アサヨ峰、小太郎山、標高第2位の北岳へ(2021/10/04-06)

山の記録

2021.10.07 10:51

コロナで今シーズン停滞していた百高山ハントを進めるべく、北アルプスの2座に続き、今回は南アルプスの2座を一緒に狙う。アサヨ峰(2799m)と小太郎山(2725m)だ。アサヨ峰は昨年御座石温泉から鳳凰三山の一つである地蔵ケ岳を越えて高嶺(たかね)から早川尾根を進んで登頂するつもりだったが、早川尾根小屋で時間切れ、体力切れとなり断念した。今回はアクセス方法を変えて、広河原からアサヨ峰と小太郎山をセットにして再チャレンジした

冒頭の写真は早川尾根から撮影。山は黄葉シーズン。左奥が目指すアサヨ峰。右が花崗岩で白く見える甲斐駒ヶ岳。素晴らしい快晴。下界は季節外れの真夏日で、山も暑かった

まずは甲府昭和ICで高速を降り、下道で芦安温泉郷を目指す。芦安の市営駐車場(無料)に車を停めて、予約しておいた始発の乗合タクシーで登山口の広河原へ。ちょうど北岳が朝日を浴びてモルゲンロートに耀いていた。2年前の豪雨による土砂崩れの復旧工事が続いている


登山者は北岳を目指して吊橋を渡っていく。私も一旦吊橋を渡った所にある広河原山荘へ向かうも、今夜宿泊する広河原山荘にザックをデポさせてもらい、アタックザックの軽装で吊橋を戻る。私一人、アサヨ峰を目指して、通行止めの北沢峠方面へ進む

通行止め区域の手前にある広河原峠登山口から入り、まったく眺望のない樹林帯の急斜面を2時間かけて登ってきた。やっとこさ広河原峠。アタックザックの軽量でも辛かった。道標のバックは八ヶ岳

広河原峠からは、昨年も歩いた早川尾根を進む。前方にギザギザの稜線が見える。あそこのアップダウンを繰り返して左奥のアサヨ峰を目指す。右奥の白いのが甲斐駒ヶ岳

早川尾根小屋に到着。週末にご主人が改装している。テン場にはヘリで運んだ荷物があるが、幕営は可能

窓から中を覗くと床が綺麗に貼り直されて間仕切りのカーテンも設置済み。完全休業の昨年は避難小屋として開放されていたが、10月に小屋泊した時は床が波打っており、そのまま朽ちて小屋は倒壊していくのかと心配した。今シーズンは小屋の主人が週末を利用して改装を進めているようで、本格再開が待ち遠しい

冒頭の写真。黄葉がいい感じ。右奥は甲斐駒ヶ岳。左奥がアサヨ

予定より早くアサヨ山頂。時間的には栗沢山まで足を伸ばせるが、翌日の小太郎山と北岳を考えて自重。山頂でのんびりすることに

アサヨ山頂から標高日本第2位の北岳を眺める。写真の左下には翌日に行く小太郎尾根分岐があり、右斜め上へと続く手前の尾根を登って北岳の肩の小屋に向かう。小屋から左に尾根を登り北岳山頂を目指すことになる

アサヨから雲海に浮かぶ富士山。南アルプスからは富士山が近い

南アの「団十郎」とか「貴公子」とか呼ばれる甲斐駒ヶ岳の雄姿。左へと続く稜線は鋸岳

上の岩場の標識で自撮り。百高山97座目の証拠写真。誰もいない山頂でのんびり昼食休憩

さぁ、早川尾根を戻ろう。右上奥の尖がりは鳳凰三山の地蔵ケ岳山頂のオベリスクと呼ばれる奇岩

尾根には黄葉だけでなく紅葉も。青と赤と黄、信号みたいな色の組み合わせだが、とてもきれいだ

樹林帯を黙々と下り、広河原の吊橋まで戻ってきた。復旧工事を吊橋から撮影。広河原山荘にチェックインし、シャワーを浴びようと着替えを持って下りていくと、コロナでシャワーはやっていないとのこと。ガックリ。今シーズン限りで閉鎖される山荘なので、コロナもシャワーを止める良い言い訳なのかもしれない


登山口にあるこの小屋は普段から宿泊者がほとんどいない。平日のこの日は私一人だけだった。2階の馬小屋のような大部屋ではなく、3階の6畳間を一人で使わせてくれた

翌朝、始発バスが到着する40分くらい前に小屋をスタート。白根御池小屋へ向かう一つ目のベンチで休憩していると、鳳凰山の夜叉神尾根の辻山あたりからご来光。すると、始発バスで来たトレラン(trail running)の方が早くも追い越していく

広河原から2時間程、急登を上がって白根御池小屋に到着。ここで広河原山荘で作ってもらった弁当を食べて大休憩。始発バスで来た日帰り登山組が続々とやってくる。バックの黄葉がきれいだ。左奥に見えるのが北岳

白根御池小屋から通称「草すべり」と呼ばれる急登が続く。いつもながら草すべりが更なる試練で今回も撃沈した。下界は10月というのに真夏日で、山も夏のように気温が高い上に、草すべりはまともに日光が当たるので暑い

草すべりを登り切り、小太郎分岐まで来た。すると、南アルプスの「女王」と呼ばれる仙丈ヶ岳が美しい姿を現す。ここから眺める仙丈ケ岳は、私には象さんの顔に見えてしまう。女王には失礼だが・・

今回は、甲斐駒手前に続く正面の尾根に用がある

小太郎への尾根の斜面も綺麗に黄葉している。それにしても見た目と裏腹で、小刻みなアップダウンが繰り返し、何気に辛い尾根だな

歩いている間、あれが小太郎山頂だと思い込んでいた

前小太郎山の標識にガックリ。よくある話。遠く背後に中央アルプスの山並みが見える

さらに小太郎山へと続く尾根。白い甲斐駒の左に見えるピークが山頂。右の尖りは前日登ったアサヨ峰

やれやれ、小太郎山に到着。百高山98座目。ほとんど空身なのにCT(コースタイム)を縮められない。誰もいない静かな山頂で自撮り後、絶景をおかずにして昼ご飯

小太郎山山頂からは、目の前に甲斐駒ヶ岳と右に昨日登ったアサヨ峰、左に鋸岳が見える

広角で。中央の横に伸びる尾根が前日歩いた早川尾根。地味にきつかったな

小太郎山からの富士山

さて北岳目指して尾根を戻ろう。こうやって見ると随分登り返すんだな

小太郎分岐への最後の登り返し。要塞に見えた。小太郎山より分岐の方が標高が高い。それなら分岐を百高山にしろなどと野暮なツッコミはしない

尾根を往復するだけだと高を括っていた。小太郎山頂でのお昼ご飯を入れて3時間を要した。左下にピンクのベストを着た人が下りていく。ここへ戻ってきたときに準備していた環境省の関係者。環境調査のようだ

肩の小屋に14時半前に到着(写真は北岳から下りてきて撮影したもの)。チェックイン後にビールをぐっと我慢して、まずは北岳山頂へ向かう

標高日本第二位。山頂に居合わせた方に撮ってもらった。右奥は仙丈ヶ岳

北岳山頂から眺める鳳凰三山の白い稜線が美しい。右から薬師岳、観音岳、地蔵ケ岳。奥には奥秩父の山並み

No.2から眺める圧倒的なNo.1

間ノ岳へと続く天空の稜線。白峰三山の稜線だ。そのうちに再訪したい。コル(凹んだ鞍部)に北岳山荘が見える。黒川紀章デザインの山小屋。間ノ岳の背後に南プスの南部の山々が見える

北岳から下山途中に今宵の宿の肩の小屋とテン場を見下ろす。あのテン場はちょうど風を避けられる凹みに在り、しかもテントから富士山が見える絶景のロケーションだ

夕食後に夕焼け。中央アルプスの南端あたりに日が沈む。夕食には苦手なサバの味噌煮が出てしまった。唯一のアレルギー料理なのだ。たまたま隣に座った方が好物ということで、丸っともらってくれた。助かった。標高3000mの山小屋で魚が食べられるというありがたい夕食なのだが、こればかりはね・・・

日が沈む。明日も晴れますように

夜7時ごろ。寝てしまう前にとりあえず星空を撮影。満天の星空だが、薄雲がかかっていた。天の川ではない

翌朝の黎明。北岳山頂でご来光を計画していたが、小屋の中から聞こえた風の音に戦意喪失。小屋からご来光を拝むことに

ご来光と富士山。刻々と変わる空を眺めるため朝食はたのまなかった(サバの味噌煮は関係ない)

反対側の仙丈ヶ岳がモルゲンロートに輝く

小太郎への尾根と甲斐駒ヶ岳にも朝日が当たる。右奥に八ヶ岳

下山途中の小太郎分岐あたりから鳳凰三山

途中の白根御池小屋で大休止し、吊橋まで下りてきた

北岳にさようなら。今日もいい天気。3日間の好天に感謝感謝!

豪雨災害とコロナで開業が2年遅れた新広河原山荘。来シーズンからバス停横に移転してオープン。お風呂もある。さすが市営は違うな。登山者というより整備中の広河原の遊歩道を歩きに来るシニアや家族連れ、インバウンド旅行者がターゲットとか…




北アに比べて比較的静かな南プスにしては甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根も鳳凰三山も人が多い方だが、両方を結ぶ早川尾根には栗沢山やアサヨ峰などがあるものの、登山者は少なく静かでいい尾根だ。昨年は早川尾根で出会った人がゼロで、今回は一人とスライドしただけだった。来年あたりに、黒戸尾根の七丈小屋と改装が終了する早川尾根小屋を利用して、黒戸から甲斐駒ヶ岳へ登り、早川尾根で鳳凰山へと縦走してみたい


今回の目的であるもう一座の小太郎山も静かでいい山だった。平日にもかかわらず、北岳への登山者が結構多かったのに対し、小太郎への尾根を進む人はごくわずかで、喧騒を離れて歩けるのが良い。北岳、千丈、甲斐駒、鳳凰などを眺めるにはもってこいのロケーションで、贅沢な山頂でのひと時を過ごした


帰路に前小太郎山の山頂で先に進むか迷っている若者がいたので、小太郎山まで行きなさいと薦めた。先々、百高山や山梨百名山をやろうと思った時に、「何故あの時に前小太郎まで行っておきながら小太郎山へ行かなかったのか」と後悔するだろうと思い、年寄りの余計なおせっかい


北岳は標高N0.2だけあって、やはりしんどい山だ。小太郎往復の3時間を差し引いても、私にはとても日帰りできそうもない。白根御池小屋までの急登で次々と追い抜いて行った日帰り登山者の健脚ぶりには本当に驚かされる


前週の北アの後立山連峰の縦走では、1日目から3日目へと進むにしたがって、一日の行動距離と時間が長くなり大変な思いをしたが、今回は逆に短くなっていったので、山行としては楽だった


暇な隠居の身で時間だけはたっぷりあるので、これからも平日主体でゆとり登山を楽しみたい



なお、今回の山行のコースやタイム、道の状況などの詳細な情報は、以下のヤマレコの記録を参照されたい

山行記録: 百高山いよいよ大詰め。アサヨと小太郎、ついでに北岳 ☜ ヤマレコの記録

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