薬師岳で如来の神秘に-①(2019/04/28-29)

山の記録

2019.05.01 09:55

このGW、天候が許せば室堂から新穂高までオートルートを5‐6泊で歩くつもりだった。そのために85Lのザックも新調した。ところが前半の天気が良くなく、晴れるのは日曜と月曜午前のみ。1.5日ではどうにもならず、せめてオートルートのごく一部の薬師に出かけることにした

冒頭の写真は、どこから眺めても、どっしりとした大きな山容の薬師岳(2,926M)。北アルプスの最深部ともいえる位置に鎮座する百名山の一つ。アクセスの遠い山で、北アにしては登山者は少ない

まずはこの時期の登山口である飛越トンネルへ向かう。GW限定で営業する太郎平小屋のブログでこの崖崩れを知っていたが、寒気の影響で道路の雪の状態も不安だったので、前日に高山のアパートから1時間半かけて下見にやってきた。山吹峠やこの崖崩れの手前で、数か所に積雪していたが、ノーマルタイヤで通過できた

翌4月28日の朝4時半前に前日下見した崖崩れの手前に車を駐車して出発。崖崩れは道路の端のガードレールすぐ下を抜けると通過できた。ただでさえ長いアプローチなのに、飛越トンネルまで約3キロ余分に歩かなくてはならない。1キロも歩くと道路は新雪でご覧の通り。先行者は数名かな(スキーとツボ足)

1時間かけてやっと飛越トンネルまで上がってきた。トンネル入り口は木の板で塞いである。本来の登山口はトンネルの左横にあるが、積雪期は看板の右手側からショートカットする。残雪期や無雪期は登山道が泥濘で靴がひどく汚れるらしいが、今回はその心配なし。逆に雪で靴がきれいになる(笑)

尾根に登り上げた。樹林帯の中を長い尾根伝いの登りが続く。それにしても木にも雪がかぶさり、尾根は残雪期とは思えないほど真っ白で、まるで冬山のような光景。気温もそこそこ低い。ラッキーとしか言いようがない

寺地山を越えて尾根を進むと左手の稜線の奥に薬師岳が見えてくる。遠いな・・。この尾根を進んで、写真右側の白い斜面を登って稜線の上に出なければならない。新雪で足首くらいまで沈むステップを重ね、ここまでに相当足に来ている

薬師と反対の右手方向には遠く御嶽山が見える。ズームでアップ

御嶽の左手前に2週間前に出かけた乗鞍岳。寒波で降雪し、昨日予定されていた乗鞍スカイラインのオープンが延期になっている

さらに左には笠ヶ岳。高山の会社から眺めるのとは正反対から見ていることになるが、その名の由来となった笠のイメージは変わらない

来た道を振り返る。写真右側に寺地山。帰りはあの白い部分を登り返さなくてはならない。寺地山の左手につながる尾根道を歩いてきた。尾根の奥には白山の山並み

白山連峰のアップ。晴れだが上空には微妙に薄雲がある。これが後に神秘的な現象を引き起こすことに

いよいよ約600Mの登り。スキーのトレースを辿るも足はずぶずぶと沈み、股関節まで痛くなってきた

ふと空を見上げると幻日環とハロ(日傘)ができていた。ハロ(日傘)は太陽の周りを囲むように、幻日環は太陽がダイヤモンドリングのように、二つ環ができている

さらに大きな「環水平アーク」(水平の虹)もできていた。それぞれが珍しい現象なのに三つが同時に現れるとはすごい。長野、富山、高山などの市街地からも見えたようでネットでもニュースになっていた

斜面がちょっと茶色っぽくなっているところはアイゼンが効いて沈まずに上がれたが、白い部分は柔らかく沈んで一歩一歩が体力を奪う。先を行く若者3人があっという間に抜いていった

稜線までの長くつらい登りのご褒美はこの景色。奥に槍ヶ岳から南岳の稜線。真ん中が裏銀座の稜線

稜線から右手方向に黒部五郎岳が見える。こちらも百名山の一つ

黒部五郎と反対側には冒頭の写真の薬師岳の姿

槍ヶ岳の右手前に双六岳、稜線をに左に進むと丸山、三俣蓮華山と続く。昨秋歩いた尾根だ

三俣山荘が立つ鞍部の奥には大天井岳の雄姿が美しい

鞍部の左には鷲羽岳(こちらも百名山)

さらに左には水晶岳(これも百名山)。鷲羽も水晶も昨秋歩いた尾根上の山々

稜線上でイグルーを作っている二人組。中の雪洞で寝るのだろう

こちらはイグルーから少し下がった絶景ポイントにテントを設営するため、雪を掘って周囲に積んでいる人。皆さんタフだな

根性のない私はGW限定営業をしている太郎平小屋に向けて稜線を下る。写真中央左手に小屋が見える

下る途中で雷鳥のつがいに遭遇。こちらはメス。ここまでの苦労が報われてくる

こちらはオス。夏毛に変わり始めている。こちらを向いた写真は老人性手振れ。やむなくそっぽを向いたこの写真を使用

一旦下った後に緩やかに登り返してきた。あとは小屋まで下るのみ。やれやれ

小屋に到着後はロング缶2本を購入。持参の焼酎とつまみと一緒に食堂でまったり。本当に疲れた。夕食の後は夕日を見に小屋の外へ

薬師岳がうっすらと染まる

太陽の上に光が伸びる

おぉ、太陽柱(サンピラー)ではないか。こちらも珍しい現象

薬師如来のご加護で、令和の時代が病気や災害から守られますように・・・(1日目終わり)


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なお、本山行の詳細については、以下の記録を参照されたし

山行記録: 飛越から薬師岳。苦行の後に如来の神秘に出会う ☜ ヤマレコの記録

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