計画に当たって
2月中旬の谷川岳西黒尾根に続いて行先候補にしていた赤岳。3月5日に日帰り登山を計画するも、日付が変わる頃まで寝付かれず断念した。仕切り直して3月24日に同じく日帰り登山を計画したが、同様に日付が変わる頃まで寝付かれず断念。
午前3時前に家を出て車を走らせ山に行くことに心と体が拒否反応を示した、と解釈。というわけで、作戦を変更して今回は2日間の晴れ予報を使い、1日目は登山口の八ケ岳山荘から中腹の赤岳鉱泉小屋までとして、家を朝6時に出発することにした。2日目に赤岳に登頂し、中岳、阿弥陀岳へと周回して、御小屋尾根を使って昼過ぎには八ヶ岳山荘へ下山するゆとりの計画を立てた。
多くの登山者の記録によれば、今シーズンの八ヶ岳は雪が少ないということだが、少しでも雪の上を歩ければ良しとすることにして計画した。
歩行ルート図と標高グラフ
2D歩行ルート図と標高グラフ
最高点の標高: 2906 m
最低点の標高: 1490 m
累積標高(上り): 1693 m
累積標高(下り): -1688 m
3D歩行ルート動画
以下は私のGPS記録をもとにGoogle Earth Proで作成した3Dツアー動画。
Google Earthの過去画像の中から2017年5月の画像を使用した。温暖化とはいえ3月末の山行であること、Google Earthは5月の画像であること、今回の山行直前にまとまった降雪があったことから、私の写真と動画の画像が異なって見える点をご了解願いたい。動画の作成条件は、カメラ角度50度、カメラ高度8000m、作成速度は再生時間が60秒程度になるよう作成している。再生速度は右下の三点リーダーから変更できるので調整されたし
山行の詳細
一日目は登山口の美濃戸口にある八ケ岳山荘前を午前10時頃に出発し、美濃戸から北沢を進んで赤岳鉱泉小屋に進んで宿泊。
二日目は赤岳鉱泉を朝6時頃に出発し行者小屋を目指した。そこから地蔵尾根で赤岳に向かったが、サラサラ、ふかふかの新雪の急登に手こずって大幅に時間超過。やむなく中岳、阿弥陀岳への周回を諦め、文三郎尾根で行者小屋へ下り、南沢を使って美濃戸、美濃戸口へと下山した
一日目の山行記録

今回は赤岳鉱泉泊なのでゆっくり出発。作戦が功を奏して夜はぐっすり寝ることができた笑
中央道からの眺め。低い雲の上に八ヶ岳連峰が頭を出している。運転に集中しましょう

八ヶ岳山荘の駐車場に車をデポ。金曜はガラガラ、土曜日も6割ぐらい⁉︎ 皆さん花見を優先かな?

赤岳山荘の前から阿弥陀岳。ここまでは道路に雪はなし。こちらの駐車場は金曜が数台、土曜はそこそこだった

美濃戸山荘先の分岐から北沢へ向かう。道路の雪はバリバリの氷と化している。赤岳鉱泉のマムート号(スズキジムニー)がスタッドレスにチェーンを巻いて走るわけだ

マムート号の行き止まり地点でチェーンアイゼンを装着する。沢を渡ると雪道に変わっていく。前日と前々日に降った雪でサラサラの雪を踏んで進む。「雪が少ない」という情報と異なる状況に嬉しい驚き

残雪期としては格別のコンディション。取り止めた2回よりも雪山らしい雰囲気ではないだろうか。本当にラッキーだ

3時間ほどで赤岳鉱泉の小屋に到着。通称「アイスキャンディー」の右背後には大同心など横岳の岩峰群が見えている。今回は横岳方面には周回しないで、反対側の阿弥陀岳方向に進む計画
アイスキャンディーは鉄パイプを組んだ骨組みに沢の水をかけて凍らせたもの。ここでアイスクライミング(氷壁登攀)の練習をするのだが、この日は誰も取付いていなかった
チェックイン後はさっそくビールと持参の焼酎で寛ぐ。早く到着するとアルコールの量が増えるだけで考え物だな…

この日の夕食は大当たり。金曜日はステーキ率高い? 前回もステーキだった。旨し!
二日目の山行記録

6時前、朝食準備で食堂から焼き魚の臭いがし始めた頃に小屋を出て行者小屋を目指す。3月末にこんな雪山歩きを楽しめるとは…

30分ほどかけて行者小屋へ登ってきた。周回予定の赤岳(左)、中岳(中央)、阿弥陀岳(右)の山々。八ヶ岳ブルーの素晴らしい山日和

地蔵尾根への登山道に入ると先行者のトレースはすぐに消えた。引き返したようだ
代わりの足跡。これってクマ? 足跡が残っているということは昨晩か今朝のものだ。ここから熊鈴を鳴らしながら進む。撃退スプレーもザックのショルダーベルトに装着

ボブスレーのコースのように凹んでいるので踏み跡がなくても登山道は見て取れる

予想外の新雪ラッセル。ボブスレーコースも見て取れなくなってきた。赤リボンも少なく、登山道が良く分からない
でも夏道にとらわれず、登れそうなところを判断して進むのが雪山の面白いところ。必ずトレースがある人気のお山では滅多にないこと。真っさらの雪山を楽しませてもらうとしよう、とこの時は余裕をかましていた

振り返って私の踏み跡。この辺りは足首くらい。樹林帯が低くなってきた

ウサギの足跡が随分上の方まで続いていた。上の方は完全に雪の下で餌になるような植物はないんだけど…

横岳の大同心、小同心。アルパインクライミングの人気の場所

中央やや左上の岩の下に見える梯子と手すりを目指す。新雪でアイゼンもピッケルも効きが悪く、この急斜面はダガーポジションで慎重に進んだ

中岳、阿弥陀岳を望む。斜面をトラバースしてきた。この辺りは脛ラッセル。カニさん歩き

新雪がサラサラでアイゼンもピッケルもあまり効かない。左上に最後の鎖が見えるので、写真右上を巻いて抜けていく

どこでも登れそうな斜面だが、どこを進んでもいやらしい

もうすぐ地蔵の頭の分岐。2つ上の写真の鎖のすぐ手前はナイフリッジだった(写真を撮る余裕なし)。鎖を掴んですんなり行けると思ったのが甘かった

2時間半の格闘を終えて地蔵の頭から振り返る。写真中央下のナイフリッジと鎖の部分は特にサラサラ、ふかふか。体重をかけても足元が崩れないと確信できるまで何度も蹴り込んだ。ピッケルはズブッで気休めにもならなかった
地蔵の頭へあと少しまで登ってきて、一発アウトは何としても避けたい。それにしても過去の雪山でナイフリッジ部分を通過したときは雪がしっかりしていて歩きやすく、そんなに恐怖心を覚えることもなくすんなり通過したのだが、雪の状態でこんなにも変わるとは。年のせいかな…

お地蔵さまの背後に横岳方面への尾根。この日は地蔵を下るより横岳・硫黄岳へ周回した方が安全ではないかと思えた

赤岳(左)、中岳、阿弥陀岳(右)。地蔵尾根の登攀に時間がかかり過ぎた。この時点で年寄りは周回をあっさり断念し、文三郎尾根で下山することにした。それにしても素晴らしい八ヶ岳ブルーだ
赤岳の山頂から下ったところにあるのは赤岳展望荘。2月上旬から冬期休業中

赤岳展望荘で羊羹をかじり赤岳山頂へ向かう。かろうじて残っていたエビのしっぽ。エビの尻尾は雲が吹き付けられると風上側へと成長する

赤岳北峰まであと少し。気を抜かないで行こう

赤岳山頂(南峰、2,899m)。誰もいない⁉ 奥は南八ヶ岳の権現岳、ギボシなど。山頂標の左にあるはずの富士山は低い雲と霞が邪魔して見えなかった。北アルプス方面も晴れてはいるのだが、山並みは見えなかった

右から赤岳北峰にある赤岳頂上山荘(冬期は休業)、その左奥に横岳(写真中央)、硫黄岳(左4分の1)、天狗岳(左端の双耳峰)

文三郎尾根から3人が上がってきたので写真を撮ってもらった。ありがとうございました

文三郎尾根へ下る。中央奥は左から三ツ頭、権現岳、ギボシ、西岳

中央奥の手前に中岳、背後に阿弥陀岳。こちらのルートの雪質も地蔵尾根とあまり変わらいが、トレースが国道のようにしっかりできていて歩きやすい

タンクトップ姿で山に登る人気ユーチューバーの穂高さんとスライドした。2月中旬に西黒尾根で谷川岳に登った時にもお見かけした。今回は周囲に人だかりがなかったのでお話しできた

カメラにポーズしてくれた。本当に楽しい人だ。片手にカメラを持って上るのは大変だろうな

分岐。雪の中岳、阿弥陀岳はまたいつか、ということで…

文三郎尾根を飛ばして下りる。写真奥の左端には八ヶ岳連峰最北の蓼科山も見えている(てっぺんが白い山)

未練がましく中岳と阿弥陀岳

写真の右上から左下に対角線のようにつながるのが登りに使った地蔵尾根。3カ所ほどルーファイミスで危険なトレースを着けてしまった。ごめんなさい
展望荘から赤岳に登る途中でスライドした方が地蔵を下りに使うというので、私のトレースを鵜呑みにしないで自分の目で判断して進んでくださいとお願いしておいた

下りてきた行者小屋前から赤岳と阿弥陀岳。無事に赤岳に到達して下りてこられた

行者小屋の奥は横岳に続く尾根と大同心、小同心

小屋前でアイゼンをチェーンスパイクに、ヘルメットを帽子に、ピッケルをストックに、テムレスを薄手フリースの手袋に換装。ハードシェルも脱いで赤岳にサヨナラ

南沢の下りでは登ってくる数多のテン泊パーティーとスライド。行者小屋のテン場も今夜は賑やかだろう

下りの途中で地蔵尾根と赤岳の最後の眺め。3月末とは思えない雪山を楽しませてもらった。無事に地蔵尾根から文三郎尾根へ周回でき、山の神様に感謝感謝!
山行を終えて
三度目の正直で赤岳に出かけることができた。深夜の出発をやめて1泊2日のゆとり登山にして正解だった。この山行の一週間後には誕生日を迎え60代最後の年になる。体に優しい登山が必要となってきたということか…
今シーズンは雪が少ないという多くの登山記録を拝見し、少しでも雪の上を歩ければと出かけた。ところが、地蔵尾根ではまさかのノートレースでルーファイしながらプチラッセルになり嬉しい誤算だった
ただ、サラサラ、ふかふかの雪で何度も蹴り込んで慎重に歩を進めたので、地蔵尾根を登るのに相当な時間を要し、大幅な時間超過となってしまった。結果、阿弥陀への周回を断念せざるを得なくなったのは残念
素直に文三郎尾根で登っていれば、阿弥陀山頂を踏んで御小屋尾根を下ることができただろう。しかしながら、緊張感あふれる新雪の雪稜を味わうことができ、萎みつつある年寄りの心に久々に火が着き、地蔵尾根で得られた達成感はひとしおだ
一方で、歳を考え、迷惑をかけないよう安全第一を心掛けないといかんなと反省しきり。雪面で何度も蹴り込んだので、今は酷いふくらはぎ痛で家の階段の上り下りも辛い(笑)
滑落することなく無事に尾根を登りきれたことを山の神様に感謝するばかりだ。これからは無理をしないようにしよう(毎度の反省)
関連情報
駐車場
八ヶ岳山荘の駐車場(美濃戸口):
800円。コーヒー1杯無料は健在。金曜日はガラガラ、土曜は6割くらい
赤岳山荘の駐車場(美濃戸):
1000円。金曜日はガラガラ。土曜日はそこそこ。SUV推奨。普通車は厳しい(スリップ、腹スリ)。チップ制トイレあり
やまのこ山荘の駐車場:
1000円。金曜も土曜もガラガラ。事前振り込み予約可。SUV推奨(同上)。チップ制トイレあり
コンビニ
諏訪南ICを下りてすぐファミマあり
小淵沢ICを下りてすぐセブンとローソンあり
日帰り温泉
(注)値上げラッシュの折、料金等は最新情報をご確認ください
延命の湯:市外830円、0551-36-6111、10:00-22:00(受付21:30)
「道の駅こぶちざわ」の一番奥にある
https://www.spatio.jp/hotspring/
八峯苑・鹿の湯:~15時 900円、15時以降 1100円、0266-66-2131、10:00-19:00(閉館19:45)。富士見高原の登山者駐車場のすぐ下にある。モンベルは100円引
https://happoen.jp/day-onsen/
八ケ岳山荘:
汗を流すには手っ取り早くていいが、大きくはない。500円?。0266-74-2728。?ー18時
https://mt-yatsugatake.jp/yamagoya/yamagoya-1949/
J&N:
八ケ岳山荘の横にある。オシャレで若い人にはこちらがいいかも。入浴も食事も可能。冬期900円。夏期800円。0266-75-2289。宿泊も可能で、宿泊者は登山中の駐車および下山後の入浴も無料
https://j-and-n.jp/
もみの湯:650円、0266-74-2911、10:00-21:30(受付21時)
https://www.vill.hara.lg.jp/sightseeing/facility/61047.html
コースの状況(私の主観です。3月28日現在)
八ヶ岳山荘から赤岳山荘:
全く雪なし
赤岳山荘から北沢経由で赤岳鉱泉:
北沢は路面が凍結。上りは良いが下りは滑り止めを付けた方が良い。赤岳鉱泉のマムート号折り返し点にある橋を渡ると徐々にしっかりとした雪道になる。チェーンアイゼン使用
赤岳鉱泉から行者小屋:
雪山らしい登山道。踏み跡はしっかり
行者小屋から地蔵尾根経由で赤岳:
地蔵尾根はノートレースだった。樹林帯は登山道が見て取れる状態で、角度が急になる辺りからは真っ平らな雪面となり登山道が見て取れなかった。ピンテは少ない
森林限界上は鎖や梯子、階段は埋まっているのが多かった。春分の日の三連休当たりの入山者が書いていたように、雪質はサラサラでピッケルやアイゼンが効きづらい。上部はダガーポジションで慎重に登ったりトラバースした
赤岳展望荘から赤岳山頂は同じくサラサラ雪ながら普通に二足歩行で上り下り可能だった
赤岳から文三郎経由で行者小屋:
雪質は同じながらも、しっかり踏まれたトレースができているので、快適に上り下り可能だった。阿弥陀方面への分岐からは飛ばして下りた
行者小屋から南沢経由で赤岳山荘:
半ばまでは残雪期とは思えない雪道歩きを堪能した。次第に岩が露出しはじめ、南沢の最後の下り辺りは泥濘の登山道が露出する箇所が多かった
赤岳山荘から八ヶ岳山荘:
昼頃は気温が上がって道路は緩み、水たまりや泥あり
歩行タイム(私のログ記録)
<1日目>
10:12 美濃戸口(八ヶ岳山荘) → 11:03 赤岳山荘 → 12:29 北沢堰堤広場(車道終点) → 13:26 赤岳鉱泉
<2日目>
5:50 赤岳鉱泉 → 6:31 行者小屋 → 9:06 地蔵の頭 → 9:17 赤岳展望荘 9:26 → 10:19 赤岳頂上山荘 → 10:29 赤岳 → 10:37 竜頭峰分岐 → 11:00 文三郎尾根分岐 → 11:31 行者小屋 12:05 → 13:40 赤岳山荘 → 14:17 八ヶ岳山荘
注)コースタイムの1.0 – 1.1位で歩いている(ヤマレコアプリの計測データ)
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