甲子園で熱戦が繰り広げられている。
今年は100回記念大会で最多数の高校が出場している。
過去には数々の記憶に残るドラマもあった。
良くも悪くもその後の選手の人生に大きな影響を与えるプレーもあった。
伝統の重圧、地元の期待、大舞台での緊張など、プレッシャーは計り知れない。
どの学校も、どの選手も力を存分に出して悔いのない試合をしてほしい。
高校野球については、そのあり方についていろいろな意見があるものの、個人的には概ね好意的な立場だ。
野球にしろ、サッカーにしろ、柔道にしろ、一生懸命練習に励み鍛錬を積んできた成果を発揮する場があって良いと思う。
大会を運営する協会には、選手たちがのびのびとプレーできる環境づくりをお願いしたい。
そんな中で、どうしても気になる点がある。
入場行進である。
学校ごとに一糸乱れず整然と行進する姿は、礼儀正しさを重んじる高校野球の精神を体現していて美しくもある。
ただ手の振り方、足の上げ方がいささか不自然ではないかと思えてならない。
腕を前に水平の高さまであげ、同じようにしっかりと腿も引き上げるあの独特の歩き方だ。
見ていてどうにもギクシャクした感じがぬぐえない。
大会運営側からの指導があるのだろうが、選手たちにはもう少し自然に手足を動かしてよいようにしてはどうかと思う。
54年前、テレビでみた東京オリンピックの入場行進を鮮明に覚えている。
赤いブレザーに白いパンツ/スカートが鮮やかで、選手全員がぴったりと動きをそろえた行進は、きれいで胸躍るものだった。
日本選手団だけではない、多くの国の選手たちが同じように行進していた。
だが、メキシコ、ミュンヘン、モントリオールと、回を重ねるごとにそのような行進は減っていった。
日本は比較的遅くまでこの行進を続け、不参加のモスクワ大会を飛ばして、ロサンゼルス大会まで続いたと記憶する。
さすがに違和感を覚えるようになった。時代の空気は変わっていたのだ。
自由の国アメリカのしかもLAという開放的な都市での開催に、あの整然とした行進は逆に時代遅れで滑稽にさえ見えた。
ほとんどの国の選手団が、のびのびと自由気ままに参加を謳歌する入場行進をしていた。
そんな中で、日本選手団の相変わらずの隊列行進には、違和感どころか軍隊を連想して嫌悪感をもった自国民や他国民も少なくなかったのではないだろうか。
当時の日本オリンピック協会の方針だったのだろうが、日本人の几帳面さ、古き良きスタイルを大事にする国民性を差し引いても、もはや時代の空気に合っていなかった。
翻って高校野球、記念する100回大会を機に伝統的な行進を多少変えてもよかったのではないかと思う。
オリンピックのように自由な入場行進を意味しているのではない。
整然と足並みをそろえた入場行進で構わない。
ただ、あの極端な腕の振りと足上げには違和感を覚えてしまう。
いかがだろうか?
甲子園では1回戦から番狂わせも起きている。
選手諸君、力一杯そして思いっきり楽しんでプレーしてほしい。
たとえ負けても、笑顔で胸を張って甲子園を後にしてほしい。