COVID-19に思うことー7

年寄りの繰り言

今年のGWは5月1日から6日という就業カレンダーの企業が多いかと思うが、働き方改革の一環なのか4月25日から5月6日あるいは4月29日から5月10日までの12連休などというカレンダーの会社もあるようだ。それが「ステイホーム週間」なるものに一転し、世の中すっかり自粛モードになってしまい、色々計画していたご家族やGWの繁忙を当て込んだ観光地や旅行業の方々にとっては、思いもよらぬGWになってしまった。いっそのこと、オリンピックのようにコロナが収まった頃にGWを延期して(振り替えて)ほしいと思われた方も多いのではと同情する

コロナ騒ぎからテレワークや休校などで親も子も自宅にいる時間が長いせいか、私が日課とするウォーキングのコースは、観光地とは裏腹に人の出が多くなった。冬は夕方に2時間強かけて東京湾沿いを12‐13キロ歩くのだが、土日にはこれまでとは比較にならないほど散歩やジョギングする人が増えたので、少し前から人出の少ない早朝に切り替えた。例年、GW前あたりから早朝に切り替えるので、今年は1‐2週間早く切り替えた感じだ

(旧江戸川沿いの堤防から眺めるご来光。朝5時位なので堤防の遊歩道には殆ど人がいない)

日本の狭い住宅事情では、テレワークもなかなか難しいだろうし、子供たちも四六時中巣ごもりしているわけにもいくまい。商店や飲食店などを営まれる自営業の方々は、苦しい経営事情に頭を悩ませ、散歩する気分ではないだろうが、場所や時間帯を選んで、ぜひ外気に触れてほしい。無心で歩けば気分転換だけでなく、違った発想や考えも浮かぶかもしれない。私自身はサラリーマン時代に週末のウォーキングをそのように活用してきた

GW後半には非常事態宣言による外出自粛や営業自粛の効果が目に見えるように表れ、段階的に自粛を解除できる方向に向かうことを祈るばかりだ。合わせて、遅蒔きながらも色んな支援策が具体化され、発動されることを期待したい。特に、協力的に営業自粛する自営業や中小企業に対するセーフティネットがしっかりと張られ、事業の存続や雇用の継続が図られるように、不急の予算をコロナ対策に重点的に回し、さらに思い切った財源を投入するなどの決定を願う

(葛西臨海公園の観覧車に朝日が反射して、巨大なダイヤモンドリングのように見える)

自営業や中小企業、大企業に対する支援策については、一部でも提言されているように、現金給付というよりは、株式会社であれば国に対する第三者割当増資などの方法で、国が株式を保有して資金を提供するようにしてはどうかと思う。業績が回復すれば、配当金や自社株買いにより国庫への返済になるし、東証やマザーズ、ジャスダックなどで国が保有する分を然るべきタイミングで売れば、相当な額を回収できる。当座に必要な現金を供給し、余裕のできたときに返済してもらうようなものではないかと思う

株式会社でないのであれば、株による資金調達という形態は取れないので、社債に似た方法で国が社債のようなものを購入して現金を供給し、返済条件を無利子にし、返済時期についても超長期にするなど大胆に緩和する、さらに最悪の場合は返済免除するようにすれば、支援の元となる税金を負担している国民の理解を得られやすいのではないかと思う。産官で知恵を絞って工夫してもらいたいものだ

(ディズニーのモノレールは閉園中でも動いている。レールが錆びるのを防ぐためだろう)

さて、内閣府はつい先日、千島海溝や日本海溝など北海道から東北地方北部の太平洋側を震源とする巨大地震の新たな想定を公表した。本来なら大きく取り上げられるところが、連日コロナ関連のニュースが大きく報道されているので、紙面を割いたスペースはさほど大きくはなかった。M9以上の地震が発生した場合のシミュレーション結果では、先の東日本大震災に勝るとも劣らぬ規模の津波が発生するとの予想である

同じ頃に富士山が噴火した場合の降灰予測も発表されていたが、降灰により従来の想定より速く大きく首都圏の都市機能がマヒするとの予想だったかと思う。前回の宝永噴火から約310年が経過しており、過去の噴火インターバルからは、いつ噴火が起きてもおかしくないと言われている。富士山の噴火については、これまで繰り返し警告が発せられているが、自治体も国民も切迫感をもって備えに万全を尽くしているようには思われない

地震とそれによる津波についても、今回の北方方面の警告以前に、東日本大震災以降、東海・東南海・南海トラフの地震による被害について、多くのシミュレーション結果が報告されてきた。各自治体においては、避難マニュアルや対策の作成を急いできたはずなのに、多くの自治体で完成していないとの記事を最近見かけた。あの震災から10年目になるというのに、喉元過ぎれば熱さ忘れるということか、残念な状況に落胆せざるを得ない。

万一、取りえたはずの対策の不備のために多くの方が命を落とされるようなことがあれば、もはや天災ではなく人災というべきだろう。SARSやMERSを教訓とし、今回のCOVID-19を初動からうまく制した台湾や韓国のような対応は期待できそうもない。通常の生活を送っている時に発生する地震の対策ですらこのありさまでは、コロナ蔓延のような非常事態時に地震のような天災が起きれば、ますます混乱し被害を大きくするばかりで心配は尽きない

(釣り人もsocial distance? いいえ、糸が絡まないようにするのと、投擲の際に隣人を引っ掛けないようにするために、自ずと一定間隔になる)

コロナに地震、そんな非常事態が重なって発生するようなことはないだろうと思ってはいけない。『ゆく川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず』で始まる鴨長明の方丈記には、わずか数年の間に京の都を襲った災害が記されている

   1177年:安元の大火。御所を含め京都の3分の1が焼けた

   1180年:治承の竜巻。北から南へ都を縦断。多くの家、神社仏閣が倒壊

   1181年:養和の飢饉。台風や日照りで不作が続く。

   1182年:疫病の大発生。都の中心だけで4万人以上が死亡

   1185年:元暦の地震。京都の北東部を震源として阪神淡路大震災級の地震が発生

地震被害の記述には、山崩れ(山はくずれて、河をうづみ)や液状化(土裂けて、水湧きいで)、津波(海はかたぶきて、陸地をひたせり)などの記述がある。文庫本でも薄っぺらな本なので、ぜひ手に取っていただけたらと思う(青空文庫でも読める)。時代は源氏と平氏が覇権を争う内乱の只中で、1181年には平清盛が死亡し、1185年には平家一門が壇ノ浦で源氏に滅びている。ただでさえ戦で混乱している都に、これらの災害が重なったという史実があるのだ

感染症は単年で消え去ることはなく、数年以内に第二波、第三波が襲ってくる可能性は否定できない。その過程でウィルスが変異し、さらに悪質化している可能性だってある。そんな最中に天災が襲ったら・・・。三密状態になる近くの公民館や学校の体育館に避難するのは憚られる。マイカーで寝泊りするとか公園にテントを張って寝るとか・・・

どこにも出かけられない今年のGW。ぜひこの機会に、我が家の備えや対策を見直してみてはいかがだろうか。平時に発生する災害のマニュアルさえ作れない行政には、非常事態に発生する災害の対応など期待できそうもない

小故事に『天助自助者』とある。「天は自ら助くる者を助く」とか。くれぐれも努力を怠らないように・・

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