梅雨の晴れ間の八ヶ岳。美濃戸口から赤岳、横岳、硫黄岳を周回(2023/6/17)

山の記録

計画に当たって

6週間ぶりの山歩き。5月は長男の結婚式、次男夫婦に第一子誕生と、我が家にとってはこの上ない慶事が続き、ちょっとそわそわして山へ出かけるどころではなかった。その後は、梅雨入りに加えて台風が立て続けにやってきたので、しばらく山はないな、とのんびりしていたら長男から山のリクエスト。

聞けば、嫁さんの会社は結婚休暇が二週間で、長男の会社は一週間。ということで、嫁さんは休暇をフルに生かして母親と一緒に海外旅行に出かけ、息子は置いてけぼりとのこと(笑)。1年以上前から同居を始め、半年前の年末年始には新婚旅行に相当するものを一応済ませている。それはさておき、ちょうど週末の天気予報が好転したので、リクエストに応えるべく計画することに。

息子にとっては昨秋の白馬から唐松への縦走以来、約8か月ぶりの登山。前回痛めた膝も大丈夫とのことだったので、赤岳から硫黄岳への日帰り周回に出かけた。今回はついつい飛ばしすぎる息子のペースを抑えるべく、私が先行してペースメーカー役を務めることにした

冒頭のサムネイル写真は、横岳から硫黄岳へと続く稜線。一足早く夏山を堪能できた。

歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 21772 m
最高点の標高: 2895 m
最低点の標高: 1490 m
累積標高(上り): 1894 m
累積標高(下り): -1907 m

山行の詳細

今回は、梅雨の週末の晴れで、しかも人気の八ヶ岳。大混雑は確実なので、普段利用する美濃戸の駐車場は端から諦めて、美濃戸口の八ヶ岳山荘の駐車場を利用。これにより片道3キロ弱、45分くらいの林道歩きがプラスされる。

美濃戸口から美濃戸へ向かうと、山ツツジがきれいに咲いていた。

美濃戸からは南沢を進み、まずは行者小屋を目指す。樹林帯を進むのだが、八ヶ岳らしい苔むした森を抜けていく。ちょうど朝日が斜めに差し込みはじめ、苔の森に陰陽の模様ができた。

行者小屋に到着。ここまでくると、主峰の赤岳をはじめ、阿弥陀岳、中岳、横岳、硫黄岳などが見えるようになり、それを眺めながら朝食をとった。

行者小屋のテン場と右奥に阿弥陀岳の頭。左奥は中岳。

周回コースを予定しているので、文三郎尾根を進む。写真奥の稜線の中央当たりにある文三郎尾根分岐を目指して急登を進む。阿弥陀岳から中岳を通って赤岳に進む稜線と合流するところだ。文三郎尾根は、登山道保護も兼ねて急斜面には階段が整備されている。

文三郎尾根の途中で後ろを振り返る。赤岳から進む横岳の稜線(中央)と左奥に硫黄岳が見える。素晴らしい天気に恵まれた。

文三郎尾根分岐まで登り上げた。正面に中岳と阿弥陀岳を見据えた写真。阿弥陀の右奥には北アルプスの槍ヶ岳から穂高連峰が、左奥には御嶽が見える。この日は湿度が低かったので、遠くまでくっきりと見えた。ここで小休止を取りながらヘルメットを装着した。

写真中央に槍ヶ岳、その左に穂高連峰へと続く稜線。写真左から4分の1くらいには雪に囲まれた涸沢が見えている。さすがに北アは残雪が多い。さぁ、赤岳山頂目指して最後の岩稜登りへ進もう。

登山者が多いので落石させないように細心の注意。また、すでに下りてくる登山者も多いので、上からの落石にも用心しながら進む。

竜頭峰分岐まで登り稜線に出た。反対側の視界が開け、富士山も見えるようになる。

富士山のアップ。雪もほとんど解けて夏山シーズン間近の姿だ。富士山の右には南アルプスが見えるのだが、湧いてきた雲に隠れて見えなかった。

山頂到着。2,899m。大混雑で撮影順番待ち。10分くらい待ってパシャリ。

これから進む稜線。眼下の赤岳展望荘まで下り、その先の稜線を登り返して横岳に向かう。赤岳頂上山荘の前から撮影。

赤岳山頂を振り返る。関東からも東海からも関西からもアクセスがいいので、シーズン中の週末は大混雑だ。

赤岳展望荘に向けて急斜面を下る途中に振り返って撮影。

展望荘前から槍穂の稜線をもう一度じっくり愛でる。

小屋周辺にはクモマナズナが咲いていた。

こちらはミヤマキンバイ。小屋前の階段に咲いていた。

右端の蓼科山の左奥には北アの後立山連峰の峰々がずらり。満足満足

横岳に向けて稜線を登り返し、いくつもの小ピークを越えていく。稜線にはミヤマシオガマが咲いていた。

こちらはオヤマノエンドウ。あちらこちらで咲いている。

日の出ルンゼを登って進むとツクモグサがまだ咲いていた。本州ではここ横岳周辺と白馬岳にだけ生えている。あとは北海道のみ。氷河期時代からの古い花で、絶滅危惧種の一つ。

歩いてきた稜線を振り返る。左奥が八ヶ岳の主峰の赤岳。手前の鉾岳を少し下って、写真下部に見えるトラバース路を通り、再び稜線をここまで上がってきた。

横岳山頂に到着。息子が手に持っている絵は1年前にはなかった。途中のピークにも同じような絵が置いてあった。同じ作者による絵であることは一目でわかる。山頂標の下に置いてあるだけなので、強風で吹き飛ばされないかとちょっと心配。

横岳から先に進むとハクサンイチゲがまだ咲いていた。

こちらはキバナシャクナゲ。この辺りから硫黄岳にかけてキバナシャクナゲの群生地。

こちらはイワカガミ。南沢の登りから至る所で見かけた。

縦走最後の硫黄岳山頂から爆裂火口を眺める。硫黄岳東側(清里側)の斜面が1万数千年前の大噴火で欠落している。阿蘇や他の火山でも同じような爆裂火口を見た。

赤岳から横岳を通って歩いてきた稜線を眺める。混んではいたが、気持ちの良い稜線歩きだった。

最後に、硫黄岳の山頂で二人の記念撮影。居合わせた方に撮っていただいた。

赤岩の頭に向けて下ってきた。左奥は阿弥陀岳で、そのすぐ右奥には雲が取れて南アルプスが見えるようになった。すぐ右が北岳、その右が甲斐駒ヶ岳、その右の優雅なピラミダルの山容が仙丈ヶ岳。

赤岳鉱泉に向けて下る分岐から硫黄岳を振り返る。この先でアクシデント。下り始めてすぐに息子の右膝に異変。膝の裏が痛くて曲げられないという。できるだけ曲げないようにして、だましだましゆっくり下りた。

赤岳鉱泉までそろりそろりと何とか下りてきた。ここで一休みして下山続行。それにしてもすごいテントの数。このあとで、続々と登ってくるテン泊登山者とスライドしたが、幕営するスペースを見つけられただろうか?

赤岳鉱泉からの北沢は比較的緩やかな下りの登山道で、途中からはフラットな林道になる。これが幸いして、何とか美濃戸まで下りてこられた。最悪の場合は、どなたかの車に乗せてもらうことも考えたが、美濃戸口へも歩き通すことができ、夕方5時頃に無事下山終了。美濃戸口まで下りてこられてほっとした。上の写真は、美濃戸で見かけた九輪草。

山行を終えて

赤岳山頂までは膝痛などの問題がなかったので、計画通り横岳と硫黄岳への周回コースに進んだ。ところが、硫黄岳から少し下った先の分岐より赤岳鉱泉小屋へ下り始めたところで、息子の膝の裏が痛くなりはじめ、曲げられないという。以降、できるだけ右ひざを曲げないように、そろりそろりと下りてきた。事情を話して赤岳鉱泉小屋で泊まりかな、と考えていた。

何とか赤岳鉱泉まで下って休憩。息子はまだ歩けるとのことで、先へ進むことに。幸い、赤岳鉱泉からは登山道の傾斜が緩やかになり、林道に入ってからはフラットな下りの道なので、そこそこのペースで歩け、夕方5時には車を駐車した美濃戸口まで下山できた。最近、息子は股関節や膝のトラブルが続いているので、次回は1泊2日のゆとり計画を考えることにしよう。

さて、最近は滅多に出かけない週末登山。今回は息子のスケジュールに合わせ、久々に混雑覚悟で出かけた。案の定、すごい人出で、現役時代の登山を思い出した。やはり暇な隠居老人はウィークデイ登山に限るな。これから始まる登山シーズンは、これまで通り晴れ予報限定のウィークデイ登山にしたい。

関連情報

駐車場

梅雨時期の週末晴れだったので、駐車スペース確保のため、5時前に到着するよう自宅を出発。悪あがきせず、最初から美濃戸口の八ヶ岳山荘駐車場に入れた

4:50頃到着で4段目(下から2段目)のエリアに駐車。支度中に5段目(最下段の駐車エリア)も埋まり始めた。下山後に、美濃戸口へのアクセス路のかなり下まで路肩に駐車されているのを見て驚いた

八ヶ岳山荘の駐車場(美濃戸口):
800円(値上げラッシュの世相だな)。コーヒー1杯無料は健在

赤岳山荘の駐車場(美濃戸):
1000円。早々に満杯だったようだ。山荘前には車両通行止めのコーンが並んでいた

やまのこ山荘の駐車場(美濃戸):
1000円。こちらも満杯。駐車場へ入る車の渋滞(30分程度)が発生したとのこと(5:50通過時には解消していた)

美濃戸へ向かって歩いているときに、車が何台か美濃戸口へ戻っていった。やまのこPは銀行振り込みによる予約ができるので、シーズン中の晴れの土日は、予約して出かけた方が良い

トイレ

美濃戸口の八ヶ岳山荘にチップ制トイレあり(100円)。小屋が閉まっている早朝でも利用可能

美濃戸のやまのこ山荘、赤岳山荘、美濃戸山荘にもチップ制トイレあり

山中の行者小屋、赤岳頂上山荘、赤岳展望荘、硫黄岳山荘、赤岳鉱泉小屋にもチップ制トイレあり

コンビニ

東京方面からは、諏訪南ICを下りてすぐにファミマがある。それ以外はない

日帰り入浴

八ケ岳山荘:
汗を流すには手っ取り早くていいが、大きくはない。500円。0266-74-2728

J&N:
八ケ岳山荘の横にある。オシャレで若い人にはこちらがいいかも。入浴も食事も可能。700円(税抜き)。0266-75-2289。宿泊も可で、登山中の駐車が無料
http://j-and-n.jp/

八峯苑・鹿の湯:900円、0266-66-2131、10時-21:45、JAFとモンベルは100円引き
http://happoen.jp/hotspa/higaeri.html

もみの湯:650円、0266-74-2911、10時-21:30(受付21時)
http://www.lcv.ne.jp/~mominoki/mominoyu.html

延命の湯:市外830円、0551-36-6111、15時-21:30(受付20時)
「道の駅こぶちざわ」の一番奥にある
http://www.spatio.jp/hotspring/

食事、その他

山中の各山小屋でカレーやラーメンなどの食事可能

八ヶ岳山荘:
から揚げ定食などの食事が可能

J&N:
イタリアン系のレストラン。パスタ類からステーキまである

八ヶ岳チーズケーキ工房:0551-36-4040、「道の駅こぶちざわ」のすぐ近く
http://www.tsuguya-hd.com/a4chirasi/tool-yatsugatake/

八ヶ岳パン工房:0551-32-3740、黒富士農場の卵を使ったエッグシフォンケーキ
中央道上り八ヶ岳PAの中にお店がある。1200円(Whole cake)。賞味期限は翌日まで。電話で取り置き予約ができる

歩行タイム

地点
4:50 美濃戸口 5:10
5:50 やまのこ村 5:50
5:57 美濃戸 5:57
7:51 行者小屋 8:08
9:04 文三郎尾根分岐 9:20
9:38 竜頭峰分岐 9:39
9:43 赤岳 9:51
9:54 赤岳頂上山荘 10:02
10:41 赤岳天望荘 10:42
10:53 二十三夜峰 10:58
11:06 日ノ岳 11:08
11:13 鉾岳 11:18
11:24 石尊峰 11:24
11:32 三叉峰 11:33
11:47 横岳 11:55
12:25 硫黄岳山荘 12:43
13:02 硫黄岳 13:07
13:25 赤岩の頭 13:26
14:32 1赤岳鉱泉 14:49
15:37 堰堤広場 15:38
16:12 美濃戸山荘 16:14
17:01 八ヶ岳山荘 Goal

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