日の出前に家を出る早朝ウォーキングを毎日続けている。早朝といえど、GW中はさすがにウォーキングやジョギングする人もそれなりにいたが、GW後の平日はかなり閑散とした状況になっている。それでもテレワークが続いている人が少なからずいるからか、例年に比較すれば少々多いかなという印象だ
(この日も夏日となった暑い日だが、早朝は涼しくて気持ちいい。汗もほとんどかかないので、マスクも顔にべたつかない。スライドする人の数は非常に少なく、東京湾から海風も吹くので、そもそもマスクをするまでもない)
5月14日に39県の非常事態宣言が解除された。群馬県など5月末まで自粛要請を継続する一部の県を除いて、15日から自粛要請を解除する自治体が多かった。5月21日に非常事態宣言の解除を検討される残りの8都府県においても、独自モデルに従って16日から段階的に自粛要請の緩和に動き出す大阪府のような自治体もある。東京都においても要請解除に向けたロードマップが示された
新規感染者数などの諸指標がかなり落ち着いてきた39県における非常事態宣言の解除については妥当ではないかと思う。韓国やドイツなどの直近の状況を見れば、緩和による感染の再拡大も危惧されること、医療現場がまだ疲弊している状況を考えれば、もうしばらく解除を見合わせることが望ましいのは論を待たない
個人的にも正直なところそれを望みたいところだが、折しも企業の決算発表の時期でもあり、経済へのマイナス影響は顕著に表れてきており、中小企業や個人営業では倒産の数も増えてきている。厳しい選択ではあるが、経済や生活と感染対応のバランスを考えれば、感染対応に十分な配慮をしつつ段階的な解除に踏み出す頃合いかと考える
今回の新規感染者数の減少推移は、北大の西浦教授がシミュレーションした80%の接触削減による劇的な新規感染者の減少という結果ではないが、全国的に顕著な減少傾向を示している。シミュレーションにおける70%接触削減くらいの減少になっているのではないだろうか。西浦教授には感染者の減少実績から接触削減を逆算し、ドコモやauなどの位置情報による人手の減少実態との比較検証をしてもらいたいと願う。今回の実態を反映してシミュレーションの精度を上げておけば、今後の外出自粛要請やロックダウンの要否に有益な情報を得られるはずだ
(今日も朝日が反射して葛西臨海公園の大観覧車が光り輝く。旧江戸川が東京湾に注ぎ込む流れと風の影響で常に波があって、きれいな逆さ観覧車を撮影することは難しい)
今回の解除については、新規感染者数など各種の指標で一定の落ち着きを確認できたことにより決定されたものだ。新規感染者数は2週間程度のタイムラグがあると言われているので、直近の1週間の数字はGWに突入した頃の状況を反映した数字ということになる。GWをStay Home 週間としたことが功を奏し、結果として新規感染者数が減少したと考えられる。GWがなければ、70‐80%の人出の減少は難しかったのではないだろうか
感染を抑え込むという意味では、このタイミングでGWとなったことは好都合だった。大型連休がなければ、GW後の60%程度の削減と同じような状況が続き、ここまでの新規感染の抑え込みができなかったと思われる。西浦教授のシミュレーションでは、60%の接触削減の場合は、新規感性者数は横ばいに留まり、総感染者数は一定数で増加し続けることになる
経済的に大きな犠牲を払いつつも、GWの国民のStay Home 努力により、新規感染者数はピーク時の10分の1以下に下がることができた。GW後の主要駅の人出は60%前後であり、逆に言えば、これを続ければ、現状レベルの低い新規感染者数に抑え込むことも可能と言える。しかしながら、自粛要請の段階的な解除により、これから繁華街や観光地に人手が戻ると思われるので、状況は楽観視できない
引き続き警戒区域となった9都道府県については、より慎重な段階的解除を願いたい。例えばであるが、店舗などの商業施設においては、上述の60%削減に近い50%縮小での営業で当面再開するとしてはどうだろうか。飲食店であれば、座席数を半分に減らす、スーパーやショッピングセンターでは半数程度に入場制限するというやり方である。客もより安心して利用できるのではないかと思うし、緩和による再拡大を小さくでき、初動対応もしやすくなると思う
(ディズニーシーの外側を東京湾沿いに歩くルートから眺めるアクアラインの海上部分。写真中央の白い部分だ。左手には南総里見八犬伝の舞台となった房総の山並みが見える。八犬伝については、そのうちにブログに書きたいと思っている)
この感染症とはしばらく向き合うことになる。いつまでも島国の地理的な利点を生かして鎖国のような状態を続けているわけにもいかず、海外との往来も再開せざるを得ない。仮に日本国内で感染の拡大を抑え込んでも、途上国では感染拡大が続いており、再び飛び火する可能性も高い。思い出してほしい。この感染症は中国一国から始まり、全世界に拡がったのだ。中国は人口においても、経済的な影響度においても突出しているが、世界のどこかの国で燻っている限り、そこを起点にした再燃の可能性は否定できない
第2波も危惧される。最近実施された抗体検査のパイロットスタディでは、抗体反応を示したのはわずか数%だった。今後、より大きな母集団で実施される計画であり、その結果を見ないと明確なことは言えないのだろうが、現時点では抗体のない人がほとんどであり、第2波が今回を下回るような感染規模となることを期待するのは厳しい
「喉元過ぎれば・・」ではなく、今回の第1波が落ち着いても、入出国の検疫体制をはじめ、医療体制や検査体制など、今のうちに手を打っておくことが肝要だ。今回の非常事態宣言や自粛要請の緩和の数値に留まらず、政府や自治体においては、第2波などの今後の感染対応として、どのようなレベルの体制確立を目指すのか、具体的な数値目標と達成期限を明示してコミットしてもらいたいし、国民や企業も三密を回避するようなハード・ソフトを整備・維持しつつ、今回の緩和後も用心した対応を心掛けたいものだ
(朝日を浴びる幕張のビル群)
ワクチンや治療薬を手に入れるまでは、このコロナ感染症とうまく付き合っていくしかない。経済や生活を維持しつつ、そこそこに感染を抑えるという難しい芸当を強いられる。それが「新しい生活様式」「新しい日常」ということなのだろう。コロナとの戦いの最中に、自然災害や国際紛争などが発生しないことを願うばかりだ