2022冬鳥@浦安 ~総集編~(2022.03.26)

ウォーキング百景

2021年秋から2022年の春先まで見られる冬鳥。昨シーズン同様、ほぼ毎日のようにトーキョー・ディズニー・リゾートの外側を東京湾に沿って歩き、どれくらいの種類を見つけられるか、カメラを持ち歩いて撮影してきた


調査報告によれば、越冬のために北から浦安界隈にやってくる渡り鳥は20種類以上はいるらしいのだが、毎日のように見かける冬鳥から、滅多にお目にかかれない冬鳥までさまざまだ。野鳥なので警戒心が強く、カメラを構えて近づこうとすると逃げてしまう


今シーズンは、あらたに投入した2倍のテレコンバーター(エクステンダー)を300mmのズームレンズに装着した。使用可能な対象レンズではないので、オートフォーカスは使えない。老眼でマニュアルピント合わせに苦労しながら、何とか撮影してきた

冬鳥シーズンも終わりに近づいたので、以下に総集編として紹介したい

Ⅰ.今シーズンも見かけた冬鳥

1.マガモ:カモ目カモ科カモ属

年が明けた1月上旬まで姿を見ることができずやきもきさせられたが、その後は頻繁に見かけるようになった。数種類のカモがやってくるが、私の中では「ザ・カモ」のマガモ。オスは首から頭のビロードのような質感の緑が鮮やかだ。反射の仕方で群青色にも見え、古来「青首」とも呼ばれている

警戒心が一番強く、近づいて撮影しようとすると、あっという間に飛び去ってしまう

2.ヒドリガモ:カモ目カモ科マガモ属

マガモと異なり、オスは首から頭が赤茶色で額に白い帯がある。オスは胴がグレー系なのに対し、メスは茶色系の羽根をしており、マガモのメスと似ている

ヒドリガモもマガモも潜水できないので、お尻を天に突き出しながら頭を水中に突っ込んで海藻などのエサを食べている

3.スズガモ:カモ目カモ科ハジロ属

浦安にやってくる冬鳥の中では、数の上で断トツ1位のスズガモ。横っ腹の白いのがスズガモのオス。胸から上が黒色で、黄色い目がかわいい。メスは他のカモと同じように茶色系。飛行時にヒュッ、ヒュッという羽音をさせ、この羽音が鈴を振るように聞こえるので「鈴鴨」というらしいが、音は聞いたことがない

昨シーズンは数百羽の群れで浮いているのをよく見かけたが、今シーズンは群れが分散しているのか、大群で見かけることは少なかった。それでも群れは大きく、上の写真は群れの一部を切り取ったもの。群れ全体を写すと、一羽一羽が点になってしまう

4.ホシハジロ:カモ目カモ科ハジロ属

オスは体がグレー系の白色で、首から上は赤茶色。目は赤い。メスは他のカモと同じように全体が茶色系。背に星屑の模様があり、翼に白帯がでるので「星羽白」というらしいが、星の模様は見えないし、翼を広げたところも見たことがない。いつも静かに浮いている印象

こちらも警戒心が強く、近づくとすぐに岸から離れていくので、写真は後ろ姿ばかり(笑)。スズガモの群れに紛れ込んでいることが多いのだが、今シーズンはホシハジロだけの群れを何度か見かけた

5.オオバン:ツル目クイナ科オオバン属

オスもメスも全身真っ黒で、顔の真ん中と嘴が白い特徴も同じなので区別がつかない。目はオスもメスも赤い。川や海の岸に近いところに数羽の群れでいることが多い。今シーズン、秋に一番最初に見かけた冬鳥がオオバンだった

6.カンムリカイツブリ:カイツブリ目カイツブリ科カンムリカイツブリ属

名前の通り頭に冠羽があるのだが、イラストや写真で見かけるような目立つ冠羽ではなく、浦安界隈のカンムリカイツブリは地味系の冠羽だ。スズガモの群れと一緒にいることが多いが、今シーズンはカンムリカイツブリだけの大きな群れを何度か見かけた

早くも夏羽仕様のカンムリカイツブリを見つけた。冬羽仕様は一つ上の写真のようにグレー系なのだが、夏羽は赤茶色になる。そろそろ北へ向かって飛び立つ頃かな

7.ハジロカイツブリ:カイツブリ目カイツブリ科カンムリカイツブリ属

カンムリカイツブリに比べると、ハジロカイツブリはずっと小さくひ弱に見える。1-2羽か、多くても数羽程度の群れで見かけることが多い。この体で遠くから渡ってくるのが驚き。赤い目が可愛い。カイツブリは潜るのが得意で、2~30秒は潜っている

8.ユリカモメ:チドリ目カモメ科カモメ属

東京湾周辺でもよく見かけ、その親しみやすさから都民の鳥にも指定されていて、新橋と豊洲を結ぶ新交通システムの名称にも選ばれている


伊勢物語の「東下り」の段(第九段)で、東国つまり関東に下ってきた在原業平が、隅田川にやってきたときに鳥の群れに出会う。以下はその記述(角川ソフィア文庫、伊勢物語、石田譲二訳注をベースに引用)


『白き鳥の、はし(嘴)とあし(足)の赤き、鴫(シギ)の大きさなる、水辺の上に遊びつつ魚(いを)を食ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。渡守に問ひければ、「これなむ都鳥」と言ふを聞きて、

 名にし負はば いざ言問はむ都鳥

   わが思ふ人は ありやなしやと

とよめりければ、舟こぞりて泣きにけり』


「都鳥という名前なら、都のことを知っているだろう。私の慕う人は今どうしているか教えてほしい」と詠んだ歌。記述されている鳥の特徴などから、この都鳥はユリカモメではないかといわれている。今では京の鴨川でも見かけるユリカモメだが、鴨川に飛来するようになったのは数十年くらい前からとのこと

9.セグロカモメ:チドリ目カモメ科カモメ属

大きくて精悍な顔つき。死肉でも何でも食べることから海の掃除屋とも呼ばれる。同じカモメでも愛嬌のあるユリカモメとは随分違う

横のカモと比較すると、羽根を広げた姿は鷲のようにでかい。以前紹介したように、今シーズンは魚を捕まえるために海に急降下してダイブする姿を動画で捉えることができた
セグロカモメのダイブ。魚をキャッチ! ☜ クリック)

Ⅱ.今シーズン初めて見かけた冬鳥

10.ウミアイサ:カモ目カモ科ウミアイサ属

オスは黒白灰の三色が特徴的で、メスは白斑のある茶色系。ともに冠羽とよばれる飾り羽が後頭部にある。同じ仲間にカワアイサがいるが、カワアイサのオスには冠羽がなく、首の白が胴までつながっている点が異なる

いつも持ち歩くカメラを持たずに出かけたときに限って、珍しい鳥に出会う。あわててスマホで撮影したが、ズーム機能の違いでこれが精いっぱい。昨シーズンにオナガガモに一度だけ出会った時もカメラを持っていなかったときだった

オスを見かけたのは一度だけだが、メスはその後も何度か目にした。カワアイサのメスの首には白と茶色の部分の区分が線のように明確にあるが、ウミアイサには明確な境界はない

他のカモがプカプカ浮いているのに対し、ウミアイサは羽根をバタバタさせたり、頻繁に潜ったり、せわしなく動きつづける

11.キンクロハジロ:カモ目カモ科ハジロ属

一見すると、オスはスズガモによく似た黒と白のツートンカラーで目も同じ黄色の鳥だが、後頭部に飾り羽の冠羽がある。スズガモの群れに紛れ込んでいることも多く、同じ格好で群れの中にいるので、違和感がない。これまでもスズガモの群れに紛れていないか、冠羽のある鳥を目を凝らして探してきたが、やっと見つけることができた

メスは全体的に茶褐色。メスにも短い冠羽があるが、頭にピタッとくっついている時が多く、スズガモのメスと区別するのは簡単ではない。オスのポニーテール状の冠羽でさえ、この姿勢でぷかぷかしていると風に吹かれて乱れない限り分からない

Ⅲ.今シーズン見かけなかった冬鳥

12.オナガガモ:カモ目カモ科マガモ属

昨シーズンもシーズン終盤に一度だけ見かけただけだったが、今シーズンは見かけることがなかった。グレーを基調に白や黒がアクセントになったスマートな美しい姿を見られず残念。来シーズンにまた会えることを願っている

いよいよ3月も終わり。見かける冬鳥の数も心なしか減ってきたように見える。オホーツクやシベリアには戦火がおきていないので、巻き込まれることはないだろうが、長い道中なので無事に北の棲家にたどり着けることを願うばかりだ

タイトルとURLをコピーしました