2022.04.23 16:57
GWから賑やかになる尾瀬。雪で閉鎖されていた鳩待峠へのアクセス路が4月22日(金)午前10時にオープンした。これまでは至仏山(しぶつさん)登山口の鳩待峠まで、閉鎖ゲートから12キロ強の坂道を人力で登っていくしかなかった
多くのBCスキーヤーは自転車を活用するのだが、標高差600mを自転車で登るのは容易ではない。中には峠まで漕ぎ続ける強者もいるが、大抵のBCスキーヤーは押して登ることになる。それでもほとんどの人が2時間くらいで到達する
私も残雪期の至仏山に登りたくてe-bikeの活用を考えたが、非力な私にはe-bikeのパワーを借りても登りはきつい。多分3時間くらいはかかると思われ、峠に着いた頃には山に登るパワーをほとんど使い果たしてしまうことになる
というわけで、規制解除後にマイカーか麓の駐車場から乗合タクシーで鳩待峠にアクセスする方法を選択。GW前の静かなうちに出かけるべく天気予報をウォッチングするも、予報は芳しくない。唯一、規制解除当日がお昼ごろから晴れそうな予報。10時のゲートオープンで鳩待峠にマイカーで向かえば、11時頃の出発となる。スタート時間は遅いが、天気予報的にはバッチリということで出かけた
冒頭の写真は、至仏山の山頂から撮影した雪で覆われた尾瀬ヶ原。奥には尾瀬ヶ原を挿んで対峙するかのような燧ヶ岳(ひうちがたけ)が聳える。東北地方以北では最も高い山だ(2356m)。至仏山とともに日本百名山にリストされる。燧ヶ岳の左奥には、同じく百名山の会津駒ヶ岳がなだらかな山容を見せている
まずは開門前の車列。8時過ぎに到着し、ゲートまで様子を見に行きがてら数えると私が20台目だった。鳩待峠の駐車場に確実に駐車できることを確認し安堵。車中でコンビニサンドイッチを頬張り、のんびりと朝食をとる。フロントガラスには細かい雨粒がパラパラと落ちてくるが予報通りなので気にしない
鳩待駐車場について準備をしていると、青空が覗き始めた。10時半頃。良い兆候だ
鳩待峠でトイレを済ませ、最終準備をする。ほとんどがBCスキーヤーで、この時期は登山者がアウェーだ
曇り空のもと、黙々と雪の斜面を登って行く。枝に赤リボンが巻いてあるので、見失わないように進み、時折GPSでも現在地を確認する
登山口から登ること1時間20分。雲が取れて尾瀬ヶ原が見えた。燧ヶ岳も姿を現し始めた。左奥の会津駒ヶ岳はまだ雲の中だ
至仏山(右奥)と小至仏山(左手前)の雲も取れ、姿を現し始めた。天気予報通りだが、なかなかこうはうまくいかないのが山の天気。これは嬉しいサプライズ
先行者たちが小至仏山の山腹をトラバースしていく。足元の雪は柔らかく、時々ズルズルとすべり安定しない
振り返ると後続者も続々とやってくる。この斜面、前向きにザクザクと下りられる程度の角度なのだが、転べば簡単には止まらず、かなり下まで滑落する。トラバース中はそれなりに緊張する。背後に見えるのは赤城山
山頂に到着。ボーダーさんにシャッターを押してもらった。40年ぶりの山頂だ
冒頭の写真。上空の雲がすっかり消えて快晴状態。天気予報を信じて出かけて来て良かった
会津駒の左横には、同じく嫋やかな山容の平が岳。こちらも百名山
さらに左に進むと巻機山(まきはたやま)。これも百名山だ
巻機山の左には谷川連峰の山並みが広がる。素晴らしい眺めだ
さらに左に目をやると、遠くに浅間山。こちら方面は雲海が広がっている。雲海まで見られるとは何とラッキーな
時間は押しているが、折角なので尾瀬ヶ原方面の山の鼻へと周回する。尾根伝いに下っていくと、この部分だけ雪がつながらない。手前の緑のすぐ左側の雪の上を歩き、先に見える木道に進んだ
木の階段を傷つけないようにアイゼンを外し、短いながら木段歩きも楽しんだ。雪が完全に消えた後は、山の鼻からの登山道は登り専用となる。この時期だけ下りでも使用できる。この木段、この先で突如終わり、雪の急斜面が現れる
ふたたびアイゼンを装着し、ザックに括りつけてきたピッケルも出して、この急斜面を一気に下る
この辺りから先は気を抜いて下りられる。前方の樹林帯を抜けて山の鼻に行く。BCスキーヤーは至仏山頂からワル沢方面へ滑り降りて行くので、山の鼻への下りは人がおらず静寂の世界だ。唯一見かけたのは、山の鼻で山荘に宿泊する4人組のシニアのスキーヤーだけだった
山の鼻まで下り、雪に覆われて何もない静かな尾瀬ヶ原を少し散策。正面は燧ヶ岳
振り返れば至仏山。写真中央やや左にあるグリーンベルトの左斜面を下りてきた。右の雪面は植生保護のため進入禁止エリア
山の鼻に三軒ある小屋の一つ、至仏山荘。この日から営業開始。小屋前には至仏から降りてきてチェックインするBCスキーヤーの人たち。自分も泊りにすればよかった。時間は午後3時半。そろそろ鳩待峠までの登り返しに取り掛からなければ・・
鳩待峠まで登り返した。高々200mの標高差だが、ぐさぐさの雪の登りにひどく疲れた。でも午後からはずっと快晴で、先日のモノクロ写真のような白馬岳山行の鬱憤を晴らすことができた
帰りは片品村の地元民のためのようなこじんまりとした温泉「ほっこりの湯」でさっぱりした。片品村は今が桜の満開で、川沿いの桜並木がきれいだった。R120の日本ロマンティック街道を沼田方面に戻り、とんかつ屋で夕飯を食べて帰った(日本ロマンティック街道は、別名「とんかつ街道」とも呼ばれるほど、沼田周辺にはとんかつ屋が多い)
至仏山に登ったのは40年ぶり。当時、岐阜の事業所にいた同期3人で、GWに新幹線と在来線を乗り継いで尾瀬に出かけた
1日目は大半が移動で、大清水から長蔵小屋まで登って宿泊。2日目は燧ヶ岳に登り見晴へ下り、三条の滝に足を延ばし、温泉小屋で宿泊。3日目は雪の尾瀬ヶ原を歩き、山の鼻から至仏山をピストンして山の鼻小屋(多分)に宿泊。4日目に鳩待峠に登り、帰路についた
それ以来。尾瀬には何回か来ているのだが、至仏山には登ったことがない。ミズバショウの季節に来ることが多いので、燧ヶ岳には登っても、至仏山には規制で登れない。そんなわけで雪の至仏山を再訪すべく、あれこれ思案していた
交通規制解除前にe-bikeを使って鳩待峠に向かうことも考えたが、南プスの沼平から聖沢までの標高差200mのアクセスで苦戦したことを思えば、600mの標高差はきつい。e-bikeを押して鳩待峠に着いた頃には、山に登る余力が残っていないだろう
というわけで、規制解除後にGW前の平日を狙って戸倉から乗合タクシーを利用する計画を立てた。ところがGW前半まで天気予報が悪すぎる。唯一、規制解除当日がお昼ごろから晴れそうな予報。10時の開門で鳩待峠にマイカーで向かえば、11時頃の出発となる。スタート時間は遅いが、天気予報的にはバッチリということで出かけた
結果は、予報サイトのヤマテンも気象協会の山の天気もSCWも、こぞって予報通りの展開となり、素晴らしい残雪登山を楽しむことができた。久々の至仏山山頂からの展望に大満足。それにしてもBCスキーヤーのメッカみたいだな。40年前はときどきクロカンでテレマークする人を見かける程度だったのだが・・・
今シーズン最後の残雪登山になると思うが、最高の締めくくりとなり、感謝感謝!
なお、山行ルート、タイムなどの詳細情報については以下を参照されたし
山行記録: 至仏山 静かな尾瀬を散策 ☜ ヤマレコの記録