羅臼岳。熊目撃多発(2022/06/17)

山の記録

2022.06.21 11:50

雌阿寒岳を前日の停滞予定日に登ることができたので、羅臼岳はオリジナルの計画より一日早い山行となった。計画通り翌日に登れば、良い天気で歩けることは分かっていたが、次の斜里岳の天候が予断を許さないので、羅臼と斜里を一日ずつ早めることにした


山の天気予報サイト「ヤマテン」の予報では、出発時点の6時頃には雨が止んで曇りになり、山頂に着く12時前後は晴れ予想だった。ところが6時前に登山口に到着すると小雨。私の少し後に到着した神奈川からのご夫婦も車中で待機していたが、雨の中を出発した。登山口で一時間待つも止まないので、ご夫婦に遅れること15分で、私も腹を括って傘をさして出発

冒頭は下山後に撮影した羅臼岳。下山すると晴れというのは、山の「あるある」。傘をさして歩き始めて40分くらいで雨は止んだが、この日は中腹へ下りてくるまでガスガスだった。以下、花と雪渓と動物の写真がほとんどで、残念ながら眺望の写真はない

傘をさして樹林帯の中を登る。私はいつも「黙々」と登ることが多いのだが、今回は熊との遭遇率が高い知床の山なので、熊よけ鈴二つを鳴らし、さらに携帯プレーヤーでビートルズやビリージョエルなどのオールディーズをガンガン流して進む


ここからしばらくは高山植物を愛でながらの登山。上の写真はミヤマハンショウヅル

ハンショウヅルのお花にピントが合ってないな・・

こちらは雨も滴るオオタカネバラ

チシマフウロ。みんな小雨に濡れて気持ちよさそうだ。雨に降られてブルーなのは私だけか・・

ウコンウツギ。歩き始めて40分位。この辺りで雨は止んで傘をしまった。オホーツク海もちらりと見えて、ちょっと気分も晴れる

弥三吉水の水場。きれいな沢水だが、思ったほど冷たくない。キタキツネが主な感染源と言われる寄生虫「エキノコックス」が心配で、飲むのは控えた。ここで先行出発した神奈川のご夫婦に追いつく

ナナカマドっぽいけど、葉っぱがちょっと丸みを帯びている。合っているかな?

ヤマザクラが満開

オオバナエンレイソウ。利尻富士でも見た花だ

ツバメオモト

ご夫婦に先行して銀冷水まで上がってきた。前後に人がいないので、プレーヤーの音量をさらに上げる(ビビりなので・・)

ミツバオーレンの可憐な花

登山道から横に出て、雪渓を歩く。夏道を進むとダケカンバの枝地獄で難儀するので、さっさと雪渓に出るのが良策。この辺りからガスが始まり視界が悪くなる

目印がほとんどないので、GPSで進む方向を確認しながら、雪渓を左へ左へと進路を取る。滑り止めのアイゼンは装着せず、「ツボ足」と呼ばれる状態で進む

熊の足跡だ。やっぱりいるよな・・・

ガイドロープが張ってあった。進路はあっている。この少し手前で、沢を吹き上げる風で体が冷えたので、レインジャケットとレイン用手袋を初めて装着。靴にはチェーンアイゼンと呼ばれる簡易アイゼンを装着した。手にはピッケルをもっている。今回ストックではなくピッケルにしたのは、雪渓対策が半分、熊対策半分

雪渓を登り詰めていくと、再びガイドロープが現れ、夏道へと誘導した。ここで大沢の雪渓は終了

夏道に入ると、キバナシャクナゲが一杯咲いていた

羅臼平に到達。テン場らしきスペースがあった

テン場の近くにはフードロッカーもあった。クマに襲われないように、寝るときは食料や臭いのついた調理器具をここに保管しておく

羅臼平から岩清水までの斜面には、キバナシャクナゲが群生していた。冷たい風が吹き抜け、ガスが横殴りで顔に当たる。メガネが水滴で曇ってさらに視界が悪くなる

岩清水の先に再び雪渓が現れる。短いながらも急なので、ここも滑り止めがあった方が良い。写真の左側のトレースの先に、夏道に復帰するポイントがある

夏道に復帰すると、山頂直下の岩ゴロ道になる。コケモモが岩間に咲いていた

こちらは咲き始めのエゾノツガザクラ

岩場を巻くように登っていくと山頂に出る。強風で横殴りのガス。山頂を即退散し、風がないすぐ下の岩場で早めの昼食

登ってきた道を戻り、大沢の雪渓の下り。雪渓は下りやすく、スピードを上げて一気に駈け下りる。登山道に復帰する辺りで、山頂でお会いしたソロの方に追いつく

二人で復帰ポイントを探したが見つからず、GPSを見ながら少し藪漕ぎして夏道に復帰。ここから登山口までご一緒した。神戸から来られた方だった。同じ日に利尻山に登ったことが判明し、話が盛り上がった

銀冷水、弥三吉水と下るにつれて、上空に青空が広がり始める。ダケカンバがきれいだ。周囲の山肌も見えるようになったが、山頂付近はまだ雲の中

オホーツクの海がきれいに見えた。上空には青空が広がり始めた。沈没したKAZUー1の不明者の方が早く見つかりますように・・

登山道にエゾシカの親子。小鹿はバンビのようで可愛いが、母鹿は驚くほどでかい。我々二人を見ても逃げもしない。それどころか、母鹿は小鹿を舐め回し、小鹿は母乳を飲み、くつろぎタイム


そうこうするうちに、山頂直下でスライドしたソロの男性が追いついてきた。下山を急いでいた彼が、何とか鹿を追いやろうとするが、少し下ると母鹿は小鹿を舐め回し、小鹿は母乳を飲みの繰り返しで、なかなか先に進めない

あまり刺激するのも良くないだろうということで、20ー30分程、この状態が続いた。膠着状態の間に、熊じゃなくてよかったと言うと、後から来たソロの方が登りで熊を見かけたという。写真を見せてくれたが、とにかくでかい


カップルが立ち止まっていたので、前を見たら熊がいたとのこと。熊はのそりのそりと近づいてきたため、3人で後ずさりして一旦下ったとのこと。そのまま引き返そうかと迷っていたら、カップルが登るとのことで、その方も登ることにしたそうだ


親子の鹿が横の斜面に入っていたので、下山を再開した。急いでいたソロの彼はあっという間に下っていき、年寄り二人はのんびりと下った

登山口の木下小屋まで下りてきた。神戸の方はここに駐車していた。私は、このスペースを知らなかったので、すぐ下のホテル「地の涯(ちのはて)」の前の駐車場に駐車した

これが、岩尾別温泉の「秘境知床の宿 地の涯」。下山時に撮影した写真。宿の上空にはまだ雲が立ち込めている。駐車場を利用した仁義を返すというわけではないが、早くさっぱりしたかったのでここの日帰り温泉に入った

そういえば、その昔、「岩尾別旅情」という唄があったな。「青葉城恋唄」のさとう宗幸が歌っていたような・・

冒頭の写真。日帰り温泉後に今宵の宿の「しれとこ村」に向かう途中、振り返ると上空はすっかり青空。ヤマテンの予報より3時間ほど天候の回復が遅れた。最後に羅臼岳がくっきりと見えたことで良しとしよう


今回の北海道遠征では、羅臼岳のために12本爪アイゼンとピッケルを持ってきた。がしかし、駐車場で出発準備している時にチェーンアイゼンに変更。結果的には、これで問題なかったが、せっかく持っていった12本爪アイゼンを使用しない手はなかった。大沢と山頂直下の雪渓は、もっと容易に歩行できただろう


ピッケルを持ってきたもう一つの理由は、万一クマに襲われたときに、一矢を報いるため。羅臼岳は遭遇率が高い。事実、この日は私を含めて7人が木下小屋から入山したが、小屋から30分くらいのところで3人(カップルとソロ)が成獣1頭に遭遇。駐車場で一緒になったご夫婦が下山時に木下小屋のすぐ手前で成獣2頭に遭遇した。私が通過したのとは30ー60分くらいの時間差だと思う


朝に遭遇した3人のうちの一人が写真を撮っていて見せてもらったが、とにかくでかい。これじゃ、ピッケルで立ち向かうどころじゃないと思い知らされた。1週間ほど前には、木下小屋から20分位のところで、子熊2頭と母熊1頭に遭遇した登山者もいる


今回、私は親子のエゾシカに遭遇したものの、熊を目撃することはなかった。幸運に感謝するばかりだ

 

なお、この山行のコース概況、タイムなどの詳細は、以下の記録を参照されたし

山行記録: 羅臼岳(岩尾別ルート)。木下小屋の先はクマ遭遇に注意 ☜ ヤマレコの記録

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