なんだかなぁ・・令和6年能登半島地震の救助活動に思う

年寄りの繰り言

新年早々、立て続けに悲惨なことが連続した。特に元旦に発生した能登半島の地震については、日増しに安否不明者(連絡が取れない人)の数が増えていくのが気がかりだ。救助活動や支援物資の搬入がなぜこんなに進まないのかと苛立つのは私だけではないだろう。有事の際の我が国の機動力はこの程度なのだろうか?

行政の危機管理対応は?

職員が被災者になっていることも多く、インフラに大きなダメージを受けたこともあり、地方政府は混乱をきたして被害状況の実態すら把握できないでいる。一方、中央政府の対応は何事においてもスピード感が乏しい日本の現状そのもののように見える。

道路の崩落やがけ崩れなど危険な環境において、ライフラインの途絶えた中での大規模な救援活動は自衛隊以外には難しいだろう。だが、自衛隊の投入に関しては、地震発生翌日の2日に1000名、3日には2000名、4日には4600名、5日には5000名に、本日6日にはさらに400名が増やされて5400名体制にするとのことだが、タイミングや規模感は適切と言えるだろうか? 第2次大戦での日本軍の敗因を研究した本『失敗の本質』に指摘されているような戦力の逐次投入が繰り返されているように見える。

一部で実施されている海からのアプローチに加え、ヘリなどの空からのアプローチを大々的に活用して救援を急ぐべきではないか? なぜ遅々として進まないのかよく分からない。自衛隊に対するシビリアンコントロールという根幹の仕組みが、有事に速やかに機能しないことの原因になっているのではないのかとも思われる。 

自衛隊を中心にした災害時の救助活動体制を!

私の認識が間違っていなければ、天災の救援活動でさえ自衛隊は自発的には動けない。地方政府からの要請があり、国の指示があってはじめて動ける。戦時における自衛隊の活動の在り方についてはちょっと横に置くとして、天災等の非戦時の有事においては、救助活動などを自衛隊の任務に明確に位置付け、自衛隊が自律的に動ける仕組みにしてはどうか? 作戦本部に政府関係者が加わり、政府とのリエイゾン役を果たすとともに、一定の監視的役割を担えばよい。

前例踏襲型の平時の対応に慣れた政治家や官僚に有事の対応を求めても無理というものだ。コロナ禍で嫌というほど見てきたはずだ。有事のための組織である自衛隊に大幅な権限を持たせ、救援などの初動対応を任せた方がよほど機動的かつ効果的に動けるのではないだろうか? 

もちろん、自衛隊以外にも山岳救助隊など警察にも孤立地の救助や支援などに加勢できるリソースがあり、消防にも各種の救助隊がある。民間にもドローン活用や通信確保などの役割を担える企業が存在するし、赤十字やDMATなど医療関係の救助隊もある。このようなリソースを統合的に動かす上でも政府の縦割り的な対策本部よりは自衛隊を中心とする救援作戦本部の方が、有機的かつ速やかに機能すると期待される。

被災地への最新機材の投入を!

被災地では情報を得ることも発信することもできないでいる。食料や水と同じくらい情報にアクセスできないことは致命的だ。ウクライナがスターリンクを手配して短時間で通信を確保したように、被災地にポータブル発電機と受信設備を手配できないか? 特に孤立状態にある地域にとっては通信は生命線の一つだ。離れた家族との安否確認にとっても、ケガ人や病気の悪化などの状況の伝達、必要とする支援の連絡にも欠かせない。

もしこれが戦地であったなら、自衛隊は衛星画像や無人機、ドローンなどを使って状況把握に全力を挙げるはずだ。取り残された前線部隊があれば、一刻も早い救援に向けて動き出すと思っているが、自衛隊に対する私の甘い幻想だろうか? 莫大な国費を投入して整備した最新鋭の機能をなぜ活用しないのか? 天災等の発生時の人命救助に転用できる自衛隊保有の設備やリソースは少なくない。逐次投入ではなく、大規模かつ迅速な投入による救援を望みたい。

これまでの行政の準備対応は?

一方で、被災地を追い詰めるような意図は毛頭ないが、能登半島ではここ数年地震が頻発し、10年前には専門家からはまさに今回起きたようなマグニチュードの地震発生リスクに対し注意が呼びかけられていた。にもかかわらず、県や市町村はどのような準備をしてきたのだろうか?

東日本大震災の直後、私が長く勤務していた会社では、衛星回線の携帯電話を各事業所の総務に配備し、固定電話や通常の携帯電話が使用できなくなっても通信できる体制を整えたし、非常用の備蓄の補強や、一定程度の自家発電能力も整備した(その後、スターリンクのような機器を導入しているかどうかは分からないが・・)。能登半島では市役所など行政と孤立しそうな集落との間で衛星電話や無線などの通信手段を確保しておくことはできなかったかと悔やまれる。

阪神淡路大震災から30年ちょっと、その間に震度7以上では新潟県中越地震、東日本大震災、北海道胆振東部地震、熊本地震、能登半島地震など大きな地震が続発している。全国の各自治体はハード・ソフトの補強は十分にできているのだろうか? 地震だけでなく、コロナ禍で露呈した脆弱な危機管理体制の刷新や補強は進んでいるのだろうか? 残念ながらそうは思われず、対応具合には色々と濃淡があるように見受けられる。各自治体の危機管理に対する感受性と実行力が問われるところだ。

自戒を込めて

我が家も備蓄などの備えには万全を期しているつもりだ。富士山噴火にも備えてゴーグルや防塵マスクも用意し、息子たち夫婦にも送ってある。自分たちは海抜ゼロに近い浦安の埋立エリアに住んでおり、堤防決壊リスクや液状化などによるライフライン断絶リスクに晒されているわけで、決して現状の準備で十分とは言えないが、万一に対する備えは継続していきたいと思っている。

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