再び中アの稜線へ(2019/09/06-07)

山の記録

2019.09.08 20:03

今年のお盆直前に帰省ついでに息子と出かけた中ア。暑いので駒ケ根ロープウェイで一気に2600mに上がり、極楽平から檜尾岳、熊沢岳、東川岳とつないで空木岳(うつぎだけ)までの稜線を歩いた。とても素晴らしい稜線だったので、空木岳から先に続く赤梛岳(あかなだけ)、南駒ケ岳、仙涯嶺(せんがいれい)、越百山(こすもやま)と続く稜線を歩くべく再び中アに出かけた。

冒頭の写真は空木岳から赤梛岳まで歩いてきた稜線。期待した通りに素晴らしい稜線歩きだ。写真中央の空木岳の左側には息子と歩いた稜線が連なる。空木岳の左肩の最奥には宝剣岳や木曽駒ケ岳が見える。

まずは車を駐車した場所からスタート。すれ違いが困難な林道を車で上がって、伊那川ダムを目指す。本来はこの先の登山口駐車場までアクセスできるのだが、ご覧のとおりゲートは施錠されており先に進めない。この手前の路肩に皆さん駐車している。遅く来た人ほど駐車できるスペースのある路肩まで道を戻ることになる

このような崩落個所が3か所ほどあり、一般車は入れない。工事関係者や山小屋関係者の車だけが入ってこられる

見上げれば青空!金曜と土曜は完璧な晴れ予報。休暇を取って来た甲斐があり期待できる

2合目の登山道分岐から空木岳方面への林道を進んできた。緩やかに登る林道を歩くこと約2時間、4合目のうさぎ平に到着。車を駐車した場所からは2時間半の道のり。標高にして500m強をあがってきた。ウォーミングアップにしてはちょっと長いが、朝の気持ちの良い空気の中、木陰を歩くことができた。久しぶりに避難小屋泊装備の重いザックが肩に食い込む(テント泊装備からテントだけを外した荷物)

うさぎ平から登山道が始まる。樹林帯の中を進む蒸し暑い登山道の急登だ。約2500mのところに立つ木曽殿山荘の直下まで樹林帯が続く

北沢の吊橋。ジュラルミンの板が微妙に滑る。手すりのロープは途中で片側だけになり、沢に落ちないように慎重に歩く。あまり揺れないので助かる。このあたりは、登って、斜面をトラバースして、下って、の連続で、1600mぐらいの水平移動が続き、なかなか標高を稼げない

「仙人の泉」の水場。ここと木曽殿山荘直下に「木曽義仲の力水」の水場があり、最小限の水の携行で行けるので本当に助かる。ここの水は手がちぎれるほど冷たく、とてもおいしい水だった。汗を拭いてぐっしょりになったタオルを洗うも、冷たくて手が痛く絞れない。我慢して絞った後は、手のひらが痒くなる

樹林帯で全く展望が効かない登山道で、唯一展望の開ける「見晴場」に到達するもガスが出始めた

ガスの合間に見晴場から空木岳の岩峰が見えた

我慢の登りの末に義仲の力水に到達。木曽殿山荘まで約10分。沢の水だが、そこそこ冷たくておいしい。ここで今夜と明朝の食事用、明日の稜線歩き用に3Lを調達。ザックが一気に重くなる。ところで木曽義仲は本当にこんな山道を馬で超えて行ったのか・・・

水場付近にはトリカブトの花が咲いていた

義仲の時代にもトリカブトは群生していたのだろうか?

ウメバチソウもちらほら咲いていた

サラシマショウマも水場周辺にちらほら

やっと尾根まで登り上げた。3週間前には小屋の右手を東川岳から下りてきた。ここで泊まる手もあったかな・・。今宵の宿の駒峰ヒュッテは空木岳の直下。駒峰ヒュッテは山岳会が運営しており、木曽殿山荘とは異なり食事の提供はない。シーズン初めにヘリで荷揚げするが、後は補充なし。在庫がなくなったら販売終了。万一に備えて、この山荘で缶ビールを1本調達

空木岳へ最後の登り。標高差約350m。水とビールでザックが重い!

秋の花のトウヤクリンドウがあちらこちらに咲いている。三週間前は数株見ただけだった

先回もきつかったが、今回もキツイ。一気に失速

第一ピークを登り終え、第二ピークを望む

岩場が続く。鎖や足置きが整備されている。岩場になれない人は緊張するところ

あと少しが長い

最後の鎖場を進む

ここを過ぎれば山頂はすぐそこ

駒ヶ根方面の伊那谷側が眼下に見えてきた。ガスが流れてきた。山頂に急ごう

期待通り!山頂に着くと4度目のブロッケン現象(光輪)に遭遇。背後には傾き始めた太陽があり、自分の影がガスのスクリーンに映る現象。如来や観音様の光背(光の環)はこの現象を模したものとも言われている。辛かった登りが報われる。失速してコースタイムより30分余分にかかったことが幸いした

駒峰ヒュッテの極上のテラス。ビールの在庫は十分あるとのことで、2本買い足して3本を立て続けに飲む。ほとんどの宿泊者が屋内で自炊し始めたので、テラスはがら空き。風が心地よいので、ここで自炊して夕日が沈むのを眺めながら食事をする。ビールの後は250mlの小さいペットボトルに詰めてきた焼酎をちびちびとやりながら余韻に浸る

息子と歩いた尾根を眺めるもガスがかかっている

完璧な晴れなのだが、南アルプスの稜線にも雲がかかっている

塩見岳の左奥に富士山が現われた

山頂へ夕日を眺めに登った人が多かったが、気力も体力もなし。空木岳の右側斜面に夕日が沈むのをほろ酔い気分で眺めていた

夜中にトイレに起きたついでに星空撮影。全然寒くない。伊那谷側に南アルプスのシルエット。その稜線の上にオリオン座

相変わらず星空撮影は下手だ。満天の星空をうまく捉えられない

一眠りすると黎明の時間帯だった。南アルプスの稜線にヴィーナスベルト

左端の甲斐駒ケ岳のあたりが一際明るい。どうやらあの辺りからご来光のようだ。左から鋸岳、甲斐駒ケ岳、仙丈が岳、北岳(写真中央やや左)、間ノ岳、農鳥岳、右端に富士山と塩見岳。きれいだな・・

南アルプスの左側に八ヶ岳連峰。雲海が広がる

甲斐駒ケ岳のすぐ左からご来光

素晴らしい雲海。中央に蓼科山。その右方向に八ヶ岳連峰。写真左奥には浅間山

御嶽方面も雲海だ

さて空木岳に登り返そう

空木岳山頂よりこれから進む稜線

まずは一旦下って赤梛岳への登り返し。アップダウンが続く

冒頭の写真。赤梛岳山頂より空木岳からの稜線を振り返る。心地よい稜線の風に吹かれて素晴らしい山歩きだ

雲海の右側には手前から南アルプス、八ヶ岳、浅間山、四阿山(あずまやさん)

木曽谷側には右から乗鞍、御嶽が浮かぶ。御嶽の左奥に白山から別山の山並みが見える

赤梛岳から眺める南駒ケ岳、仙涯嶺の稜線。素晴らしい、だけど登り返しが大変そう

イワギキョウが朝日を浴びて気持ちよさそそう

南駒ケ岳山頂に到着。右背後は空木岳

南駒ケ岳から眺める仙涯嶺(せんがいれい)と右に越百山(こすもやま)への稜線

仙涯嶺への下りと登り返し。あの岩尾根伝いに登るのか・・・と思ったら

登山道は中腹を巻いていた。写真中央やや左に白い線に見えるのがトラバースしてきた登山道。前の写真のとんがりピークをぐるりと回り込み、背後のピークに上がってきて振り返る

中央右の白くなった部分が仙涯嶺の山頂。どこかの山岳会か、男女8人のパーティがいたので素通りして振り返る。左のどっしりした山が南駒ケ岳

仙涯嶺から越百山へと続く稜線。一旦下るも登り返しは比較的緩やかに見える

通過してきた仙涯嶺の稜線を振り返る。稜線はずっと太陽に晒されて暑い!岩陰があるところで休憩

今回の稜線最後、越百山(こすもやま)に到着。中アの稜線も変化に富んで素晴らしい。決して北アや南アに劣らない

眼下に越百小屋(こすもこや)が見える。ここからは下り

下りる前に南アルプスにサヨナラ。素晴らしい眺めだった

越百小屋に下りてきて振り返る。中央奥に越百山のピークが見える

越百小屋のオヤジさんが布団や寝袋を干していた。気さくで人の良いオヤジさんだ。いつかここに泊まって天ぷらと茶碗蒸しの夕飯をご馳走になりたい

小屋からはすぐ背後にある山に登り返し。これがきつかった。その後は多少の登り返しはあるものの、ぶっ飛ばして下りてきた

伊那川ダムまで下りてきた。とてもきれいなダム湖で泳ぎたくなるくらいだった

今回のコースは、伊奈川ダムから越百山に登り、反時計回りに周回する方がほとんどだが、私は空木岳からの稜線の続きをやりたくて時計回りすることにした。日帰りで周回する強者登山者も少なくないが、私にはとても無理。前回横を通って素敵な山小屋だなという印象を持った駒峰ヒュッテに泊ることにした

このヒュッテは食事の提供はない。寝具の提供はあるのだが、マットやシュラフも入れて避難小屋泊装備を担いで出かけることにした。荷を軽くするなら、木曽殿山荘に予約を入れて宿泊すれば、食事の提供もあり水場も近い。この秋にやりたい山の計画があり、その前哨戦として5月の常念山脈以来、久しぶりに重荷を担いで歩いてみることにした

駒峰ヒュッテは金曜にもかかわらず満員御礼状態で少々面食らったが、皆さん夕食時には屋内の自炊スペースに移動されたので、極上のテラスが貸切り状態となり、アルコールを飲みながら時々刻々と変わる景色をゆったり楽しむことができた。重荷を背負ってのアップダウンは相変わらずダメだけど、ゆっくり歩く分だけ周囲の景色を楽しみながら素晴らしい稜線歩きを味わうことができた

このルート取りは朝の天気の良い時間帯に稜線を歩くという狙いもあった。午後にはガスが湧く確率が高くなるので、すぐに空木岳山頂に出て稜線歩きができるこの小屋を選んだ。狙い通り、完璧な青空と雲海を眺めつつ、名峰たちを愛でながら天空散歩を満喫することができた

今回、南駒ケ岳と仙涯嶺を歩いたことで、百高山は75座になった。遅々として進まぬ百高山もやっと第4コーナーに入ったので、そろそろラストスパートしようかなと考えている。とは言うものの、年も取りつつあるので、ゆったり登山で行くとしよう

なお、本山行の詳細については、以下の記録を参照されたし

山行記録: 空木岳から越百山へ周回。前回の稜線歩きの続き ☜ ヤマレコの記録

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