「天災は忘れた頃にやってくる」

日常の出来事

あまりにも有名な警句だ。漱石一門で、明治の物理学者かつ随筆家の寺田寅彦が発した言葉として知られる

寺田寅彦は旧制第五高等学校(現熊本大学)で漱石に英語を学んだ一人だ。東大で物理学を学び、その後に東大で教鞭をとった。一方、漱石はその後に旧制第一高等学校の教授としてまた東大の講師として教鞭をとったが、寅彦と漱石との親交は東京でも続いた。『吾輩は猫である』にも寅彦がモデルとなった人物が頻繁に登場する(寒月君)

前置きはさておき、この寺田寅彦の警句を思い出させるような地震が昨夜発生した。東京と千葉の境に住んでいるが、最初の揺れはさほど驚きもしなかった。そのすぐ後に続いた2回目の地震の揺れは長く大きな横揺れで、東日本大震災の長い横揺れを思い出させるものだった。揺れが収まるとすぐにパジャマから衣服を着替え、万一の事態に備えた

今回の地震で最も大きな揺れである震度6強に見舞われた地域の一つに宮城県の蔵王がある。高速道路はひび割れ、新幹線は脱線した。実は、ちょうど一週間前にこの地を訪れていた。まさにひび割れた白石インターで高速をおり、蔵王大権現の大鳥居近くの遠刈田温泉にあるホテルに宿泊した

翌日には、シーズン最後のスノーモンスターを見に、蔵王山に出かけたのだった。宮城県の蔵王にある「すみかわスノーパーク」から入山し、リフト3本分を登り、ゲレンデトップから蔵王連峰の刈田岳へと進んだ

写真は刈田岳山頂にある刈田嶺神社の奥宮。強力な磁石に砂鉄がこんもりくっついたように社殿や鳥居などに雪がついている

鳥居の下に立って撮影。大きさが分かると思う。向かって右側、鳥居の片方の柱の雪は3月頭に崩れ落ちたが、スノーモンスターをはじめ、このような造形を作り出す自然の驚異的な力に驚かされる


今回の地震で3人の方が亡くなられたと報じられている。ご冥福をお祈りする。心配された津波などの被害はなく、胸を撫で下ろされた方も多いのではないかと思う

2年以上にわたって何度も押し寄せるコロナ禍の波に、保健所の目詰まり、病床の逼迫、ワクチンの遅れなど、何で同じ轍を踏んでいるのか、なぜ抜本的な対策が進まないのか、と憤りや苛立ちを覚える方は私だけではないだろう

では、地震はどうか?

過去の災害の歴史を繙けば、大きな地震の後には数年後から数十年後に同じような大きな災害が起きていることが多い。時には火山の噴火も誘発している。東日本大震災から11年。危機意識は薄れてきている。東北だけでなく、関東直下型、北海道、東海/東南海/南海トラフなど、地震が心配される地域は多い

その一方で、地震への備えが万全になされたとは到底言えない。こちらも同じ轍を踏むようなことがないことを祈るばかりだ。でも、いざという時に自治体や国の行政の不手際を嘆いても仕方ない。自分たちでできることは、しっかりと準備することだ。所帯を持って独立した息子たちには、あらためて食料や水などの物資の買い置きや、防災バッグの準備点検を伝えた

ウクライナで起きている「人災」はさておき、この国に天災はつきものだ。寺田寅彦の警句を大事にしたい昨夜の揺れで、スノーモンスターたちも大きなダメージを受けただろうな・・

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