長年の夢の一つ、流氷を眺めに北海道へ。風が吹けば近づいたり遠ざかったり、相手は浮草のようなもの。運を天に任せて1月上旬に2月20日出発の3泊4日のツアーに申し込んだ。せっかく出かけるのだから、流氷を見られるチャンスを増やすべく、21日と22日の2回クルーズ船に乗るツアーを選択した(HISの「とことんひがし北海道4日間」のツアー)
ツアー日程
2月20日(金):
成田空港13:45発 → 15分間の遊覧飛行 → 女満別空港16:15着(チャーター便)
阿寒湖畔へバス移動、ホテル18時頃着
2月21日(土):
ホテル7:20発 → 羅臼港10:30着(バス移動)
11:00 – 12:00 流氷&バードウォッチングクルーズ(ツアー貸し切り)
14:30 – 15:30 野付半島の氷平線ウォーク
阿寒湖畔へバス移動、ホテル17時半頃着
2月22日(日):
ホテル7:40発 → 網走港10:30着(バス移動)
11:00 – 12:00 砕氷船オーロラ号クルーズ(他ツアー、一般客との相乗り)
13:30 – 13:45 JR北浜駅
14:10 – 15:40 網走監獄博物館
ホテル15:50着
2月23日(月):
ホテル発8:30発 → 能取(のとろ)岬で15分ほど滞在後、女満別空港9:45着
女満別空港10:55発 → 成田空港13:15着(チャーター便)
1日目:2月20日(金)

FDA(フジドリームエアーラインズ)のチャーター便で成田を出発。しばし雲海の上を行く。残念ながら翼とエンジンの横の席に当たってしまった。まぁ、飛行機から撮影している感が出て、これはこれで良しとしよう

本州の太平洋沿岸上空を進むと、雲海は次第になくなった。いよいよ北海道の上空に突入。好天は予報通りなのだが、4月の陽気の南風が心配。一面びっしりの流氷は期待していないが、流氷が南風に押し戻されていないことを祈るばかりだ

いよいよオホーツクエリアへ到達。海が白くなっている部分が流氷か?
翼のすぐ左奥は斜里岳(しゃりだけ、1,547m)、写真中央が海別岳(うなべつだけ、1,419m)、その左に連なるのが知床連山で、右から遠音別岳(おんねべつだけ、1,330m)、中央に羅臼岳(らうすだけ、1,661m)から硫黄山(いおうやま、1,562m)へ続く主稜線、左端が知床半島先端付近にある知床岳(1,254m)だ
日本百名山である斜里岳と羅臼岳には2022年6月に登った。当時はまだ知床でヒグマによる人への襲撃が一度も発生していなかったころだ。今はちょっと怖くて再訪をためらってしまう

おぉ、やっぱり流氷じゃないか! 接岸して一面びっしりの状態ではないが、流氷はまだオホーツク沿岸にとどまっている。祈りが通じたか・・

15分間の遊覧飛行の始まり。3-4回上空をぐるぐると回る。上空からの流氷の眺めは格別だ。チャーター便ツアーならではの嬉しい企画

これだけで感動一杯

前日の同様なツアーのフライトは、天候が悪く全く見えなかったとか。今回のツアー客の中に持ってる人がいてくれたようだ

右へ左へと機体を傾けながら旋回する。座席は左右2列ずつなので、上空からの眺めを楽しめる

暖かすぎるけど、抜群の天気で海と空の青に流氷や雪山の白が良く映える。最高のコンディションだ

左下には最終日に立ち寄る能取岬(のとろみさき)が見える。先端に白黒の灯台が小さく見えている。解散前の嵐が出演したJALのCMで使われたロケーションとか。岬の先には流氷が広がっている。二日後(ツアー3日目)の砕氷船おーろら号ツアーに期待が高まる

女満別空港に着陸。遊覧飛行だけでも来た甲斐があった
ここから阿寒湖畔のホテルまでのバス移動が長かった。何で阿寒湖畔のホテルなの・・・?
2日目:2月21日(土)
流氷&バードウォッチングクルーズ

朝食バイキングを慌ただしく済ませ、バスに乗ること約3時間、羅臼港にやってきた。船長さん曰く、この時期に南風で霧が発生するのは異例なことだそうな・・
背後には知床連山の主稜線。左端が羅臼岳。前日のフライトとは反対側の知床連山の眺めになる

流氷はまだ現れないが、海面に丸みを帯びたシャーベットのような質感の氷が一面に浮かんでいる。船頭さんが地元では「○○」と呼ばれている氷だと説明していたが、名前を忘れてしまった

羅臼港方面を振り返って。上空には青空ものぞいているのだが、低い霧で周囲はガッスガス
それにしても流氷が見当たらない。前日空から眺めたオホーツクとは知床半島を挟んで反対側になるのだが、こちら側は流氷がないのかと不安になる

しばらく走ると流氷帯が見えてきた。やれやれ。氷の上に何やらいるぞ・・

オジロワシじゃないか。全体的にこげ茶色っぽく、尾の部分に白羽があるのが特徴

翼を広げると2mを超える大きさだ。年寄りは動く被写体を追いながら撮るのが大変。スマホ画面で捉えながらピンチ操作するのではなく、ファインダーを覗いて被写体を捉えながらレンズを回してズームを動かす方がはるかに撮り易いので、今回はデジイチを持ってきた

鷲掴みの態勢

船員が流氷の上に放り投げた魚を文字通り「鷲掴み」。観光のためとはいえ、天然記念物に指定されている野生動物にエサを与えることについては賛否が分かれるところかも・・

こちらはオオワシ。オジロワシよりも一回り大きく、翼を広げると2.5m弱になる。オジロワシと同じく1970年に天然記念物に、1993年には国内希少野生動植物種に指定されている国内最大級の鳥
オジロワシもオオワシも基本的には渡り鳥で、冬に南下してきて北海道で越冬する冬鳥なのだが、中には北海道の北部や東部で通年過ごす留鳥もいるとのこと

おなじく尾羽が白いが、全体的に黒色で、翼の前部や脚の部分も白いのが特徴

地味系のオジロワシと違って黒白黄色のメリハリのある姿

こちらもすごい爪を持っている

オジロワシとオオワシは縄張り争いなどしないようで、仲良く?一緒にいる

オジロワシの華麗な飛翔姿

翼の先っぽの羽根も意識して広げたり反らしたりして飛翔をコントロールしている

あちらの船は流氷に船体を突っ込んでいる

オオワシの群れ。クルーズ船はそろそろ引き返す時間のようだ。流氷、オオワシ、オジロワシを楽しめて良かった

羅臼港に戻ってくると、まだガスがかかっていた

この立ち位置(船首)で1時間のクルーズを楽しんだ。4月並みの気温なので、ずっと外にいても耐えられた。といっても、海風に当たって体の芯まで冷えたけど・・・
ガスが次第に薄れ、知床連山が次第に姿を現してきた

低く帯状にかかるガスで上側と下側が別の山並みに見え、ちょっと不思議な感じ

羅臼岳をアップ

港近くにはオオセグロカモメがたくさん生息していた。この鳥は浦安のディズニーリゾート外側の東京湾でもたまに見かける渡り鳥(冬鳥)なのだが、北海道で越冬するのもいるんだな

羅臼岳にかかっていた低いガスもほぼ取れて、完全に姿が見えるようになった

羅臼港には海上保安庁の船が退避してきている。オホーツク側は流氷に閉ざされて出動できないことがあるので、厳冬期は流氷の接岸があまりない羅臼側にいるとのこと

乗船したEver Green号。運転席前の船首部分で1時間のクルーズを楽しんだ
野付半島の氷平線ミニウォーク

サケのちゃんちゃん焼きの昼食後に野付半島へバス移動。野付半島は天の橋立のような細長い陸地。半島の根元に近い辺りではワカサギ釣りをやっていた。この辺りは海水というより淡水に近いのかな
エゾシカやキタキツネを見ながら野付半島の先端方面へと進んだ

野付半島の先端近くにあるネイチャーセンターへ行き、ネイチャーガイドのプレゼンの後に内海の凍った氷原をネイチャーガイドと歩いた

この時期としては異常な高温で、安全面から陸地に近いエリアに限定した氷上歩きとなった

カミさん、夕日を持つポーズ。元気玉か?

氷上歩きを楽しんだら、この日のアクティビティは終了。2時間半ほどかけてバスで阿寒湖畔のホテルへ移動。この移動が長くて疲れたよ
3日目:2月22日(日)
砕氷船おーろら号クルーズ

3日目の朝。阿寒湖畔のホテルの部屋から雄阿寒岳を眺める。外へ出ても寒くない。季節外れの陽気が続いている。さて1日目の飛行機、2日目の流氷クルーズに続いて、流氷三連勝となるか?

阿寒湖畔のホテルから約2時間かけて網走へバス移動。まずは流氷の中に突き進む砕氷船クルーズツアー。高温が続くためか、知床連山の山容も春霞のようにぼんやりしている
網走港を出港するもしばらく流氷らしきものは全く見えず⁉ 一昨日、女満別空港へ下りる前に飛行機から見た流氷群はどこに行ったのか?

かなり航行してやっと水平線に流氷らしき白い帯が見えてきた

氷塊が一つ二つ浮かんでいる手前で港に戻る時間に。約10キロ進んだところで時間切れとなり万事休す。吹き続いた南風で流氷が岸から遠ざかっていってしまい、この日は折り返しまでの30分以内に流氷へたどり着けず
前日のこのツアーでは流氷にたどり着けたとのことなので、昨夜のうちに風に流されて離れていったようだ。三連勝とはならず残念無念!

写真の陸地の先端が能取岬(のとろみさき)。飛行機からはあの岬の少し先に浮かぶ流氷がしっかり見えたのに・・
まぁ仕方ない。2勝1敗ということで良しとしよう。流氷を空と海から見ることができたのだから

こちらが乗船したおーろら号。二階の横の右側デッキ(写真では左側)、人がいるあたりに立ち続けた。潮風で体が冷えたものの、凍えるようなことはなく一時間の空振りクルーズをそれなりに楽しんだ
JR北浜駅

海鮮丼の昼食の後、JR釧網本線の北浜駅へ。海岸線まで約20mという極めて海に近い立地から、「オホーツク海に一番近い駅」とか「流氷に一番近い駅」として人気らしい。駅舎の中にはレストランもあるのだが、この日は日曜のためかお休みだった
つい先日、NHK-BSの新日本風土記で「流氷オホーツク」が放送されたときに、この駅とレストランも出てきた。昭和の年寄りには懐かしい駅かもしれない。この駅は高倉健の映画「網走番外地」で網走駅として撮影された駅だそうだ

北浜駅のホームからの眺め。現在もちゃんと列車が走っている
網走監獄博物館

この日の最後のアクティビティは博物館「網走監獄」の見学。1時間半の時間で自由に見学。律儀に順番通り展示館を回っていると集合時間に間に合わなくなるくらいだ
実家の近くに博物館「明治村」(@愛知県犬山市)があり、その中にも金沢市にあった監獄が移築復元されているのだが、設計仕様がほとんど同じで驚いた

中央に看守棟があり、そこから左右真横に2つの監獄棟が延び、直角方向に1つ、45度の角度で斜め左右に2棟、合計5棟の細長い監獄棟が半円の中を45度間隔で放射状に延びた構造だ。独房棟や6人部屋の棟などに分かれている
北海道の監獄は北海道開拓の歴史そのもので、ロシアからの侵攻に備えて北の守りを固めるために多くの囚人が北海道に送られて開拓や道路建設などに従事させられた。明治になって職を失った旧士族たちも防御や開拓のために北海道へ移住している。この歴史も「新日本風土記」の中で紹介されていた
この日は網走湖畔のホテルに宿泊なので、4時前には宿についてのんびりすることができた
4日目:2月23日(月)

4日目はゆっくりと8時半の出発で、能取岬へ立ち寄って女満別空港へ移動
まずは能取岬の灯台へ。芝生の上はエゾシカの糞だらけで、踏まないように歩くのに苦労する。靴底には芝生の涸れた草がいっぱい付着し、バスの床は悲惨なことに・・(笑)

岬の北端へと芝生の中を歩いて行ったら、ちょうど入り江のように凹んだ部分に流氷がちょっと溜まっていた。断崖が南風を遮ったので、入り江の流氷は流されずに留まったようだ
ほとんどの方は灯台と鐘(ベル)の方へ歩いて行ったので、この流氷を見たのはほんの数人だけ。前日の砕氷船おーろら号の穴埋めにはならないけど、最後にちょっぴり接岸状態に近い流氷の姿を見ることができた

能取岬から離れるときに、バスの車窓から海岸に打ち上げられて取り残された板状の氷の塊や「蓮葉氷」(はすはごおり)と呼ばれる周囲がめくれ上がった丸型の氷が見えた
次にチャンスがあれば、接岸した流氷を見てみたいものだ。ただし、接岸して完全に港を塞いでしまうと、クルーズ船が出港できなくなるようなので、ありすぎるのも良くないらしい。自然は難しい・・

チャーター便で北海道を離れる。帰りの便は遊覧飛行なし。上空から一面真っ白な大地が広がる北海道らしい光景を楽しんだ
感想
<今回のツアーの良かったところ>
チャーター便利用で空から流氷観察をできたこと
2回のクルーズで流氷を見られるチャンスが複数あったこと
<残念だったところ>
2連泊の阿寒湖畔のホテルが遠くバス移動で時間を要したこと
阿寒湖畔のホテルがインバウンド客で溢れ、バッフェ形式の食事の席探しが大変だったこと
今回訪れた知床周辺には夏にもクルーズツアーがある。実は流氷はミジンコなどの栄養豊かなプランクトンを運んできて、このプランクトンを目当てにマッコウクジラなどの哺乳類や魚が多く集まり、それ目当てのシャチもやってくる。ぜひこちらのクルーズ船に乗って、クジラが尾びれを海面に突き上げて潜っていく「フルークアップ」などの光景をみたいものだ
流氷のように空から眺める必要はないので、百名山を巡った時のように定期便を利用してレンタカーで自分のペースで回る旅がいい。ツアーは効率的なのは良いけれど、私のような年寄りには「市中引き回しの刑」みたいに引きずり回されるような感じで慌ただしくて疲れてしまう(笑)
ツアーで一緒になった息子たちより若い男の子二人組(社会人)の話によれば、昨年11月頃に個人で流氷ツアーを計画して予約しようとしたら、宿も飛行機も取れなかったとのこと
1月になってHISのサイトで空きを見つけて予約したとのこと。どうやら大手旅行会社が2月の3連休を利用したツアーを組んで宿などを抑えてしまったようだ
今回のツアーのようにカミさんが興味を示すようだったら年を取り過ぎないうちに夏バージョンを計画してみよう
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