くじゅう連山。劇的な青空へ(2021/12/12-13)

山の記録

2021.12.16 08:30

当日の朝に鹿児島から4時間半かけて北上し、阿蘇くじゅう国立公園にあるくじゅう連山にやってきた。西国百名山ツアー7座目の九重の山々を1泊2日で楽しむ。宿泊は「坊ガツル」と呼ばれる湿原の端にある法華院温泉山荘で、その名の通り法華院観音菩薩が祀られた僧坊があった場所とかで、修験の場でもあった。今は僧坊はなくなり、登山者を主な客とする山荘になっている。山荘の別棟には観音菩薩を祀る部屋がありお参りできる。また温泉が湧いており、登山の疲れを癒してくれる。

くじゅう連山は火山活動でできた山塊で、主峰の中岳(九重山)をはじめ、星生山(ほっしょうさん)、久住山(くじゅうさん)、三俣山、平治岳、大船山など、いくつものピークがある。今回は、主峰を中心としたピークをめぐる山旅とした

冒頭の写真は、今回周回したくじゅう連山の山々。右の久住山、中央奥の稲星山(いなぼしやま)、左の中岳とその手前の天狗ケ城の山並み。星生山の山頂から撮影

まずは車を駐車した牧ノ戸峠駐車場から車道を下って大曲登山口まで歩く。鹿児島から移動してきて登山開始が正午になるので、この日はピークハントはせずに法華院温泉山荘へ直行する。大曲登山口からちょっとぬかるんだ登山道を進むと写真のような歩きやすい道に変わった

石畳やコンクリートの道を緩やかに登り、その後、涸れ沢を渡って諏蛾守越(すがもりごえ)まで登る

諏蛾守越から下ると、北千里ケ浜と呼ばれる不思議な登山道に出る。涸れた川底を歩いているような感じだ

平坦な北千里ケ浜をしばらく進むと、「坊ガツル」と呼ばれる湿原が眼下に見えてくる。ここから坊ガツルまでさらに下っていく

北千里ケ浜から坊ガツルの端っこのような位置に下りると法華院温泉山荘がある。小屋の裏側に下りてくるアプローチだ。そのまま小屋にチェックインすると、早速温泉に入ってアルコールを飲み始めて夕飯までに出来上がってしまうので、あえて素通りして坊ガツルまで散策することに(笑)

真ん中が本館、左が私が宿泊した部屋のある別館、右は法華院観音菩薩が祀られている建物。背後の稜線の鞍部(低くなった部分)が、北千里ケ浜の端で、あそこから下ってきた

山荘から下って坊ガツルまでやってきた。山に囲まれた湿原で、尾瀬と似たような感じだ。写真の中央右奥に幕営場(テン場)がある

幕営場まで行ってから山荘に引き返しチェックインした。早速、温泉に浸かる。柔らかい硫黄泉で何とも言えない癒しの温泉だ。温泉で一緒になった素泊まりの若者と話をしたら、この日に中岳をはじめピークハントしたが、ガスで眺望はなかったとのこと。若者には気の毒だが、当初の予定を変えて2日目に山頂へ向かうことにして良かったと安堵する

この時期の平日なので客は極めて少なく、温泉後は個室として使わせてくれた六畳間で一人宴会。夕食は私を入れて3人で、コロナ対策バッチリの疎な食堂だった。部屋へ戻って一人宴会の続きをして気持ちよく寝た

翌朝は、朝食を弁当に変えてもらい、部屋で弁当を食べて6時過ぎに出立(朝食は7時から)。日の出が遅くなったので、真っ暗な中をヘッデンを点けて進む。ガスガスでホワイトアウト寸前の中をGPSを頼りに昨日きた道を戻る感じで北千里ケ浜の分岐まで進んだ。そこから「久住分かれ」と呼ばれる尾根のポイントを目指す

ガスガスということは、霧氷ができる可能性が高いわけで、久住分かれに向けて登って行くと、期待通り霧氷が始まった

依然としてガスガスの中を「久住分かれ」から主峰群へと進む。すると久住山方面のガスが取れて青空が劇的に広がる。中岳から周回する予定を逆回りに変更して、まずは久住山へと向かうことに

久住山の山頂。居合わせた方に撮っていただいた。上空は青空。最高だ!

雲海だ。何と素晴らしい眺め

主峰の中岳(九重山)方面も雲が取れ始めた。予定とは逆回りの周回を始める

久住山から下山を開始すると、再び流れてきた雲にブロッケン現象が現れた。八回目のブロッケンとの遭遇。太陽の光を受けた私の影が、立ち込めた雲に映る現象だ。私の影の周囲に虹色の輪ができるのだが、虹色の輪がちょっとぼやけている

山頂すぐ下の灌木に霧氷ができて、まるで海中のサンゴのようできれいだ

久住山から鞍部に下り、稲星山を目指す。斜面には同じく霧氷ができている

稲星山山頂。左奥は久住山、右が天狗ケ城、中央奥が星生山方面

坊ガツルが眼下に見える。本来であれば坊ガツル経由で直接こちらに登ってこられるのだが、夏の豪雨の影響で登山道が崩落し、通行できない状態になっているので、北千里ケ浜へ戻るルート取りとなった

稲星山から中岳との鞍部にくだって、中岳を見上げる

中岳山頂。背後の山は、くじゅう連山の一つだが、平治岳だろうか?

中岳山頂からの眺め。右がこれから進む天狗ケ城、中央奥が星生山。左は最初にスタートした久住山。中央下に見えるのは御池(おいけ)

天狗ケ城から中岳を振り返る。白いのは全て霧氷

御池の淵に4人の若者のグループが下りて、そのうちの二人が果敢に(無謀に?)凍った池の氷の上を進んだ。写真右や左下はまだ凍結していない

どう見ても、体重に耐えられるような厚さの氷とも思えないが・・。私も山を再開して以来、毎年のように安全登山祈願を兼ねて群馬の赤城山に出かけて、大沼が凍結していれば氷の上を歩いて赤城神社へ向かうのだが、凍った湖面に穴をあけてワカサギ釣りをする釣り人たちがいないときは、ドボンのリスクを回避して、湖面ではなく道路を進んで赤城神社を目指す。これは私的には絶対乗っからないタイプの氷だ

天狗ケ城から下り、星生山を目指す。星生山の山頂は写真中央のピークの奥

ゴツゴツした岩の尾根を通って来た。左右両方に道がある。登山的にはこのルートが一番面白かった

星生山の山頂。本当にすごい青空だ。法華院温泉山荘からガスガスの中を登ってきたことが嘘のよう

山頂から百名山の祖母山を望む。祖母山からくじゅう連山がくっきりと見えたのだから、逆も真なり。でも山ではそうともいかないことが多い。今日は本当にラッキーだ

こちらは阿蘇山系。阿蘇は山頂付近に雲がかかっている

冒頭の写真。周回してきた山頂群を見渡す

東側には火山性ガスを噴出する斜面。登山道が見えているように、昨日はあの噴煙の斜面の向こう側を回りこむように進んで、坊ガツル(写真の中央右下)へと進んだ。中央の奥は三俣山で、その左奥に由布岳の双耳峰が見える

由布岳のアップ。今回は行けないが、またの機会にぜひ登ってみたい。由布温泉の再訪も兼ねて

星生山からの下りは、霧氷のトンネルを通って

車を駐車した牧ノ戸峠へ下る途中にある沓掛山(くつかけやま)山頂から久住山や星生山を振り返る

下山後は、九重星生ホテルの「山恵の湯」で日帰り温泉。露天風呂は数種類あり、これは硫黄泉。他にも冷泉や単純泉の檜風呂、打たせ湯などがあった

一番のお気に入りはこの露天風呂。鉄分を含んだ薬湯。三俣山を借景にした山好きにはたまらない露天風呂だった

前日の開聞岳は暑くて、薄手の長袖一枚でも汗ぐっしょりになったが、くじゅうは一転して寒かった。雪山用のジャケットを着て、ネックウォーマー、フリースの帽子、テムレス手袋など、完全防備しても汗ばむこともなく、手の指がかじかんだ

鹿児島から車を走らせて登山開始になるのだが、当初は一日目にくじゅう連山の中岳や久住山などに登って、二日目に法華院温泉から下るだけの計画だった。ところが、さすがに疲労も蓄積し、一日目の未明に鹿児島のホテルを出発することができず、一日目と二日目の計画を入れ替えた

これが大正解で、一日目は終日ガスで何も見えなかったとか。入れ替えたことで、二日目に素晴らしいくじゅう連山を楽しむことができた。法華院温泉山荘は六畳間の個室で、温泉にも入れるという望外の山小屋で、この時期の平日だからかガラガラだった(夕食は私を入れて三人のみ)。めちゃ混みは覚悟のうえで、いつかミヤマキリシマの咲く頃に再訪したいと思っている。九州最後の山は、素晴らしい天気と霧氷で楽しませてくれた。感謝感謝!

なお、くじゅう連山のコースの詳細については、以下を参照されたい

山行記録: くじゅう連山/西国ツアー⑦。温泉に霧氷に青空、何と幸運な! ☜ ヤマレコの記録

タイトルとURLをコピーしました