野趣あふれる野天風呂/本沢温泉&東天狗(2021/11/16)

山の記録

2021.11.18 11:30

登山というよりは、のんびりと温泉に浸かりたいという衝動にかられた。それも旅館の温泉ではなく、野趣あふれる秘湯の露天風呂に


ふと思いついたのが、前から再訪したいと思っていた本沢温泉の野天風呂。久しぶりに本沢温泉に泊まってのんびりしようかと考えるも、どうせ泊まるなら本沢温泉の野天風呂に入った後に登山口まで下り、一泊二食で料金が2000円くらい安く、しかも夕食が豪勢な稲子湯旅館にしようかと悩んだ結果が日帰り(笑)


カミさんからは「泊ってのんびりしてくればいいのに」とのありがたい言葉を頂戴したが、12月のちょっと贅沢な山行計画を考えて、今回は日帰りで自重した

ただ温泉に浸かるだけというのも妙に気が引けて、一つぐらいピークにも立とうということで本沢温泉の裏山みたいな東天狗岳を選択。北八ヶ岳の秀峰の一つ。かくして、適度なお気軽登山を前菜に、メインの温泉を楽しむという計画が出来上がった

冒頭の写真は本沢温泉の野天風呂。標高2150m。日本一高いところにある野天風呂だ。背後は八ヶ岳連峰の一つ、硫黄岳の爆裂火口跡。セルフタイマーで自撮り。41-42度の最適湯加減の強い硫黄泉。極上の野天風呂だ

まずは自宅を4時過ぎに出て、稲子湯をナビにセットして車を走らす。長坂ICを下りてR28を進み、R141に合流して南牧村へ進んだ。ホンダのナビはJR松原湖駅方面に進みR480へ進む遠回りルートだったので、google mapの経路案内で表示された海尻城跡の交差点から200mほど先を左折するショートカットコースを進んだ。これがとんでもない裏道で、車1台がやっとの生活路だった


集落を抜けて峠を越えると、ヤマザキデイリーショップのある交差点に出た。ここを左折し、ローカル道を稲子湯目指して進む。写真は稲子湯の少し手前で、本沢温泉の看板のあるここを左折して進んだ

登山口Pまでは舗装路だった。そこから先は四駆限定の看板がある凸凹道を進んだ。車高があればFFでも進める。ただし、最後の部分はマジで車高のある四駆でないと厳しい


最後の部分に突入するところに4-5台駐車できるスペースがあった。ここに看板があり、この先は四駆以外は無理と注意書きがあった


私はSUVで強引に進んだが、上りで1回、下りは数回、腹を擦った。パンクすることなくゲート前Pまで往復できたが、相当な悪路だった。登山で八ヶ岳に行かれる方はイメージできると思うが、美濃戸口の八ヶ岳山荘から美濃戸の赤岳山荘への未舗装路より格段に悪路だった


すでに10年経過している車とは言え、愛車には酷なことをした

本沢温泉小屋を目指して林道の続きのような比較的緩やかな登山道を進むと、硫黄岳の爆裂火口が見えてきた。この硫黄岳の噴火で周辺の湖ができた。清里方面にJR小海線が走っているが、「小海」という地名は硫黄岳の噴火によって小さい海のような湖ができたことに由来する

ゲート前Pから歩くこと1時間程で本沢温泉小屋に到着。登山口Pからだと2時間くらいかかる。通年営業の山小屋だ。平日なのでひっそりとしている。ここで、夏沢峠からの下山時に立ち寄る野天風呂の入浴券(1000円)を購入して白砂新道へと進む

小屋の裏手に回り込むように進み、沢沿いをしばらく登ると急登が始まる。樹林帯の最後にダケカンバの林を抜けると背後に奥秩父の山並みが見え始める

薄く雪が積もっているが、特にすべり止めもつけず、登山靴で最後のジグザグ道を進んだ。上のハイマツ帯を抜けると尾根に出る

尾根に出ると、風に晒されて寒い。ここでフリースの帽子をかぶり、ジャケットを着る。左が西天狗岳、中央やや右奥が東天狗岳。こちらも火山でできた山で、双耳峰だ。ここからは右側の山頂直下に続く尾根道を進み、その先の東天狗へと向かう

手前のピーク直下を越えると、何やら作業中。上に見えるのが東天狗岳山頂。聞くと、雪に備えて鉄製の橋を撤去中とのこと。撤去されても、短いナイフリッジのような尾根を歩いて通過すればよいのだが、何と私が山頂から戻ってくるまで撤去を待ってくれるという。申し訳ない

東天狗岳山頂(2640m)。ちょうど反対側の黒百合ヒュッテ側から登ってきた5人組パーティーの方にシャッターを押してもらった。ありがとうございました

西天狗岳。あちらの方が6m高い。撤去を待ってくれているので行かない、という訳ではなく、当初から本日のピークハントは東天狗岳のみと決めていた

北八ヶ岳の山並みの奥に蓼科山(一番左の山)

反対側の南側には、硫黄岳の背後に左から主峰の赤岳、中岳、阿弥陀岳が並ぶ

その右側奥には南アルプス北部の秀峰が並ぶ。右から仙丈ケ岳、真ん中が甲斐駒ヶ岳、左が北岳

遠く北アルプスも雲間から見えている。右に槍ヶ岳の穂先が、左には穂高連峰の頭が見えている

東天狗から下り、本沢温泉から上がってきた尾根の分岐まで戻ってきた。ここからは同じ道を下るのもつまらないので、少し先の夏沢峠まで進んで本沢温泉へ下りることにした。手前の小ピークをトラバースして進み、後ろの根石岳山頂へと進む

根石岳山頂からすでに営業終了している根石岳山荘へと下って、箕冠岳(みかぶりだけ)へ登り返す

箕冠岳への登り返しから山頂の平らな部分も数センチの雪に覆われていたが、凍結などはなく歩きやすい道だった

箕冠岳から下って夏沢峠にやってきた。ここの山小屋2軒もすでに休業。硫黄岳に登る気はもとから無く、ここで昼食にして本沢温泉へと下った。ここの下りだけはチェーンアイゼンを靴底に装着した。唯一、滑り止めを使用した部分。最初は急な下りが続くが、比較的歩きやすい登山道が続く

本沢温泉まで下る手前に野天風呂への標識がある。途中、斜面の崩落箇所があり足元が柔らかいが、通行に支障はない

冒頭の写真。野天風呂に到着し、まず蓋の板をどける。野天風呂には脱衣スペースがほとんどない。他の入浴者のためにも、また風で衣服などが飛ばされないためにも、衣服や荷物はコンパクトにまとめておく


今回の主目的、40年弱ぶりの野天風呂。最高だ。懐かしの強烈な硫黄泉。自撮りを終えてしばらく寛いでいたら、ソロの女性がやってきた。聞けば、本沢温泉に2泊して硫黄岳に登ったり、野天風呂に浸かったりと、のんびり過ごされているようで羨ましい。女性は水着を着用していたので、あまり気兼ねすることなくお話することができた


のぼせそうになってきたので先にあがったが、汗が噴出してしばらく服を着ることができない。いつまでも裸で涼んでいるのも憚られるので、タオルでふきふき服を着た。小さな板切れと石の上に足を置いて悪戦苦闘したが、スリッパを持参すると、湯上りの着衣時に足に砂などがつかず重宝する


下山後に泉質の異なる稲子湯でも日帰り温泉入浴し、石鹸とシャンプーを使用したが、家に帰っても野天風呂の硫黄臭が体からぷんぷん匂う。体を見ると、胸から下が海水浴で日に焼けたみたいに赤くなっていた(笑)。湯が熱くて肌が赤くなることはあるが、日焼けのように2日経っても赤くなったままというのは、相当刺激の強い温泉なんだろうな・・


八ケ岳は大抵西側からのアクセスで、久しぶりに東側にある本沢温泉基点の登山道を利用した。本沢温泉の内風呂も良かった記憶があるが、野天とは泉質がかなり違ったと記憶する。今度は内風呂の方にも入りに再訪したいものだ

ちなみにこちらの写真は白馬三山の一つ、白馬鑓ヶ岳(やりがたけ)の中腹にある鑓温泉(やりおんせん)の写真。標高は2100m。こちらはがっつり登山でないとアクセスできない。写真は3年ほど前の5月下旬の残雪期だが、周囲は雪だらけ。湯が熱い時は雪の塊を湯舟に放り込んで調節する。登山口の猿倉からずっと雪の上を歩く。厳冬期は雪のラッセルを強いられ、登山者でもちょっとやそっとではアクセスできない

こちらの写真は、浅間山系にあるランプの宿「高峰温泉」の野天風呂。標高は2000m。いずれも2000mを越える雲上の野天風呂で、素晴らしい野天風呂だ。3つの中では一番アクセスしやすいのが高峰温泉。山をやらない人でも比較的容易に年中アクセスできる。夏は車で宿まで行けるし、冬は「あさま2000スキー場」の駐車場まで行けば、雪上車が送迎してくれる。写真は5-6年前の2月で、現役時代に同期のN氏と浅間山の外輪山の一つ、黒斑山(くろふやま)に登ったあと高峰温泉で一泊したときの写真

なお、今回の山行のコース概況やタイムなどの詳細については、以下の記録を参照されたし

山行記録: 標高2150mの野天風呂でまったり(本沢温泉+東天狗岳) ☜ ヤマレコの記録

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