屋久島縦走。harbor to summitで宮之浦岳へ(2021/12/08-10)

山の記録

2021.12.12 07:05

計画に当たって

西国百名山ツアー⑤は、屋久島の宮之浦岳を目指す。別にこだわりがあるわけではないが、一度 “sea to summit” をやってみたくて、屋久島でトライしてみた。宮之浦港から歩いて日本百名山最南端の宮之浦岳(1936m)を目指すので、”harbor to summit”。この縦走コースは、白谷雲水峡やウィルソン株、縄文杉など、トレッキングツアーでも人気のスポットを通過する。

全行程の歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 35024 m
最高点の標高: 1908 m
最低点の標高: 1 m
累積標高(上り): 3988 m
累積標高(下り): -2753 m

山行の詳細

各日のコースタイムは、休憩時間を含んだ一日の行動時間

1日目の記録

宮之浦港→楠川バス停→(楠川林道経由)→白谷雲水峡→白谷避難小屋:4時間49分、11.1km

歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 7108 m
最高点の標高: 2838 m
最低点の標高: 2342 m
累積標高(上り): 804 m
累積標高(下り): -742 m

山行の詳細

まずは鹿児島から高速船で屋久島に渡って来た(冒頭の写真)。屋久島の青空が迎えてくれた。

楠川バス停を目指して歩き始めると、ガジュマルの木。枝から根っこを地中へと垂らす変な木だ

小一時間かけて楠川バス停まで歩いてきた。ちょうど宮之浦港から路線バスがやってきて通り過ぎて行った。歩道を渡って楠川林道へと向かう。楠川林道は江戸時代に屋久杉を切り出すために使用された道とか・・

苔むした石段が残っている。自然遺産なのであえて手を入れないのか、登山道を覆う下草や通過に難儀する倒木に辟易しながら楠川林道を登った。あまり利用する人がいない登山ルートで、ある意味マニアックなルート取りだ

下草や倒木に悪戦しながら登り続けると現代の林道にひょっこり出る。その林道を少し進むと白谷雲水峡の駐車場に出て、多くの観光客に出くわす

雲水峡はこの沢沿いに進み、そこからさらに各スポットへと奥に入る

屋久杉も現れる。これは「くぐり杉」。トレイルは下の空洞を通過している

一日目は白谷雲水峡にある無人避難小屋に泊まった。貸し切りだったので、手前のオープンスペースにインナーテントを張らせてもらった。左奥の扉の奥に、避難小屋によくある2段になった寝床スペースがあった。同じような部屋が、写真右側の壁の右にもあった

2日目の記録

白谷避難小屋→楠川分れ→ウィルソン株→縄文杉→高塚小屋→新高塚小屋:6時間32分、10.6km

歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 13100 m
最高点の標高: 2925 m
最低点の標高: 2146 m
累積標高(上り): 1624 m
累積標高(下り): -1408 m

山行の詳細

二日目はトレイルをさらに進み、ツアー客が入る一番奥の太鼓岩分岐まで登りが続き、そこから一転して下りが続く

「横川林道分かれ」まで下ると、昔のトロッコの軌道に突如として出る

しばらく軌道中央に作られた木道を進む。軌道は何度も沢を渡る

沢の橋から上流を見ると、次の橋が見える

樹林帯を歩き続けるので、なかなか稜線が見えない。ここは数少ない稜線が見えるスポット

軌道の最後の橋。これを渡った先に終点がある

橋を渡る手前から登山道に復帰。ここから再び登山になる

ウィルソン株。下部の部分だけ残っている

中に入って見上げると空が見える。ある角度で見上げると、ハート型に見えることで有名

屋久杉だけでなく、ヒメシャラの木々もでかい。ヒメシャラのツルツルの幹は、ひんやりして抱きつくと気持ちいい

縄文杉のポイントまでやって来た。ウィルソン株から縄文杉は人気のコースで、多くのガイドツアー客が入っている

以前は縄文杉に直接触れられたが、現在は保護のため写真のようなテラスが離れたところに二つ作られている。写真は南テラス

こちらが北テラス

北テラスからの縄文杉

南テラスから階段を少し登った位置からの縄文杉

縄文杉から先には一般のツアー客は進まない。ここからは静かな登山になる。高塚小屋周辺の様子。ヒメシャラの森で美しい

さらに一時間ほど登ると新高塚小屋がある。「新」なのだが、どう見ても高塚小屋の方がきれい。しょうがない。翌日の行程を考えると、新高塚小屋に泊まらざるを得ない

小屋の中でも寒いので、一日目同様、小屋の中にテントを張らせてもらう。新高塚小屋はネズミが出没するので、テントに入ってしまえば気にならない(笑)

実際、夜中に一匹が一度だけ走る音を聞いた。小屋のすぐ外では鹿の群れと思われる集団の足音も聞いた

3日目の記録

新高塚小屋→宮之浦岳→花之江河→淀川小屋→淀川登山口→紀元杉バス停:7時間29分、13.2km

歩行ルート図と標高グラフ

合計距離: 14813 m
最高点の標高: 2699 m
最低点の標高: 1872 m
累積標高(上り): 1012 m
累積標高(下り): -1591 m

山行の詳細

三日目。出立時に小雨が止んだ。その後は時々軽い霧雨が降ったが、雨具を着るほどでもない

下山後のバスの時間の制約があるので、宮之浦岳を目指してひたすら登る。途中の第二展望台からの眺め。青空が垣間見え、期待が膨らむ。一日目と二日目が好天に恵まれたので、今日もせめて山頂では晴れて欲しい

宮之浦岳の上部へ行くに従い、大きな岩が現れる。靴底のフリクションが効くので滑ることはないが、ロープを頼りに体を持ち上げる

凍っていると難儀するが、この日は雨が降るほど気温が高かったので、登りやすかった

山頂に近くなると、登山道に雪が現れた

山頂に到着するも、ガスって何も見えず。居合わせたガイドツアーのガイドさんにシャッターを押してもらった

ご覧の通り濡れ鼠のような姿。霧雨自体は雨具も必要ないくらいだが、登山道に迫り出した笹やシャクナゲが濡れていて、それが体に触り、ずぶ濡れになったという次第

このガイドさんと客の年配の女性とは、これで三回目の遭遇。一日目は白谷雲水峡で、二日目は縄文杉で、そして三回目が宮之浦岳の山頂

つまりこの女性客は、私が歩いた縦走路のハイライト部分を、毎日麓の宿からピストンしたわけだ。毎夜お風呂に入り、おいしい食事に舌鼓を打ち、布団かベッドで快適に寝て同じスポットに来たわけで、う〜んと考えてしまった。次回はこれに限るな

宮之浦岳から下って花之江河と呼ばれる湿原に着いた

さらに下って淀川登山口まで下りると青空。登山あるある現象。山頂で青空が欲しかったな・・・

登山口から車道を歩いてバス停のある紀元杉まで歩く途中にある川上杉

川上杉から何か落ちるのか、屋久ザルの群れが何かをひたすら摘んで食べていた。屋久ザルの群れは二回目の遭遇。一回目は一日目の楠川林道で遭遇。他には、二日目のトロッコ軌道でオコジョに出会った。三日目には小型の鹿の屋久シカとバッタリ。いずれもスマホを準備している間に逃げていった

4日目の記録

四日目の朝。安房港から高速船で鹿児島へ。青空がちょっと恨めしい。まぁ、一年に365日雨が降ると言われる屋久島で、3日間の縦走を計画することが欲張りか。二日晴れただけでも運が良かったと思うことにしよう

山行を終えて

さて、今回44年ぶりに屋久島にやってきた。学生時代に周遊券を使って九州を旅した際に屋久島に渡ったのだが、当時は島の一大産業である屋久杉の伐採を巡り、島を二分する論争の最中だった

結果的に、屋久杉を保護する環境保護派が説得に成功して、伐採の中止と山の再生に舵を切り、現在の世界自然遺産に結びついた。当時の島民の苦渋の決断に心から感謝したい

宮之浦岳に登った肝心かなめの3日目の天候がイマイチで、ちょっと残念だった。機会を見つけて宮之浦岳を再訪することとしよう

関連情報

なお、今回の縦走のコースやタイム、小屋やトイレの情報、水場の情報などの詳細については、以下の記録を参照されたい

山行記録: 屋久島縦走/西国ツアー⑤。harbor to summit ☜ ヤマレコの記録

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