天狗岳(2019/02/02)

山の記録

2019.02.04 21:37

息子の雪山デビューにお付き合いで八ヶ岳連峰の天狗岳にでかけた。11月初めに一緒に登った天狗岳をあえて選んだのは、雪のある時とない時の違いを実感させるため。夏道では何でもない急斜面のトラバースも、雪が降るとトラバース路が雪の下に埋もれ、雪の急斜面と化してしまう。こんな時はトラバースではなく、尾根伝いにピーク越えする方が安全だ。雪山と夏山にはそんな違いがある。また夏山では岩がゴロゴロしている登山道もすっかり雪に覆われ、とても歩きやすくなるのが雪山の魅力だ。幸いにも木曜日に降った雪で、山はふかふかの新雪。雪山体験にはもってこいだった。

冒頭の写真、右が西天狗岳で左が東天狗岳の手前にある「天狗の鼻」と呼ばれる岩山。樹林帯を抜けて稜線に出ると強風に晒された。写真は風でよろめき若干ピンボケ(本当は老人性手ブレ)。

まずは登山口の渋御殿湯を遅めの8時にスタート。好天の週末とあって多くの登山者が雪道を車で上がってきていた。駐車場を管理する御殿湯の名物女将さんはこの日もサンダルで走り回っていました。駐車手続の順番を間違えて女将さんに叱られ、面食らった初対面の登山者も多かったのではないかな?

八ヶ岳もやっと雪山らしくなった。多くの登山者でしっかりできあがったトレースを進む。11月の時と同じく息子が先を進み、ぐいぐいと引っ張る

八方台分岐までツボ足(登山靴のみで登ること)で登ってきたが、ここで12本爪のアイゼンを装着。初アイゼン装着中の息子。黒百合ヒュッテまではアイゼンをつけなくても登れるのだが、ヒュッテから先の登りに備え、アイゼン慣らしをしながら登る

柔らかい新雪なのでアイゼンの効きはイマイチだが、それでもツボ足よりは格段に雪面を捉えやすくなる

黒百合ヒュッテ到着。八ヶ岳には通年営業の山小屋がいくつかあり、登山者にとっては大変助かる。関東からも関西からも比較的アクセスはしやすく、八ヶ岳は冬季も多くの登山者が訪れる。ここでゴーグル、ヘルメット、ネックウォーマーをつけ、ストックからピッケルにチェンジ

いざ天狗目指して黒百合ヒュッテを出発。この後、強風に苦戦し、写真は冒頭の写真のみ

東天狗岳山頂に到着。八ヶ岳ブルーをバックに初めてながら余裕の息子。風がとても強くて冷たい。風に押されて山頂標が曲がっている。完全防備でも寒い

稜線の強風でよろめき、急登でハァハァ、ゼェゼェ言いながらやっとたどり着いたオヤジ。ゴーグルが曇るので、寒いけど鼻と口を出していたら顔が痛い

西天狗岳。こちらより6m高い。よく見ると登山者二人が下りてくるのが見える。行く気満々の息子に、このままヒュッテまで下りても午後1時になるので、西天狗は止めてヒュッテでお昼にしようと説得。すんなり受け入れたのでやれやれ

南アルプスの山並み。こちらも完璧な晴れ

こちらは北アルプスの山並み。南部の山にちょっと雲がかかっている。焼岳にしようかと思ったが、こちらにして正解だったかな?風はハンパないけど

縞枯山、北横岳、蓼科山など北八ヶ岳の山並み

浅間山山系。一番右が浅間山。この冬に行けるかな?

南八ヶ岳方面。阿弥陀岳(右)、中岳を挟んで主峰の赤岳(中央左)、その左に硫黄岳。硫黄岳の左側は爆裂火口跡で大きく削れている

主峰赤岳のアップ。こんな強風時にあの稜線に立ったら怖いだろうな

山頂滞在は6-7分でさっさとヒュッテまで下りる。本日もストーブを囲んだテーブルで、ビーフシチューセットを食す

下りだけはオヤジが先導して一気に下りる。温泉に早く入りたい一心(笑)

宿泊した渋・辰野館。素朴なお宿で2回目の宿泊。「信玄の隠し湯」があり秀逸。源泉温度は18℃で強い酸性の硫黄泉。温めた浴槽に浸かり、源泉の冷たい浴槽にどぶん。2日程度は普通のお風呂に入っても体中から硫黄の匂いがする

息子が撮影による夕食ー1

夕食ー2

同じく朝食。朝8時からなので朝風呂につかってのんびり。食事後に本日の雪山ハイキングを楽しむべく入笠山へ向かう。中央道を挟んで八ヶ岳の南側

さて、今回の息子の雪山デビュー。黒百合ヒュッテからはオヤジが雪山経験者として先導するつもりが、先に行く息子についていけず、途中途中で待ってもらう始末。稜線に出ると風が強く、耐風姿勢を教えるにはもってこいの状況だった。しっかりした足取りで進む息子に反して、オヤジは強風に何度もよろめく

風が強いのは予報で覚悟していたが、この風はこれまで経験した中でもかなり強い方の部類。やっとのことで東天狗岳の山頂に到達するも、オヤジは西天狗を往復する気力は全くなし。行く気満々の息子に対し、このまま下っても黒百合ヒュッテの昼食が1時になるともっともらしく説明し、断念させることに成功。さっさと風のない黒百合ヒュッテまで下りてやれやれ

初めてにしては息子は随分としっかりしたアイゼン歩行だったが、宿の温泉に入っているときに聞いたら、ゲイター(スパッツ)をアイゼンで引っ掛け穴をあけたり、自分の足も膝上のところをアイゼンで引っ掻いてしまったとか。大事なくてよかった。私も最初の頃はよくやらかしたし、今回は久しぶりにパンツの膝上をアイゼンの爪で2センチほど破いてしまった

息子にとっては初めてのアイゼン、ピッケルを使う雪山だったが、思いのほかしっかりした足取りで登りは終始私がリードされる格好になった。これだけしっかりと歩けるなら、中級程度の雪山は問題ないし、八ヶ岳の主峰赤岳でも行けるだろう。むしろ自分の危なっかしさを比較体験する機会になってしまった。やはり年寄りの冷や水は本当に考え直した方がよさそうだ

仕事で忙しい息子に代わって、私がアイゼンとヘルメットと雪山用小物を見繕って用意したが、翌日の3日が息子の28歳の誕生日で、思わぬ誕生日プレゼントとなった。もう長いこと誕生日プレゼントなど渡したこともなかったが、素晴らしい雪山デビューに出かけられて本当に良かった(親バカです)

なお、この山行のコース概況、タイムなどの詳細は、以下の記録を参照されたし

天狗岳。雪山デビューにお付き合い ☜ ヤマレコの記録

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