奥多摩の雲取山 三条の湯泊(2020/01/30-31)

山の記録

2020.02.01 11:59

数年ぶりに雲取山、というか奥多摩の山域に出かけた。1月27日に関東の山間部でまとまった降雪があった。翌日の雨で雪はかなり消えたようだが、上の方には残っているらしい。以前から雪のある時に雲取山を再訪したい、できれば三条の湯の小屋に泊って温泉とおこげのご飯を楽しみたいと思っていた。今回はその両方を盛り込んで出かけることにした。

木曜日から天気が良さそう。雲取山は東京都の最高峰(2017m)であり日本百名山でもある人気の山なので、冬期とはいえ土日はたいそう混雑する。隠居の特権を生かして木・金で計画した。ところがカミさんが車を使うという。金・土にずらそうかとも思ったが、ウィークデー優先で電車で出かけることに。

自宅最寄駅5:59発→東京6:16着

東京6:38発→青梅8:04着(JR中央・青梅線快速、青梅行)

青梅8:05発→奥多摩8:38着(JR青梅線、奥多摩行、自宅最寄り駅から1441円)

奥多摩駅8:42発→鴨沢西9:21着(西東京バス、703円)

http://www.nisitokyobus.co.jp/wp/wp-content/uploads/2015/08/20150901_hiking_okutama.pdf

冒頭は2日目の山頂での写真。山頂標左奥に富士山がくっきりと見えた。前回は見れなかったので感激だ

まずは1日目から。奥多摩駅からバスで終点の鴨沢西BSへ。そこからバス停二つ分を歩いて「お祭」のバス停まで約15分。車道を歩いていると、早速地元民の歓迎を受けた(笑)。

ここは東京都と山梨県の県境なのだが、いかにも奥多摩という風景。日本もまだまだ自然が残っている。後世に引き継がなくてはならない。

車道から三条の湯へ向かう林道に入ると日影には少し雪が残っていた。もう10時近いので、気温が上がって凍結部分は溶けて滑ることもない。

林道を歩くこと2時間。終点から登山道に入ると、ザ・奥多摩というような感じの風景。長閑で気持ちの良いトレッキング

カーブを曲がると、いきなり頭上に三条の湯の小屋が現れた。想像より立派でちょっと驚いた。手前は沢になっていて、水には困らない山小屋だ。午後1時到着。少し早すぎるかな

小屋のチェックインを済ませて早速お風呂に。源泉10度の鉱泉を加温している。何と宿泊者は私一人(他にはテント泊のご年配の常連ご夫婦1組)。小屋番さん曰く、「冬の平日はこんなもんですよ」。本来3時からの入浴なのだが、宿泊1名にもかかわらず、早めにお風呂を焚いていてくれた(常連さんのおかげか)。

やわらかい硫黄泉で何とも気持ちがいい。少ないが湯の花も浮いている。今日は利用者3名なので、女性用の小さい方の風呂だけなのだが、十分な広さで贅沢そのもの。極楽だなぁー。

部屋は「雲取」の8畳間。布団が8組あったので、秋とかのシーズンは8名で泊る部屋を貸し切り。同じ料金で快適な小屋ライフ。平日はいいなぁ

購入した缶ビール2本に持参したおつまみと340mlのペットボトルに詰めてきた焼酎。これで文庫本を読みながら午後をまったり過ごす予定が、1時間でアルコールもつまみもなくなってしまった。まだ3時前なんだけどな・・。

食堂へ行くと林道途中で声をかけてくれたテン泊のご夫婦がいた。ちょうど風呂から上がったところだったようで、1時間ほど小屋番さんも入れて談笑する。その後、4時過ぎから2回目の温泉とビール。ご夫婦は食堂の一角で自炊の支度をしていた。かつて私が住んでいた埼玉の戸田から来られたとのことで談笑パート2。

5時半からの夕食を済ますと、常連のご夫婦からの差し入れのジャガイモをストーブで焼いて、これまた差し入れのネギ味噌で焼きじゃがを食べながら、小屋番さんも入れて談笑パート3。すっかり酔いが回ってきたので、7時に部屋に戻って就寝。

翌朝、6時過ぎに小屋を出る。最初はヘッデンをつけて歩いたが、すぐに明るくなり始めた。すると木々の奥の尾根が太陽の光でモルゲンロートに染まる。今日もいい天気になりそうだ。

飛龍山の尾根。雲の中を龍が飛んでいるようにも見える。

反対側の稜線からご来光。朝食を30分早めてもらって正解だった。

さらに登ると、木々の間から富士山が見え始めた。素晴らしい。何度も富士山を眺めながら登っていく。

数年前の台風で登山道がダメージを受け、新たに作られた高巻きする迂回路を越えたあたりから雪が現れ始めた。月曜の降雪後はこのルートに誰も入っていないらしく、カモシカの足跡だけだ。

三条ダルミと呼ばれる地点まで上がって来た。飛龍山からの尾根伝いの道と合流する地点。この少し手前から完全に雪山になった

飛龍山のルートにはワカン(洋風かんじき)を着けた足跡が一つ。気温が上がると、雪が緩んで足がズボッと沈んで歩きづらいので装着したのだろう。

三条ダルミからの富士山。遮る木々もなく美しい姿を眺めることができる。

これまでの長い緩やかな登りから変わって、三条ダルミから雲取山へは急登に変わる。30歩から50歩位の間に足がズボッと沈む。ワカンを装着しようか迷ったが、まだ午前中で雪が締まっており、雪の上を歩けそうなので登山靴のまま進んだ。

ここまでワカンもアイゼンもつけずに雪山用登山靴のみで登ってきた。心なしか空が近くなったような感じがする。山頂は近い?

前の写真の斜面を登りきると山梨山頂標のすぐ後ろ側に出た。振り返って登ってきた方角を見れば富士山が見える。

雲取山の山頂は、山梨県、埼玉県、東京都の境にある。こちらの標識は埼玉県。以前の四角い標識から変わっていた。東京都も木製から墓石みたいな山頂標に変わっていた。そう言えば、山頂に出て最初に現れた山梨山頂標も変わっていたような・・。時代とともに変わっていく(前回は平成、今回は冷和)。

雲取山からの富士山。2100mまで上がると、富士山の雪のない裾野部分も見える。

飛龍山の右奥には南アルプスの北岳から間ノ岳につづく3000mの天空の尾根が見える。

丹沢方面。一番奥に見えるのが丹沢の山々。手前が三頭山などの奥多摩の山々。

鎌倉方面。肉眼では中央奥やや左の三角の山のすぐ左奥に江の島も見えていたが、カメラでは捉えきれず。この時点で10時半過ぎ。帰宅ラッシュアワーの新宿通過を避けるべく、鴨沢発13時53分のバスに乗りたい。これを逃すと2時間待ち。3時間半弱で下りなくてはならない。そんなに時間的余裕はない、というか、かなり飛ばさないと間に合わない。山頂滞在を早めに切り上げて下山開始。

雪山の下りのメリットは膝に衝撃をかけることなく飛ばして下りられること。皆さんが踏んだトレースは固くて滑りやすくなっているので、新雪部分を大股に駆け降りる。

飛龍山の左奥に南アルプスの荒川三山と赤石岳の稜線が雲間から姿を見せてくれた。

これから下る尾根。おやおや自転車を担いで登ってくる強者がいる。同年配くらいの方だろうか、言葉を交わすと、このくらいの雪の方が走りやすいとか。確かに凸凹が雪の下で走りやすいんだろうな・・。

旧奥多摩小屋のあたりから雪が少なくなってきた。七ツ石小屋まで雪があったりなかったり。5センチ程の霜柱が溶けてぐちゃぐちゃになっている。滑らないように、かつ登山道を傷めない程度に端っこを歩く。

名物「ダンシングツリー」の前後は泥濘がひどかった。

ブナ坂から七ツ石山を越えて七ツ石小屋へと進む。ブナ坂からは、関東で反乱を起こし朝廷に逆らって自ら新皇になろうとした平将門(桓武天皇の末裔)の逃避行にまつわる説明看板が所々に設置されていたが、ゆっくり読む時間的余裕がないので斜め読み。

七ツ石小屋からは雪のないフラットで乾いた登山道を急ぎ足で下りた。13時30分過ぎにバス停に到着。靴やストックをざっと洗って身支度する時間的余裕があった。マイカーであれば、こんなに焦らなくても奥多摩らしい登山道を楽しみながらのんびりと下りてこられたのに・・。次回はやはり車で来よう。

今回も車で出かけるつもりが、カミさんが使うというので電車で出かけることに。当初は雲取山に登ってから三条の湯へ下って宿泊する計画だったが、電車移動で登山開始が遅くなるため、逆回りにした。1日目は三条の湯までなのでゆっくり出発して良いのだが、東京へ向かう列車が通勤通学で混み始める前に移動したかったので、6時頃の電車に乗った

中央線は新宿を過ぎて郊外へ向かえばどんどん空いてくると思っていたが、途中の主要駅でも下りればその分また乗ってくるの繰り返しで、何と終点の青梅まで車内を容易に移動できないくらいの混みようだった。中央線に限って言えば、30分か1時間遅らせて乗車した方が、通勤通学とバッティングせず快適に移動できたかもしれない。まぁ、東京始発で座って行けたので文句は言えない。週末ならばこのような混雑はないのだろうけど・・

1日目はCT3時間半のらくらくコースで、温泉に入りアルコールとつまみでまったりしながら文庫本を読むという至福の時間を過ごす計画になった。小屋泊は私一人なのに、到着する1時ごろにはもうお風呂を沸かしてあり、すぐにお風呂に入れた。部屋は8畳一間貸し切りで何とも贅沢な小屋泊になった。同じ金額でもこれはお得感がすごい。引退した恩恵だな。ありがたやありがたや

テン泊の同年配か少し上くらいの常連のご夫婦を交え、食堂で楽しい語らいができた。小屋番さんとこんなにお話しができたのも平日ならではである。ご夫婦は翌日はのんびり撤収して帰られるとのこと、これもまた素敵な山の過ごし方だ。差し入れのジャガイモを薪ストーブで焼き、これも差し入れのネギ味噌でいただくという贅沢な一品も加わり、アルコールがどんどん進んだ

2日目は三条の湯から三条ダルミを目指し、そこから雲取山頂へ向かった。相変わらず登りは遅く、CTオーバーでやっとこさ山頂。三条ダルミからの雪の急斜面の登りは今回の中で一番楽しめた。急登を終えると山梨山頂標のすぐ後ろに出るので、山頂が見えない登りだけに感激は大きい

鴨沢からピストンされる早朝出発の方も山頂に到達され始め、あれこれお話しさせていただいた。鴨沢13時53分発のバスを捕まえるべく、下山を急がなくてはならなかったのが残念である。やはりマイカーで来た方が自由度が効く

今回は久しぶりの奥多摩の山歩きを楽しむことができ、本当に気持ちよかった。念願の三条の湯は柔らかな硫黄泉で、帰宅しても匂いが体にほんのりとついていた。心残りはお釜で炊くおこげご飯が食べられなかったこと。宿泊1名じゃ、お釜で炊かないので仕方ないな。今回は公共交通機関利用という不自由さもあったが、雪の雲取山と三条の湯を楽しむことができ感謝感謝!

なお、本山行の詳細については、以下の記録を参照されたし

山行記録: 雲取山で温泉と雪山を楽しみました(三条の湯泊) ☜ ヤマレコの記録

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