ミズバショウの尾瀬をぶらり(2021/06/06-07)

山の記録

2021.06.09 10:00

東京のコロナはまだ緊急事態宣言が続いているが、ステージ3相当に下がってきた。我が千葉県は蔓延防止継続中だが、ステージ2相当レベルに移行しつつあるので、ちょっとフライングして家族で山に出かけることにした


ミズバショウのシーズンの尾瀬は土日を避けて平日に出かけたいところ。そうは言っても息子の仕事の都合もあるので、日曜・月曜で折り合いをつけ、カミさんも久しぶりについてくるので、1泊2日の「のんびり山行」とした

冒頭の写真がミズバショウ。旬を過ぎてちょっと葉っぱが大きくなり始めている


♬夏が来ーれば思い出す~。はるかな尾瀬、遠い空♬


で始まる「夏の思い出」という曲が有名な尾瀬のミズバショウ。今回一緒に出掛けた息子に聞いてみたら、知らないという。現在30歳なのだが、小学校でも中学校でも音楽の時間に歌わなかったそうだ。昭和は遠くになりにけり・・か。ちなみに戦後間もない昭和24年の歌だ。私は昭和37年にNHK「みんなの歌」で歌われていたのを微かに記憶する。もちろん学校の音楽の時間にも歌った世代だ


ミズバショウの季節の尾瀬ヶ原は12年ぶりの訪問なのだが、前回は5月下旬でシーズンドンピシャだった。今回は感染状況が落ち着くのを待っていて最盛期を逃したが、それでも十分に楽しむことができた

まずは尾瀬ヶ原への代表的なアクセスポイントである鳩待峠(はとまちとうげ)。群馬県の戸倉温泉郷にある駐車場からシャトルバスに乗って上がってくる。日曜朝の遅めの時間だが、そこそこ人がいる。今日の予報は午後から弱い雨。傘も持ってきた

鳩待峠から至仏山(しぶつさん)の麓の「山の鼻」まで約200m下ってきた。約1時間。いきなり下りから始まる登山というのも、ここくらいか。山の鼻から尾瀬ヶ原に入る。早速ミズバショウがお出迎え。まだ間に合ったようだ

木道をひたすら歩いて、尾瀬ヶ原の反対側にある燧ヶ岳(ひうちがたけ)の麓の「見晴(みはらし)」まで進む。途中に小屋もあるし、木道の横にテラスベンチが設置してあるので、休みながらのんびり進む。ちなみに木道は原則右側通行

沢にはミズバショウの群生が見られる

至仏山(標高2228m)を振り返る。青空がのぞき始めた。嬉しい天気予報の外れ。至仏山は、高山植物保護のため、7月1日の開山日まで入山禁止。GWの頃は完全に雪で覆われているので、どこを登っても良いのだが、その後、完全に雪が消えて登山道が現れる開山日まで登山禁止になる

途中途中で休みながらコーヒーを入れてモグモグタイムにし、のんびり歩いてきた。尾瀬ヶ原の反対側の終点である「見晴(みはらし)」の小屋群が近づいてきた。あそこでランチを取りながら大休憩。燧ヶ岳(ひうちがたけ)が美しい。燧ヶ岳は標高2356mで、東北以北の最高峰。至仏山とともに日本百名山に数えられる。こちらは入山規制はないが、今回はカミさんが一緒なので登らない。見晴からは左方向に進んで今宵の宿に向かう

宿の「温泉小屋」に到着。記憶が間違っていなければ、約40年前のGWに泊まった小屋だ。当時、岐阜県の事業所にいた私は、同期3人で新幹線、ローカル線、バスを乗り継いで尾瀬にやってきた。「大清水(おおしみず)」から入山し、尾瀬沼にあがって長蔵小屋に一泊。2日目に燧ヶ岳に登り、見晴に下ってこの小屋に宿泊した。3泊目は至仏山に登って、山の鼻の小屋(どこか忘れた)に泊まった。若かったな・・

小屋の前には小洒落たテラスがあって隔世の感だ。チェックインして荷物を置き、2時間かけて三条の滝まで往復する予定だったが、テラスを見た瞬間に計画変更。早速、鉄分を含んだ温泉に直行し、テラスで湯上りの生ビールx2+ロング缶でくつろぐ。何とも気持ちの良い至福の時間だ


ちなみに三条の滝は尾瀬の湿原の水が流れ落ちていく滝で、この時期は水量が多く迫力満点の滝だ。この後、部屋に戻って持参の焼酎を飲み、夕食前にはすっかり出来上がってしまった(笑)

テラスからは目の前に広がる赤田代の湿原を眺められる。奥の方に至仏山が見えている。食堂からも同じ眺めが楽しめた

2日目の朝。三条の滝はすっかり忘れることにして、見晴の小屋群まで戻ってきた。ここには6軒の山小屋がある。北アルプスなどの山小屋と違い、水が豊富な尾瀬は、ほとんどの小屋にお風呂がある(石鹸・シャンプー禁止)。温泉でなくても、お風呂に入って汗を流せるだけでさっぱりするのでありがたい。個室も多く完全予約制なので、詰め込まれることもなく快適だ。トイレも温座ウォシュレット。昔は食事が質素だったが、最近は変わってきたようだ

湧水もあり水の調達も容易だ。弥四郎小屋の前で、途中のコーヒー用に冷たくておいしい清水を1Lのペットボトルに汲んだ。背後は「尾瀬小屋」。この小屋にもテラスが作られていた。この道を奥へ進むと尾瀬沼や燧ヶ岳方面に行く

尾瀬ヶ原の中ほどにある竜宮小屋に到着。小屋周辺のミズバショウはほぼ終わっていて、大きくなった葉っぱの姿になっている。葉は更に大きくなる

湿原の尾瀬では水の流れは複雑で、いろんな沢が湿原を流れており、中には伏流水となって湿原の下を流れるものもある

手前と奥のせせらぎの両方から水が流れ込んで溜りになっている。水は地下へと吸い込まれ、木道の反対側にある湧出点で地上に現れる

こちらが出口を示す看板。木道の間に張り付けられている

ここに湧き出てくる。反射して見えないが、結構な深さで小魚が一杯泳いでいる。奥の方には、景鶴山(中央左)と与作岳(中央右)が見えている

下ノ大堀川。尾瀬のポスターに必ずと言っていいほど使われる定番の撮影ポイント。最盛期はミズバショウの白い花が川の両岸を埋め尽くす。奥は至仏山

ずっと先を行く息子と、さらに先を行くカミさん。完全に置いてけぼり状態

池塘(ちとう)の浮島。結構深くて水が透明。完全に浮いているのがよく見える

池塘に映る「逆さ燧(ひうち)」

池塘や川にはイモリが泳いでいる。10センチ超くらいの大きさ。尾瀬の福島県側の入山口にある桧枝岐(ひのえまた)温泉の旅館に宿泊したときに、これとそっくりのサンショウウオの姿揚げが夕飯のおかずに出てきた。同じ両生類で区別はつきにくい。あの時も夕飯までに出来上がっていたので、酔った勢いで頭からがぶりと食べたが、酔わずに食べられるかというと自信がない(笑)


フランスや中国ではカエルを食べるが、同じように淡白な感じの肉だったような記憶が・・

至仏山の麓の山の鼻付近まで戻ってきた。木道の両側には白いミズバショウと黄色のリュウキンカが咲いていてきれいだ

湿原にミズバショウが広がる。奥は至仏山

湿原をアップ。細い沢が流れている。この辺りのミズバショウは、まだ葉っぱが小さくて、白い花が良く見える

iPhone 12 pro maxで最大限アップにする。iPhone 12 pro maxは、特にズームアップしたときに人工的というか無機質的な画質になる。今までのiPhoneはもう少し自然で温かみのある画質だったと感じるのは私の気のせいか

ミズバショウの見納めだ。こんどはいつ来られるかな?

山の鼻から鳩待峠へ向かう。約200mの登り返し。最初は比較的緩やかな道。途中からきつくなる

お昼ごろに鳩待峠に到着。月曜のお昼は、さすがに人が少ない。背後の新緑がきれいだ

3人で記念撮影。良いハイキングだった

暑かったので、私と息子は花豆ソフトクリーム、カミさんはかき氷。疲れた体に甘さが沁みわたっておいしかった

シャトルバス乗り場から至仏山にお別れ。日帰り温泉に寄って汗を流して帰ります


蛇足ながら、今回見かけた高山植物を以下に・・

この時期の代表的な花二つ。あちらこちらで見ることができた

ワタスゲは少し遅く、ミツガシワはこれから本番

タテヤマリンドウはピークで、濃いのや薄い色のや色々咲いていた。ヒメシャクナゲやレンゲツツジはこれから本番

シラネアオイは鹿による食害を防ぐため、鳩待峠~山の鼻間に電流の流れる柵で保護されていた。コバイケイソウはこれから花が咲く。湿原はこれから徐々に乾いていきシダが増えてくる。ゼンマイかワラビみたいだ

ムラサキヤシオツツジも鳩待峠~山の鼻間で見られる。タカトウダイ(ハクサンタイゲキかも?)は見晴から温泉小屋方面に向かう途中に咲いていた

タネツケバナも見晴から温泉小屋方面に向かう途中で見かけた。延齢草やコミヤマカタバミは鳩待峠~山の鼻間で見かけた



さて、天気が良い方向に転んで、気持ちの良い尾瀬ヶ原歩きを楽しむことができた。2週間ほど早く来れば、燧ヶ岳と至仏山にはもっと残雪が残り、雪の白と空の青と新緑の緑の素晴らしいコントラストを見ることができる。尾瀬ヶ原は雪解け水でしっかり潤って、パンフレットなどで見る尾瀬そのものを体感できる
今回はちょっと遅かったが、それでも尾瀬ヶ原の別世界をのんびり歩く事が出来て、初めてミズバショウの尾瀬を訪れたカミさんと息子も記憶に残ったことと思う


尾瀬ヶ原歩きでは、時折凄い羽音を立てて急降下してくるオオジシギや悠然と弧を描いて飛びまわる猛禽類(鷲?鷹?)の姿をはじめ、ずっと鳴いているのでどこまで行ってもついてくるような錯覚を起こさせるカッコウやウグイス、湿原を上下に動くヒバリなどの声に癒された。そしてゲコゲコ、グエッグエッのカエルたち。全く飽きない


宿の温泉小屋のテラスを見た途端、三条の滝の往復計画は吹っ飛び、鉄分を含んだ温泉へ直行し、テラスでビールをグビグビ。何とも言えない至福の時間。8畳部屋に家族3人でゆったり泊まり、尾瀬は別世界だなぁ・・と久々の感慨に浸る
こんな山をやっていると、普通の登山ができなくなってしまう。何年かに一回のペースくらいにしておかないと・・。コロナ規制が解けたら、本格的な山を再開したいが、これから暑い季節になるので無理せずやりたい


誕生日が4日遅いために高齢者の接種対象とならなかったので、ワクチンも何時になったら順番が回ってくるのか分からない。すでに婚姻届けを終えている次男夫婦が結婚式を行う秋くらいまでに万全の体制になればいいかなと思っている。山も涼しくなるし・・


なお、今回の山行の詳しいデータは、以下のヤマレコの記録を参照されたし

山行記録: のんびり尾瀬ヶ原 ☜ ヤマレコの記録

タイトルとURLをコピーしました