妙高山&火打山(2019/08/03-04)

山の記録

2019.08.05 12:15

梅雨も明けて2か月半ぶりに山に出かけることにした。昨年GW直前に訪れた火打山。例年より雪が少ないといわれながらも、雪にすっぽりと埋もれていた。とても良い山で季節を変えて再訪したいと思っていた。残雪の白と池塘が織りなす景色を狙っていたのだが、来るのが遅すぎた。残念ながらというか当然ながらこの時期には雪はほとんどなく、池塘のみが広がる世界だった。でもそれはそれで期待を裏切らない素晴らしい世界だった。

冒頭の写真は「天狗の庭」と呼ばれる池塘が点在するエリア。池塘に映る逆さ火打山。

まずは笹ヶ峰の登山口から樹林帯を進む。人気の山だけあって、木道が整備されている。滑らないように横木がビスでしっかり留められていて、本当にありがたい。下界は全国的に35度以上の猛暑日。約1300mの笹ヶ峰を早朝5時に出発するもすぐに汗が噴き出る

十二曲がり、富士見平と登ってきた。多くの登山者がまっすぐ火打に向かうところを、私は分岐を黒沢池方面へ折れる。一転して登山者の数が減り静かな世界へ。写真は富士見平からゆっくり下るトラバース路。富士見平方面を振り返る

黒沢池へ向かう登山道にはいろんな花が咲いていた。これはシナノオトギリ。朝露で輝いている

コオニユリはみんな俯いているので下から撮ってみた。空の青に橙が映える

ハクサンフウロの淡い紫がなんともきれい

登山道にはハクサンフウロとウサギギクが群生していた

黒沢池の湿原に下りてきた。なんとも美しい。湿原を通り抜ける風に吹かれて木道を進む。前回この湿原に来たGWの頃は、一面雪に覆われた世界で、好きなところを歩けたが、雪のない季節は木道の上を厳守して歩く

木道の横にはチングルマやワタスゲが、池塘にはミズバショウがあるが、ちょっと遅い。1か月くらい早かったらきれいに咲いていただろうな

チングルマたち

ワタスゲの白が緑一面の湿原にひときわ目立つ

一面に咲くミズバショウの姿をいつか見にくるとしよう

黒沢池ヒュッテに到着。小屋前のベンチで休憩させてもらい、コンビニおにぎりでエネルギー補給。この小屋はちょっと厳しくて、小屋のチェックインは午後3時から、テン泊の受付も3時からで、それまで小屋の外で待つように張り紙がしてある。雨や風が強い日は柔軟に対応してくれるのだろうか。これでは3時過ぎに到着するよう計画を組んでしまう。

午後3時までにチェックインしないと小屋のオヤジさんに1-2時間は説教される南アルプスの農鳥小屋のような小屋もあるのに・・。今夜私が泊る高谷池(こうやいけ)ヒュッテは、午後3時までに到着しないと捜索依頼を警察に連絡するとしている。同じ山域の小屋なのに随分ポリシーが異なる。愛想の悪くない人の良さそうなご主人なのだが、午後3時からのチェックインにしている事情があるのだろう

黒沢池ヒュッテで休んだ後、妙高山の外輪山に登り上げる。樹林帯で風が通らず、しかも前日の夜の雨で斜面が滑って歩きづらい。やっとのことで大倉乗越まで上がってきた。正面には妙高山が見えるが、結構急な斜面を登らなければならない

でもその前に一旦下らないといけない。眼下には長助池の湿原が見える。ほぼあそこまで標高を下げる。外輪山の斜面をトラバースするように下っていく

斜面にはヒメシャジンが咲いていた。このトラバース路は谷側に2か所ほど崩落しかかっていて、幅の狭い登山道が谷側に斜めになっているので、通過の際には緊張する。この先、長助池への分岐のすぐ手前に沢があり、冷たくておいしい水が飲める

長助池分岐からは急登でしかも湿って滑りやすく難儀した。ヘロヘロになりながらやっとのことで妙高山北峰に到着。ちょっとガスってきた。山頂標を撮影すると後ろに何か・・・

スパイダーマンよ、何を思う。戦いに疲れたか?それとも何で俺はこんな格好で山に登って来たのかと悔いているのか?

北峰より10mほど高い南峰に向かうとアサギマダラがちらほら飛んでいた。私の周りを飛び回ってウラジロタデにランディング

南峰には妙高大神が祭られている。でも山頂標はない

山頂稜線にはヤマハハコが群生していた

テガタチドリもちらほらと

明日登る火打山(右)、影火打山(中央)、焼山(左の雲の中)。さぁ、黒沢池ヒュッテまで戻ろう(ザックをデポして身軽にして来ればよかった)

オオバミゾホウズキもあちこち咲いていた

黒沢池ヒュッテに戻る。ここは風が吹き抜け気持ちがいい。ここでたまらず缶ビール2本

今宵のお宿の高谷池ヒュッテに3時までに到着できるように出発。湿原を左下に見ながら茶臼山に向けて登る。湿原の奥には先ほど通過した大倉乗越のある外輪山、その左奥に妙高山。茶臼山をぐるりと回って高谷池ヒュッテには3時5分前に到着。その後は夕食までひたすらアルコール。いつものパターン

翌朝、小屋を4時ころに出発して火打山へ向かう。火打の山頂でご来光を迎える人が先行しているも、私のような中途半端な早立ちは殆どおらず、大好きな黎明の時間帯を一人静かに歩く

ライチョウ平で休憩しながらご来光を迎える

山頂へ向かう登山道の脇にウサギギクが咲いていた

妙高を格段に上回る整備された登山道。横にはウサギギクなどの群生

山頂到着。スパイダーマンもスーパーマンもバットマンもいない

ちょっと朝もやで霞んでいる。中央下が天狗の庭、その少し右奥が高谷池ヒュッテ周辺の池塘群。一番奥に妙高山

火打山の影が映るから影火打山というのかな?右奥は焼山。妙高山・火打山・焼山の三つは頚城(くびき)三山と呼ばれる。このあたりの山を総称して、頚城山塊という。さぁ、焼山に行きますか

どこが登山道かわかるかな?火打から先はほとんど人が入らないようで、足元が見えない藪漕ぎを強いられた。朝露で下半身はあっという間にずぶぬれ

影火打山から先に進むと、何と通行禁止。火山活動による焼山の入山規制は解除されているはずなのに・・・。小屋に戻って聞いたら、事前に申請して許可を得たら通行できるとのこと。道理で人が入らず、荒れ放題になっているわけだ。それにしても何でこの看板は影火打山を越えたところにあるのだろう。火打と焼山の間が通行禁止なら、火打山頂から影火打方面へ向かう登山道入り口に掲示してくれればよいのに

看板少し先のこのポイントで引き返すことに。焼山はいつかピッケルとアイゼンで雪の上を歩いて行くことにしよう。藪漕ぎもなければ、通行禁止の看板も雪の下に埋もれているし・・

霞んでいながらも奥に北アルプスの後立山連峰が見える。小屋の人によると昨日からやっと見えるようになってきたとのこと

戻る道すがらにエゾシオガマ。火打山頂まで登り返すと多くの登山者が。下半身ずぶぬれの私を不審者でも見るかのように見ていた

ミヤマキンポウゲもあちこちに咲いていた

火打山にサヨウナラ

ヨツバシオガマもあちこちに群生している

冒頭の写真。天狗の庭まで下りてきた

行きは暗くてわからなかったが、木道沿いにはイワイチョウが一杯咲いていた

タカネニガナの黄色版

こちらは白いバージョン

背後には火打山と影火打山

ハクサンコザクラも咲いていた

ハクサンコザクラの群生。近寄れないのが残念

高谷池ヒュッテは奥に同じ建物を増築中。今年は間に合わなさそう。池塘の右奥にはテン場。昨日は足の踏み場もないくらいびっしりとテントが張られていた。小屋の前のベンチとテーブルで就寝時間の8時を過ぎても大声で宴会をやっていたグループがいた

天狗の庭にはモミジカラマツもいたるところに群生している。さぁ、小屋にデポした荷物を回収して下山しよう

午前中なのに下りも暑い。木陰はありがたいのだが、風が吹かないので熱中症気味になってしまった

暑いのがとても苦手なので、ゴンドラかロープウェイで一気に標高を稼げる後立山連峰の稜線歩きにしようと計画を立てていたのに、中々予約が取れない高谷池ヒュッテに偶然にも二日前に予約が取れてしまい、季節を変えた火打の姿を見たくてついついこちらにやってきてしまった。自分ながら信じられない。でもまぁ、この季節しか味わうことのできない池塘や湿原を楽しむことができ、これはこれで大満足だ

頚城三山を歩こうと意気込んできたが、火打山から先はとんでもない藪漕ぎで、影火打山の先は通行禁止になっていた。火山活動による入山規制が解除されたので、てっきり行けると思っていたのが甘かった。仮に通行禁止でなくても、あの道は歩けない。植生が豊かというのか登山道を隠してしまうほど植物が生い茂り、とても歩き通せたものではない

藪漕ぎしなくていい残雪期にアイゼンとピッケルで出直すことにしよう。通行禁止の看板も雪の下に埋もれてしまうし・・・。なにせ雪が大きな木以外は覆ってしまうので、直線的に進むことができる。因みに、昨年GWの時の記録は以下のリンク:

火打山テント泊(2018/4-27-28) ☜ クリック

さて次の夏山は文明の利器を最大限活用することにしよう

なお、本山行の詳細については、以下の記録を参照されたし

山行記録: 妙高山、火打山。焼山はいつか雪山で ☜ ヤマレコの記録

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