2018.04.22 23:23
いつかやってみたいと思っている岩稜ルートがある。途中にはかなり急峻でそれなりの高度を下らなければならない岩壁が待つ。これまでにやった岩稜ルートは、手と足を使って登り降りしてきたが、目指すルートはちょっと難しそう。というわけで、ロープを使って降りる懸垂下降の技術を習得すべく講習会に参加してきた
ロープを掴んで下りるわけではない。それでは手が滑ったらまっさかさまに落ちてしまう。ロープにブレーキを掛けながら下りるビレイデバイスとロープに別の短いロープを巻きつけて落下防止のバックアップをとるプルージックという手法を組み合わせて下りる技術だ。ビルの窓清掃の人たちがやっているのと基本的に同じ技術だが、彼らはプルージックのバックアップを取っていないのではないかと思う
まずはこの組み合わせを写真のような段差を利用して何度も練習する。他の人が装備のセットにてこずる様子を見ながら頭の中で反復練習するのだが、いざ自分の番になると頭が真っ白になり、間違ってデバイスを装着したり、無意識に両手を離してしまって注意されたり・・・
もちろんバックアップは取っているのだが、必ず2つの方法で滑り止めの確保をするのが基本なのだ。両手を離すときは、バックアップが二つ用意されていないと安全とは言えない
講習会が練習に使用したのは秩父の阿寺の岩場。山を保有する個人が趣味で整備した岩場だ。西武秩父線の東吾野駅まで電車で行き、そこで迎えの車にピックアップしてもらった
これが岩場。すでにご年配の3人パーティが練習していた。還暦を過ぎている私よりさらに年配の方々が、壁を攀じ登ってはスルスルと降りてくる。もちろん下でロープを確保する人がいてやっているのだが、壁を一つ一つクリアして乗り越えていく姿は素晴らしい
我々はそれを横目に見ながら、1枚目の写真にあるように、この岩壁のすぐ手前の段差で練習する。午前中はひたすら反復練習し、午後は段差の途中からロープを伝って登り返す技術の練習
本来はロープに宙づりになった状態で下降システムを組み替えて、スリングと呼ばれる輪になった紐を鐙(あぶみ)代わりにして足で踏ん張り、体を引っ張り上げては落下防止のデバイスを上にあげる技術だ。懸垂下降と同じ段差で練習するので、紐で作った鐙にかけた足が岩にしっかりと着き、宙づり状態にはならないのだが、システムの組み替えに頭がついていかず、もし宙づり状態だったらますますあせってさらに混乱しただろう
さて、講習の最後は練習してきた段差ではなく、阿寺の岩壁を懸垂下降する。このくらいの岩場になるとさすがに手足だけではクライムダウンできそうもない。手前の岩で下まで見えないのが恐怖心を増幅する。でもロープが下まで届いていることを見ているので安心だ
実際の山では懸垂下降で降りていってみるとロープが下まで届いていない場合もあり、安全な場所までロープを登り返さなければならなくなる(なので登り返しの練習もする)。安全な場所を次の支点にして、降りてきたロープを回収し、新たな支点を作ってロープをおろし懸垂下降を繰り返す
さて私の順番。初めての懸垂下降にワクワク。この時、ビレイデバイスを通しているロープがデバイスからずれていることに気づくも時遅し。インストラクターもそのまま下ってくださいとのこと。安全には問題ないのだが、ロープに余計な負荷をかけてしまうので、本来はよろしくない
かなり下まで下りてきた。やっぱり両腕の使い方がまずいな。だから流れるようにスムーズに降りてこられないわけだ
最後にアシスタントの女性とインストラクターがスルスルと下りてくる。この岩壁では1回しか練習できなかったが、スルスルと、さらにはポーンポーンと飛び跳ねるように降りられるようになりたい
講習会を終えて帰る途中。岩場と駐車場の間の登山道にはアヤメ科のシャガがたくさん咲いていた。ただ色が飛んでしまった。買い換えたばかりのiPhone8でカメラもグレードアップしてるはずなんだけどな・・・。腕が悪いということか
アップにしたらシャガの色がちゃんと出た
今日は楽しい一日だった。ロープを使うクライミングはやるつもりはなかったが、ちょっとハマりそう。まぁ、年寄りの冷や水といったところなのだが・・・・