2018.11.26 22:26
11月下旬の3連休の1日目と2日目に大杉渓谷から大台ケ原まで歩いた。折角この山域に行くので、近くにあるもう一つの百名山「大峰山」も一緒にできないか検討した
今回は公共交通機関の利用なので、コース取りとダイヤを調べていると、大台ケ原から大和上市駅へ向かう奈良交通のバスで小一時間、和佐又山登山口で途中下車して和佐又山ヒュッテに前泊すれば、翌日に大普賢岳、行者還岳、八経ケ岳と大峯奥駈道を部分的に歩き、天川川合のバス停に下りられることが分かった
ただし、行程が長いので1日で駆け抜けることは難しいと判断し、山中の狼平避難小屋で1泊すべく、避難小屋泊装備を担いで2日で縦走する計画とした
冒頭の写真は途中の弥山(みせん)から眺めた大峰山(八経ヶ岳)。熊野大社に続く修験道である大峯奥駈道の一部を通りここまでやってきた
まずは和佐又山ヒュッテを5時に出発。ヘッドランプを点けて日本岳近くまで上がってきて、ようやく夜の帳が上がり始める
いくつかの窟を過ぎ、一番大きな笙の窟(しょうのいわや)に到着。修験道っぽい雰囲気
その先の「石の鼻」で視界が開けたので、ご来光を待つことに。熊野灘方面もだいぶ明るくなってきた
待つこと約15分、素晴らしいご来光。ここで前日に一緒に和佐又山ヒュッテまで上がってきた若者が、太陽が半分上がったところで到着。彼はヒュッテの前でテン泊だった
大普賢岳まで一緒に登ってきた。お互いにシャッターを押し合う。ここから大峯奥駈道に合流する
写真下の尾根を右から左へ、中央の尾根を左から右へと進み、写真真ん中の八経ヶ岳を目指す。山頂には雲がかかっているが、上空はこの上ない青空
大普賢岳で若者(狼平避難小屋泊予定)と別れ、私は弥山まで先を急ぐ。弥山の到着タイムで、私も当初の計画通り狼平避難小屋で泊まるか、本日中に一気に天川川合まで下るかを判断する。目標は午後1時から2時の間に弥山に到着
雪ではなく、一昨日の霧氷が落ちて融けずに残っているものと思われる
いかにも修験道という感じの道。奥に見えるのが通過してきた大普賢岳
タコの足が貝をつかんでいるような・・
写真中央下部がちょっといやらしかったトラバース路。こういう箇所では、でかくて重いザックは大敵。ひっかかったり、バランスを崩したりして滑落を誘発しやすい
七曜岳で大普賢岳を振り返る
この斜面には所々に倒木があり、登山道が分かりづらかったが、とにかく山頂を目指せば、上で登山道にもどれる
このような倒木が登山道を分からなくしていた。秋に連続して列島を縦断した台風の影響だろう。くぐって、またいで、左右に迂回して進む
このような奥駈道の標識が次々とあり、道に迷うことはない
木の向こうに見えるのが行者還岳(ぎょうじゃがえりだけ)。先を急ぐので今回はパス
行者還避難小屋。小屋内はかすかにトイレ臭があったので、外でおやつタイム。背後がスキップした行者還岳
ガンガン飛ばして「出合」に到着。一番手頃でポピュラーな行者還トンネル西口からの登山道と合流。ここから登山者が多くなる
弁天の森。お父さんと一緒に弥山から下りてきたかわいい男の子。時間がないので男の子も入ったまま一緒に撮影。悪しからず
弥山への急登は応えた。あそこまでかと何度も騙され喘ぎながら登った。これもその一つ。あの上からさらに右へ尾根を上がる。きつかった
やっと弥山に到着。弥山奥宮の鳥居。くぐったが、本当の弥山山頂は次回にまわす。この時点で13:15分。目標の通過タイムはクリア。これで天川川合まで一気に下り、18:12発の最終バスを捕まえられると確信
弥山小屋。それにしても変わった小屋だな
小屋はもう営業を終了している。避難小屋も鍵がかかっていた
弥山から下る途中。北八ヶ岳の縞枯山みたいな雰囲気
苔の斜面がきれいで、ますます北八ツ的な印象を与える
鹿によるオオヤマレンゲの食害防止柵。紐のフックを外して扉を開ける
中央奥に大普賢岳。重いザックを背負ってここまでよく歩いてきたと自分をほめる
先ほど通過してきた弥山。なだらかな山容だ
大峰山の主峰ともいうべき八経ヶ岳の山頂。想像していたより質素な山頂標だな
明星ケ岳もパスして先を急ぐと倒木だらけの難所に出くわした。膝を痛めているので、容易にしゃがんで倒木を潜って通り抜けることができない。右に左に迂回しながらも、GPSを頼りに登山道へ復帰して進んだ
高崎横手出合。ここが狼平避難小屋に戻る最後のチャンス。このまま一気にバス停まで下る勝負に出ることにした
栃尾辻避難小屋(床無しの掘っ建て小屋)に到着。結構ぶっ飛ばして下りてきたのに時間的余裕を作り出せない。ここから「山と高原地図」のコースタイムで天川川合まで1時間50分。小屋の看板で2時間。コースタイムで下りてぎりぎりセーフという見積もり
コースタイム通りでは万一の場合が心配なので、引き続き膝をいたわりながらもぶっ飛ばして下りる
5時少し前に日没。ここからヘッドランプで暗い山道を見つけながら約一時間。小走り気味に駆け下りた
やっと天川川合の村に下山。村の吊橋を渡ってバス停へ。こんなに飛ばして下りてきたのに10分前にバス停到着。あのコースタイムはあり得ない。油断せずに飛ばして下りてきて正解だった。やれやれだ。でもこんなことはもう止めよう
この縦走路を1日で駆け抜けることは難しいと判断し、山中の狼平避難小屋で1泊すべく、避難小屋泊装備を担いで2日で縦走する計画としていた
ただし、途中の弥山まで頑張って歩いてみて、午後1-2時の間に通過できれば、一気に1日で駆け抜けることもオプションとしておいた
結果的には、1時15分に弥山に到着し、これならいけると確信して天川川合まで下りる選択をした。実際はぎりぎりセーフで18:12発の最終バスを捕まえることができたわけで、「確信」どころか単なる「過信」だった
それはさておき、いつかはやってみたいと思っている大峯奥駈道。NHKーBSの番組で「グレート・トラバース」という日本百名山を一筆書きで人力踏破する番組があり、プロアドベンチャー・レーサーの田中陽希さんが挑戦して完登した
その中で、大峯奥駈道の全行程を歩いて熊野大社にゴールしたのを見て、ますます奥駈道への思いが強くなった。今度完全に仕事をリタイアしたら、5泊6日で歩くつもりだ。今回は下見がてらにその一部を歩いて、この三連休で大台ヶ原に続き、2つ目の百名山、八経ヶ岳を訪れる欲張りな計画とした
修験の道の奥駈道は鎖場あり、たおやかな稜線歩きあり、変化にとんだ魅力的なコースだった。今回は日帰り周回を優先し、行者還岳、国見岳、弥山、明星ケ岳のピークを踏まず本番に持ち越すこととし、大普賢岳と八経ヶ岳のピークだけになったが、大峯奥駈道の素晴らしさを実感することができた
本番を実行するなら、今回のように重いザックが必要になるので、気温が低くて汗を掻きづらい11月初旬から中旬に実行することになると思う。1-2年先になるだろうが、今から楽しみである
それにしても、今回の重たいザックは何だったのか。大杉渓谷登山口から3日間、延々と苦しめられたが、本来使用すべき狼平避難小屋での3泊目を省略して一気に下山したので、シュラフもマットもバーナー・コッフェルも一度も使用することなく、担いで歩いただけになってしまった。まぁ、結果論だが・・・
還暦爺いが重いザックを背負って、どこまでCTを縮められるか無謀な挑戦をしたような山行になってしまった。本番はじっくりと味わい楽しみながら歩くとしよう
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なお、この山行のコース概況、タイムなどの詳細は、以下の記録を参照されたし
大台ヶ原・大峰山ー②(大普賢岳→八経ヶ岳) ☜ ヤマレコの記録