五輪を巡る「なんだかなぁ・・」

年寄りの繰り言

2020東京オリンピックも終盤に差し掛かってきた。ここまで比較的平穏に進行していることに一安心。そんな中、TVや新聞、ネットなどを介して伝わってくる情報を見ながら、いつものごとく「なんだかなぁ・・」とぼやいてしまう

(ディズニーシーの外側を東京湾沿いに歩くいつもの早朝ウォーキング。今日も朝焼けの空が美しかった)

「バブル方式」の綻びに関する報道を目にするが、違和感を感じてしまう。ほとんどの日本の報道やコメントが、バブルの穴により海外の五輪関係者から日本人にコロナが感染するリスクを懸念するスタンスになっている


正式な統計数字は見当たらないが、海外からの五輪関係者の多くはワクチン接種を2回受けて来日している。水際での隔離によるPCR検査を経たのちも、大会を通じて毎日検査を受けている。ワクチン接種のタイミングや、デルタ型の特性から接種後でもブレークスルー感染するケースもあり、大会関係者の陽性事例が報告されているが、発生頻度はきわめて少ない


むしろ国内の五輪関係者において陽性者が多く出ている。国内関係者にはワクチン接種が行き渡っておらず、直近の首都圏の感染拡大状況を考えれば当然の結果だろう。バブルの綻びで不安になるのは、日本国民よりも海外からやってきた選手や関係者だろう


島国ゆえか、この国は独善的な内向き思考になりやすい傾向が強い。バブルの綻びに対する国内外の受け止め方には滑稽なほどのギャップがあり、日本の報道の視点がずれているように思う


さらに感染拡大についても、オリンピック開催をスケープゴートにするような論調も見られるが、果たしてそうだろうか?分科会の尾身会長が懸念するように、オリンピック開催により人心が緩み、行動自粛に悪影響を及ぼして感染拡大を助長しているという意見があるが、人々の人心は国や地方の政府から離れ、自粛要請に従う気などとっくに失せており、オリンピックの有無にさほど関係なく、感染は拡大しているように思えるのだが・・・

(東京湾上空の雲も鮮やかに染まり、刻々と色合いが変化していく)

最近選手村の中の屋外で、選手たちが集まってパーティをやっていることが問題視されてニュースにもなっている。デリバリーを活用してアルコール等を調達し、マスクなしで大声で話し、夜遅くまで飲食して盛り上がっているとのこと。でも、私にはこれの何が問題なのか分からない


確かに関係者に配布されたプレーブックには、このような行為は禁止されているようなのだが、そもそもこの規定がナンセンスだ。選手村から市中へ繰り出して、どこかの公園でやっているのならともかく、選手村というバブル内で行うことまでを禁止する必要があるのだろうか。各国のアスリートの交流の一つとして許容されてよいと思う。オリンピック開催の趣旨とも合致するのだから・・


コロナ禍という状況であること、特に首都圏に緊急事態宣言が発令されている状況、市民に外出自粛が要請され、飲食店でのアルコール提供が禁止されている状況などから、自粛我慢を強いられている国民を意識して五輪関係者にもパーティーのような人の集まる行為を禁止しているのだろうが、視点が違うのではないか?


彼らはワクチン接種を終えて、毎日PCR検査も実施し、陰性が確認されているのだ。オリンピックの趣旨からも選手たちは大いに国際交流で盛り上がればいい。そのような選手たちの自由な行動を容認し、その姿を日本の国民に広く伝えることは、ワクチン接種や検査による陰性の担保により日常生活を取り戻せるという将来像を国民に知らしめる絶好の機会だと思う


これまで有効な手を打てないで国民や飲食店に負担を強いるばかりの政府は、菅総理自らワクチン接種を決定打として突き進んでいるが、早晩若い世代のワクチン接種をいかに浸透させるかという課題に直面することになる。選手村の自由な行動は、これから本格化する若い世代のワクチン接種において大きなインセンティブになっただろう


ワクチン接種で日常生活を取り戻し経済を回そうとする菅政権にとっては、アスリートたちの交流を許容し、その姿を将来の希望として見せることは、これから若い世代にワクチン接種を推進する上で絶好の宣伝効果を期待できたはずだ


しかしながら、ワクチンを接種し検査で陰性を確認しても行動制限が必要というなら、若い世代はますますワクチン接種を積極的に受けようという思いにならないのではないか?何よりも選手村での行動制限は、菅政権が一本足打法で進めるワクチン接種政策の効果を自己否定しているようなものではないかと思う


行動範囲が広く感染リスクの高い若い世代の感染抑制が、コロナ対策の成否を決定すると思われ、この観点から選手村での行動制限は視点がずれているとしか思えない(私個人はワクチンだけで以前の日常生活を取り戻すことは相当難しいと思っている)

(幕張のビル群の横から朝日が昇る。今日も良い天気だ。でも暑くなりそう)

さてオリンピック期間中にはメディア関係者により大会の様子だけでなく、東京の様子や日本の文化、習慣など様々な情報発信が行われている。選手もSNSなどを通じていろんな情報を発信している


そんな中で食事に関する不満や良い意味での驚きも見られる。食は文化そのもので、お国柄や土地柄が最も現れるものの一つだ。異文化の食を味わうのは旅行の醍醐味なのだが、競技や業務で過度の緊張や疲労を強いられる選手や大会関係者にとっては、やはり自国の料理を食べて活力を回復したくなるものだ


はるか昔、サマースクールで米国の大学の寮で1か月ほど生活したことがある。カフェテリアで三食食べていたのだが、1週間もすると耐えられなくなった。バイキングの量も選択もそれなりにあるのだが、どうにも食が進まなくなった


小さな田舎町だったので日本食レストランなどあろうはずもなく、他の日本人が見つけてきた中華料理店にみんなで足繁く通った。今回、自国の食材と料理人を手配して選手に提供している国があるが、いつもながらのパフォーマンスを発揮するためには当然のことだと理解できる。その一方で選手村で提供される食事については、それなりに配慮されていて選手にも概ね好評のようで何よりだ


そんな中、ホテルを利用している大会関係者やメディアセンターの報道関係者から、食事の質や量や金額に対して不満が出ている。私事ながら現役時代は海外出張で欧米やアジアのホテルに宿泊する機会も少なくなかった。朝食バイキングを例にとると、欧米のみならず発展途上国時代の中国をはじめ、東南アジア、インドのホテルでも、日本のホテルとは比べ物にならないほどの豪華さだった


国内出張で宿泊する日本のホテルのバイキングがとても質素というか貧弱に見え、これが経済大国になった日本のレベルだよなと妙に納得したものだ(個人的には今も昔も東横イン、ルートインなどのビジネスホテルの朝食バイキングで十分満足している・・笑)。海外のホテルの朝食バイキングに慣れている人たちにとっては、日本のそこそこのホテルの朝食バイキングでは選択肢も量も物足りないだろう


メディアセンターの弁当も不評のようだ。高い上にクオリティもよくない。大会関係者か政治家のファミリー企業か関係会社へ発注しているのではないかと疑ってしまう。ペットボトル260円は確かに異常でぼったくりだ。ヘリや人手で荷揚げしている3000mの山小屋でも300円で手に入る


コロナ禍で苦戦を強いられている街中の飲食業が、テイクアウトなどでコスパの良い弁当を提供して奮闘しているのとは大違いだ。このような市中の飲食店にオリンピックへの弁当提供の機会を与えていたら、期待に応える「おもてなし」と呼ぶにふさわしい弁当を提供してくれて、大会関係者、飲食店の双方に良かっただろうと残念でならない


一方で、多少時間に余裕があるときは会場内のコンビニで食事を調達しているようだが、こちらは料金も選択肢もクオリティも好評のようだ。意外だったのは、パン文化の人たちにもコンビニのサンドイッチが好意的に受け入れられていたことだ


日本のサンドイッチは判で押したように食パンの耳の部分を切り落としたふわふわの部分を使い、三角形に切ったものがほとんどだ。でも海外のサンドイッチはバラエティに富んでいる。使うパンも色んな種類があり、中に挟む具材も様々だ


現役時代に海外子会社の関係者を呼んで日本で会議をするときなどは、昼食にサンドイッチを用意することが多かったのだが、概ね日本の典型的なサンドイッチは不評だった。サブウェイなどのサンドイッチを調達して提供するのが無難だった


同じように不評なのが日本のサラダだ。まず量がダントツに貧弱でドレッシングも選択肢がない。そこそこのホテルでシーザーサラダを注文しても、海外のシーザーサラダとは量も味も似ても似つかぬものしか出てこないことが多く、この時点で海外関係者は落胆していた


「おもてなし」は日本文化の良さであると思うが、日本的なものに固執したり、プレゼンテーションに拘り過ぎるのもどうかと思う。まずはベーシックなところで相手の国の料理に遜色劣らぬ質や量を確保した上で、ひと工夫するのが「おもてなし」ではないかと思う


昨今、随分と改善されてきてはいるが、海外の客を迎えるホテル関係者、レストラン関係者には、国内同業の横並びの比較だけでなく、海外との比較においてもレベルが高い食事やサービスの提供をお願いしたいところだ

(暦の上ではもうすぐ立秋。ウォーキング途中で見つけた小さな秋。久しぶりに見たショウリョウバッタだ)

緊急事態宣言で山にも行けず自宅で巣籠もりが続く。暇に任せてオリンピック三昧だ。新種目のスケボーはストリートもパークも競技が面白くテンポも良くて引き込まれた。国を背負っているというような妙な悲壮感がなく、明るく競技者みんながあえて難しいトリックに挑戦し、みんなで盛り上がって楽しんでいるという姿が何とも新鮮だった


ストリートの瀬尻さんの解説が異次元の相乗効果を生み出していて面白かった。また柔道の穴井さんの解説も負けずと面白く、両競技の選手の活躍と相まって久しぶりに五輪を楽しんだように思う。引き続き終盤もフォローしたい

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