良いゆったり登山とまったりテン泊を楽しむことができた。感謝感謝!

朝の4時半出発は楽でいい。赤岳に登るときは日帰り周回が多く、朝の5時頃には駐車場に到着するよう深夜に出発している。テン泊なので下山時間をさほど気にすることなく、のんびり稜線歩きを楽しめるのも本当にありがたい。

八ヶ岳は、夏の登山シーズンの週末はどこも人出が多く、駐車場の確保やテント泊の場所取りは容易ではない。テン場は所狭しとテントがびっしり張られ、なかなか落ち着いてテン泊できない。そんな光景を何度も見てきたので、これまでなかなか赤岳鉱泉でテン泊する気になれなかった。

時間に余裕のできた今は、それができるようになりありがたい。テントを担いだ稜線の縦走はさすがに難しくなってきたので、今回のスタイルと同じように本沢温泉やオーレン小屋のテン場でもゆったりテン泊山行を企画したいと思っている。

アクセスと駐車場

八ヶ岳山荘の駐車場(美濃戸口):
800円。コーヒー1杯無料は健在。チップ制トイレあり

赤岳山荘の駐車場(美濃戸):
1000円。SUV推奨。普通車は厳しい(スリップ、腹スリ)。チップ制トイレあり

やまのこ山荘の駐車場(美濃戸):
1000円。事前振り込み予約。SUV推奨(同上)。チップ制トイレあり

美濃戸のやまのこ山荘や赤岳山荘まで入る場合は、SUVなどある程度の地上高のある車種が安心。クロスカントリータイプのマツダのCX-3に乗っているが、ゆっくり走ればギリギリ底を擦らないで走れる。所々すれ違い用の退避スペースはあるので、対向車を視認したら早めに退避スペースで待つのが良い。悪路の急坂をバックするのは骨が折れる。

また美濃戸口の八ケ岳山荘の駐車場に車を置いて美濃戸まで歩く登山者が多いので、歩行者には最新の注意を払うこと。特にぬかるみのある時は、いったん止まって、先に歩行者を先に通過させてから動くくらいの配慮が必要。

赤岳鉱泉テン場利用

予約不要。利用料:2000円/人・泊(含トイレ利用料)。夕食3000円(要予約)、朝食・弁当は各1000円(要予約)。入浴1000円/回(5月ー10月)。缶ビール600円/350ml。水は小屋前に蛇口あり。
https://www.akadakekousen.jp/akadakekousen

コンビニ

関東方面からは、小淵沢インターで下りるとセブンとローソンがある。諏訪南インターを下りる場合は、すぐ先にファミマがある。

日帰り温泉

延命の湯:市外830円、0551-36-6111、10:00-22:00(受付21:30)
「道の駅こぶちざわ」の一番奥にある
http://www.spatio.jp/hotspring/

八峯苑・鹿の湯:~15時 900円、15時以降 1100円、0266-66-2131、10:00-19:00(閉館19:45)。富士見高原の登山者駐車場のすぐ下にある。今もJAFとモンベルは100円引きか?。
http://happoen.jp/hotspa/higaeri.html

八ケ岳山荘:
汗を流すには手っ取り早くていいが、大きくはない。500円?。0266-74-2728。?ー18時
https://mt-yatsugatake.jp/yamagoya/yamagoya-1949/

J&N:
八ケ岳山荘の横にある。オシャレで若い人にはこちらがいいかも。入浴も食事も可能。770円。0266-75-2289。宿泊も可能で、宿泊者は登山中の駐車および下山後の入浴も無料
http://j-and-n.jp/

もみの湯:650円、0266-74-2911、10:00-21:30(受付21時)
http://www.lcv.ne.jp/~mominoki/mominoyu.html

歩行時間

<1日目>

赤岳山荘駐車場 7:43 → 9:27 赤岳鉱泉 10:06 → 10:34 行者小屋 10:36 → 11:49 文三郎尾根分岐 11:55 → 12:27 赤岳 12:36 → 12:58 赤岳展望荘 → 14:18 横岳 14:26 → 14:50 硫黄岳山荘 → 15:15 硫黄岳 15:20 → 16:32 赤岳鉱泉(泊)

<2日目>

赤岳鉱泉 7:32 → 9:05 赤岳山荘駐車場

 

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