南アルプス主稜線を北から南へ大縦走:広河原in ↗ 北岳 ~ 上河内岳 ↘ 畑薙out 2025/8/18-23

山の記録

昨年秋に計画した南プス主稜線の縦走。北部の広河原(ひろがわら)登山口から南部の畑薙(はたなぎ)登山口まで歩き通すつもりだった。天気予報では何とか雨に降られずにできそうな感じだったが、ちょっと微妙な予報であったことから見送った。その後、天気や自分の体力などから南プスの真ん中あたりの鳥倉登山口で区切って、北部と南部の2つの山行に分けて仕切り直すべきかと検討していた

今回、お盆休み後に一週間晴れが続く予報になった。しかも予報の確度が高そう。何だか山の神様から「チャンスをやるから一気に歩き通して見ろ」とチャンスをもらったような気がしてチャレンジすることを決断。出発前の予報では17日の日曜から晴れが続き、23日の土曜日の午後には崩れ始める予報。そこで土曜の午前中には畑薙に下山できるよう計画を立てた

憧れのテント泊装備を担いでの縦走は体力的にも日程的にも無理と判断し、小屋泊で計画して荷物を軽くし、機動性を上げることにした。ところが、昨今の人手不足や物価高騰で、山中6泊の小屋のうち3泊は食事の提供がないことが判明。小屋泊と言えどもコンロや食材などでそれなりの重量になってしまった

さらに、初日の移動日に広河原登山口から白根御池(しらねおいけ)小屋まで2時間半ほど上がって宿泊するつもりだったが満室で予約できず、登山口の広河原山荘に宿泊せざるを得なくなった。これにより翌日の熊ノ平小屋までの行程がきつくなった。北岳への長い急登と熊ノ平小屋までのロングコースで12時間強の行程になり、縦走初日から体力勝負を強いられる計画となった

山行計画の概要

日程行程宿泊する小屋通過する主なピーク
8月17日(日)自宅~広河原ひろがわら登山口広河原山荘
8月18日(月)広河原~熊ノ平熊ノ平小屋北岳、中白根山なかしらねさん間ノ岳あいのだけ
8月19日(火)熊ノ平~三伏峠さんぷくとうげ三伏峠小屋北荒川岳、塩見岳しおみだけ
8月20日(水)三伏峠~荒川小屋荒川小屋小河内岳こごうちだけ、荒川前岳
8月21日(木)荒川小屋~百間洞ひゃっけんぼら百間洞山の家赤石岳あかいしだけ
8月22日(金)百間洞~茶臼ちゃうす茶臼小屋兎岳うさぎだけ聖岳ひじりだけ上河内岳かみこうちだけ
8月23日(土)茶臼小屋~畑薙はたなぎ

上述したように初日は登山口への移動だけとなったので、翌18日は登山口から約1500mの標高差を登り上げ、標高第2位の北岳(3193m)に登頂した後、天空の尾根を縦走して標高第3位の間ノ岳(3190m)を越えて熊ノ平小屋まで進む12時間越えの長い行程となる

19日以降も毎日3000m峰を越えていくので、アップダウンを繰り返す。縦走の醍醐味を楽しみながらも、年寄りには厳しい山行となる

2D歩行ルートと標高グラフ

合計距離: 77236 m
最高点の標高: 3188 m
最低点の標高: 944 m
累積標高(上り): 8339 m
累積標高(下り): -8919 m

3D歩行ルート動画

歩行ログをもとに、Google Earth Proで以下のごとく3D歩行ルートの動画を作成した。Google Earthの過去画像から比較的時期が近い画像を選択して用いた。今回の山行は広範囲に及ぶので、Google Earthでは同じ時期の画像ではなく、時期の異なる画像が複数用いられて合成されているので、画像に多少違和感があるかもしれない点をご了解願いたい

カメラ高度は10,000m、カメラ角度は40度、速度は60秒程度の再生時間になるよう設定している。なお、右下の3点リーダーからPlayback speedを変更できるので、好みで調整されたし

1日目:広河原山荘への移動

新宿からJR中央線で甲府までやってきた。甲府駅の前に信玄公の像。ここからバスで登山口の広河原に移動

3年前の令和4年に新築オープンした広河原山荘。吊り橋を渡った先に元の山荘があったが、吊り橋の手前側に移動した。コロナで建設や営業開始が2年遅れたと記憶する。入浴施設もあり新しくてとてもきれいだが、大部屋は特にコロナなどの感染症対策の工夫はなく、男女区分の配慮もない。気になる人は個室を予約しなさいということかな・・

ビジターセンターは展示内容がリニューアルされたそうで、中を拝見したが以前の展示を覚えていないので違いがよく分からない(笑)

この吊り橋を渡って登山道に入っていく。旧山荘は渡った先の右側にあった。テン場は今も同じ場所で旧山荘の横にある

明日は行程が長いので暗いうちにヘッドランプをつけて早朝に出立する。写真を撮れないので前日に撮影を済ませておいた

散策を終えて風呂に入ってビール飲みながらロビーでくつろぎタイム@新広河原山荘。このあとの夕食はポークステーキが出た。フォークとナイフとスプーンのみで、箸は要望しないとない。ちなみにパンではなくご飯だった。1日目終了

2日目:広河原登山口~北岳、間ノ岳~熊ノ平小屋

朝4時前に広河原山荘を出て、2時間半ほどで白根御池小屋まで上がってきた。前日にここまで登っておきたかったのだが、こちらの小屋は満室で予約が取れなかった。本日は熊ノ平小屋まで先が長いな・・

アルパインクライマーに人気の北岳バットレス。取付いているクライマーの姿は見えなかった

八本歯のコルが近づいてきた。稜線に小さなピークがポコポコあるので、「八本歯」の名前がついたとか・・

白根御池小屋の横から通称「草すべり」を登り、北岳肩の小屋を経由して北岳に向かうルートはとても人気なので、今回は比較的静かなこちらの八本歯ルートで北岳へ向かった

八本歯名物の木段をいくつも上がっていく。登りと下りが交錯すると厄介なので、こちらのルートは登山者が少ないのだろう

北岳往復後に通過する通称「天空の尾根」。3000mを超える稜線だ(写真左)

まずは1座目の北岳を目指す。ザックが重い!

南アルプス固有のタカネビランジ。南部への縦走中に何度か見かけた

東側に並行する鳳凰三山の山並み(左から地蔵ヶ岳、鳳凰山、薬師岳)。やっと同じくらいの高さまで上がってきた

八ヶ岳連峰もきれいだ。奥の稜線

ミネウスユキソウも縦走中に何度も見かけた。エーデルワイスの仲間

重いザックを分岐に置いて山頂を目指そう。斜面には高山植物が群生していた

年寄りは1座目にして疲れ果てたよ。山頂に居合わせたソロの方に撮ってもらった。ありがとうございました

私の後方が仙丈ケ岳、右奥の山頂が白いのが甲斐駒ヶ岳。山頂は驚くほど人が少なく数名のみ

甲斐駒ヶ岳のアップ。昨秋にはテン泊装備を担いで甲斐駒ヶ岳から早月尾根を歩いて鳳凰三山の地蔵ヶ岳まで縦走した

北アルプスの槍ヶ岳から穂高連峰の稜線。あちらも良い天気だ

標高第2位の北岳(3,193m)から断トツ1位の富士山(3,776m)を眺める。何だか富士山が大爆発しているみたいに見えてしまう(笑)。それにしてもなんで富士山の周りだけあんなに雲が湧いているんだろう?山の大きさ、高さのせいかな・・

デポしたザックを回収して眼下の北岳山荘目指して下る。そしてその先の稜線へ。小屋の先が中白根山(3,055m)、その左方向の先に間ノ岳(あいのだけ 3,190m。北アの奥穂高岳と並んで標高第3位)。まだ先は長い

中白根山の山頂から仙丈ケ岳(3,032m)を望む。しばらく行ってないな。GWあたりに出かけたいな・・

間ノ岳到着。奥穂と並ぶ標高第3位の山頂から第2位の北岳を振り返って。ちょっと予定より遅れ始めたな・・

こちらの山頂標のすぐ上が千塩尾根。翌日はあの尾根を歩いて写真中央やや右の塩見岳を越えていく(奥から2つ目の横に伸びる尾根)。ちなみに千塩尾根は仙丈ケ岳と塩見岳を結ぶ尾根だ

間ノ岳から三峰岳(みぶだけ、2,999m)へと尾根を進む。三峰岳で仙塩尾根に合流する

写真左端の三峰岳から右に伸びる尾根を進めば仙丈ケ岳(写真右奥)。8年前に塩見から仙丈へと歩いたのが懐かしい

三峰岳は剱岳と同じ2,999mながら百高山には選出されていない。間ノ岳の稜線の一部と見做されて百高山になり損なったか・・。奥に見えるのが間ノ岳

こちらは西農鳥岳(にしのうとりだけ、3,051m、写真中央)と農鳥岳(3,026m、すぐ左側)。北岳と間ノ岳と農鳥岳は白峰三山(しらねさんざん)と呼ばれている。写真左端奥は広河内岳(ひろごうちだけ、2,895m)。こちらも素晴らしい稜線だが、今回は仙塩尾根を進む

間ノ岳から三峰岳を通ってきた稜線。三峰岳からは稜線すぐ下のトラバース路を下る。進行方向左側(写真では稜線右側)が切れ落ちていてちょっといやらしかった

こうやって眺めると、三峰岳は間ノ岳の稜線の一部と見えてしまう。間ノ岳がどっしりとデカいからだろう。このあと、さらに下って熊ノ平小屋には16時半に到着。この日の山行は12時間越え。初日から疲労困憊、疲れたよ・・

小屋にチェックインすると、素泊りのみの小屋ながらも炊き立てのご飯にカレーなどのメニューの提供があり、ちょっと驚き。小屋のHPに載せておいてくれたら迷うことなくカレーを注文したのに・・。食材を減らすべく自炊した

熊ノ平小屋のすぐ横には沢が流れていて、手が千切れるほどに冷たくておいしい水が流れている。沢で顔や頭を洗ったり体の汗を拭ってさっぱりした。17時半すぎに自炊すべく食堂へ行くと、何と17時半で売店は閉店だった。小屋のスタッフのお姉さんに頼み込んでロング缶2本を購入。心優しい対応に助かった

この夜は疲れて爆睡 Zzz…

3日目:熊ノ平小屋~北荒川岳、塩見岳~三伏峠小屋

5時頃にクマの小屋を出発。ヘッデンは不要なほど明るくなり始めていた。雲海の向こうに中央アルプスの山並み

これから向かう塩見岳(写真中央右側)。本日の試練の山だ

振り返って間ノ岳から三峰岳を通過してきた稜線。仙塩尾根は登山者少なめなので、熊鈴を鳴らしながら早朝は携帯プレーヤーで音楽も流して進む

雪の重みで幹や枝が寝そべったようになったダケカンバの木々。休憩にはうってつけの素晴らしい癒しの空間

急斜面を登り返すと北荒川岳の山頂にひょっこり出た。塩見岳の左側の尾根筋(写真中央)を登っていくのだが、あそこが本日の肝

振り返って左に間ノ岳、右に西農鳥岳と農鳥岳。本日も快晴なり!

ここも素晴らしい空間。標識にあるように「幕営禁止」だよ

木陰でしばらくダケカンバと一緒に寝そべっていたい

富士山を間近に眺めながら進む。南アルプスの特典のようなもの

試練の尾根が近づいてきた。ザレ気味の急勾配の尾根は見た目よりきつく足が攣りそうだった。尾根の直下(青空の直下)は登山道の崩落のため左のハイマツ帯を行くように新たな道が作られていた

こんな感じのハイマツ帯を切り開いた新たな道を行く。ハイマツの幹や根の上を歩くので不安定。濡れているときは滑るので要注意だ

稜線に登り上げたあと、塩見目指して最後の登りが続く。写真右奥が塩見岳の東峰

塩見岳東峰(3,052m)に到着。本日も3000m峰越え。左奥に富士山。山頂に居合わせたご夫婦に撮っていただいた。ありがとうございました

塩見東峰から眺める富士山のアップ

写真中央やや左側が間ノ岳。そのすぐ左奥に北岳。あそこからここまで稜線を歩いてきた。やっぱ山は稜線歩きが楽しい

塩見岳西峰(3,047m)の山頂標は随分と傷んでしまったな。奥が先ほどまでいた東峰

鎖場が続く岩場を下りてきて振り返る。ヘルメット推奨区域

塩見小屋からの下りで遭遇。鹿で良かった

塩見岳を振り返る。午後になると雲が湧いてくる。幸いにして雷雲ではない

本日の宿、三伏峠小屋が見えてきた。塩見小屋からの下りは最後に波状攻撃のように登り返しが何度もあって心が折れる。今日も疲れたよ

三伏峠小屋にはそのまま飲み水として使える水場がない。引水は濾過か煮沸が必要とのこと。小屋では煮沸した水やペットボトルの水を販売しているが、この日は時間的に余裕があったので、ビールを飲みながら持参した濾過器で翌日分の水2.5Lを用意した

この日は4人部屋に2人だったのでゆったりと寝ることができた

4日目:三伏峠小屋~小河内岳、荒川前岳~荒川小屋

三伏峠小屋を4時頃に出発。写真左下の烏帽子岳(えぼしだけ)まであと少し。夜が明けてきて満天の星が消えていき、三日月とその右下に木星と金星が残った

烏帽子の肩に登り上げると黎明のビーナスラインに浮かぶ富士山がきれいだった。写真右が烏帽子岳の後に越えていく小河内岳(こごうちだけ)のシルエット

やっぱり美しい。格別な山だ

写真中央に昨日越えてきた塩見岳。左4分の1に間ノ岳、さらに左に北岳が見える@烏帽子岳山頂(2,726m)

小河内岳へ向かう稜線。前回より崩落が進んでいる。崩落の際を進むのだが、一部ハイマツの中を迂回するようになっていた

小河内岳山頂(2,802m)に着いたらガス。朝弁を食べて待つもガスは取れず

先へと進むも、ちょうど稜線の高さに雲がかかってしまい、眺望が効かない

マツムシソウの季節だ。山は着実に秋が近づきつつある

前方は本日の試練、荒川前岳へと登り上げていく尾根

改装中の高山裏避難小屋まで下りてきた。今シーズンから変わった小屋番さん曰く、「あとは外装だけなので今シーズン中に改装は終わる」とのこと。失礼ながら想像していたよりきれいな小屋だった

荒川前岳への登り返しは、しばらく尾根を巻くようにトラバース路を進む。避難小屋から30分くらいのところに貴重な水。冷たくておいしい。こんなにしっかり出ているなら、三伏峠小屋から2.5Lも水を担いで来なくて良かった。0.5Lくらい濾過してもってくれば、ここで追加できたな・・

トラバース路を小一時間歩いた後は、要塞のような壁を登る。尾根に到達した後にちょっといやらしい尾根筋を登る。短いけど疲れた足にはキツイ。本日も3000m越えだ

尾根を回り込んで荒川前岳の直下を巻いていく。崩落のため荒川前岳の山頂(3,068m)へは現在進入禁止

荒川前岳、荒川中岳、荒川小屋の分岐。小屋方面から荒川小屋の御主人がジョギングで上がってきた。時間があるときは中岳まで往復するとのこと。凄い高所トレーニングだ

写真左が荒川三山の主峰、悪沢岳(3,141m)への登り。今回はパスするが、次回は再訪したい

フェンスで囲まれたお花畑。ガイドツアーの女性10名の団体さんがいた

写真中央は、翌日の試練、小赤石岳と赤石岳の稜線。明日はあそこを越えて下れば百間洞山の家に昼前に到着して休養をたっぷり取れる。写真右下に今宵の宿、荒川小屋が小さく見えている

コキンレイカ(ハクサンオミナエシ)。もう少しで今宵の宿の荒川小屋に到着。小屋のご主人が中岳までピストンして戻ってきた。話しながら一緒に小屋まで歩いてくれた

荒川小屋のテン場の奥にある水場は、2本のホースから冷たい水がドバドバ出ている。人がいないタイミングを見計らって上半身裸になって汗を拭う。顔も頭も水でじゃぶじゃぶしてさっぱりした

人気の小屋なので、この日はほぼ満員御礼状態だった

5日目:荒川小屋~小赤石岳、赤石岳~百間洞山の家

本日は行程が短いのでゆっくり出ればよいのだが、周りにつられて小屋で朝弁を済まして5時頃に出立。小屋前からの富士山のシルエット

山の端からご来光

手前の巻道で大聖寺平へ進み、左側の斜面を登って小赤石岳へと進む

大聖寺平からの眺め。前回はこの斜面で苦しんだが、この日はほぼノンストップで稜線まで登り上げることができた

壁をほぼ登り切った。小赤石岳まで稜線をあと少し

振り返って前日に越えてきた荒川三山の稜線(写真中央)。荒川三山主峰、悪沢岳の左のコル(凹んだ部分)の奥に間ノ岳が見える。あそこから来たんだと自分ながら感激

小赤石岳山頂(3,081m)から赤石岳を望む

一気に赤石岳山頂(3,120m)へ到達。本日も3000m越え。何だか調子がいい。居合わせたご夫婦と取り合いっこ

眼下に静岡県営赤石岳避難小屋。その左側の山頂にもう一つの山頂標がある

こちらが南プス特有の串刺し団子風の山頂標。背後は荒川三山

この角度からの赤石岳避難小屋と赤石岳山頂はなかなか秀逸な眺め

手前の尾根が小赤石岳からの尾根、その奥が荒川三山の稜線、写真中央やや左の最奥に間ノ岳や農鳥岳が見える

赤石岳の大トラバース路を通過中。ここもヘルメット推奨区域。写真ではうまく捉えられていないが、その名の由来となった赤みがかった岩石の斜面

赤石山頂からのトラバース路を下り、大好きな馬の背、百間平の尾根を通過し、百間洞山の家に向けて下る。10時半には小屋についてこの日は安息日。小屋横の沢で汗を拭ってさっぱりし、後はビールでまったり。翌日は正面の稜線を縦走していく

6日目:百間洞山の家~兎岳、聖岳、上河内岳~茶臼小屋

本日は長い行程。ガスガスの中、朝3時過ぎにヘッデンを点けて小屋を出立。百間洞から兎岳(うさぎだけ)の間は、今シーズン熊の目撃が多く、小屋やテン場では数時間に及ぶ徘徊も目撃されている。早朝は熊の活動が活発なので携帯プレーヤーの音量を上げて真っ暗な中進んだ。5時過ぎにガスから太陽がぼんやりと現れた

この日の試練の一つ、聖岳(ひじりだけ)に滝雲が見られた。聖岳にぶつかった雲が稜線を越えて滝のように下っていく現象だ

大沢岳はパスして中盛丸山(なかもりまるやま)、小兎岳(こうさぎだけ)、兎岳(うさぎだけ)とアップダウンを繰り返し、聖兎(せいと)のコルへ下る途中、兎避難小屋の横を通過。4年前にあそこに転がり込んで一夜を過ごした

兎岳からの下りはなかなか厳しい(登る時も)

聖兎のコルから聖岳への約300mの登り返しの始まり。登り返しは自分でも意外なほど順調に高度を稼げた

聖岳山頂(3,013m)に到達。この日も3000m越え。ガスは取れそうにもないので諦めて聖平へと下山開始

聖平と聖平小屋が眼下に見えてきた

聖平も良い空間だ。小屋方面へは行かず、今回の縦走最後のピーク、上河内岳(かみこうちだけ)へと向かう。標高差500mを登り上げなくてはならない。これが最後の試練

蒸しっとする樹林帯を上がってきた。標高差を半分くらい詰めた。稜線に出ると風に吹かれて涼しい。残念ながら上河内岳の上部にも雲がかかっている。着くころに取れてくれるとよいのだが・・

聖平から2時間ほど登って上河内岳の肩まで到達。ザックをデポして山頂へ向かいたかったが、すぐ手前の登山道に新しいクマの糞があったので、ザックを放置せず担いで上がった

上河内岳(2,803m)の山頂。ガスはないけど聖岳や赤石岳方面は雲に塞がれて眺望が効かない

反対側の光景。写真中央下には、明日下山する畑薙湖(はたなぎこ)が見えている。ゴールが見えた瞬間

雲が取れそうで取れない。まぁ贅沢は言うまい。雨に降られず、概ね好天に恵まれて縦走できたのだから。年寄りがよく歩き通したよ。さぁ小屋へ向かおう

竹内門が近づいてきた

奇岩「竹内門」を抜けていく

左側の大岩の模様。白蟻が柱を喰った跡の模様みたい。どうやってできたのだろう?

お花畑と呼ばれる空間まで下りてきた

お花畑から上河内岳を振り返る

お花畑を抜けて斜上して尾根に登り返す

尾根から小屋へと下っていくと、前方の山の斜面にハート形の崩落

最後の小屋、茶臼小屋に到着。目算通り14時半にチェックインできた。蚕だなの上段の6人区画を九州の男性と二人でゆったり使わせてもらった。それにしても百間洞からは遠くきつかった

7日目:茶臼小屋~畑薙ダム

4時20分頃、小屋出発時に最後の富士山をパシャリ。両側の灯りは山梨側と静岡側の5号目の灯りか。この日は九州の方と一緒に下る

ちょっと蒸しっとする樹林帯の下りの途中、気持ちの良いマイナスイオンの風に癒される

3号橋を通過して撮影。5号橋から1号橋まですべてしっかりしている

最後の畑薙大吊橋まで下ってきた。長さ181m。長さの割りにはあまり揺れない。この日は無風で風による横揺れもなし。以前渡った時は、強風で橋が蛇のようにくねくねと曲がって揺れた

先を歩かれているのは九州の男性。私より年配のベテラン

沼平ゲートへ向けて歩く途中。きれいなリフレクション。九州の男性がゲートにデポした自転車で夏季臨時駐車場へ先に向かい、車で私をピックアップして下さるとのこと。ありがたやまです

本日も良い天気。畑薙ダムを渡ったところで男性が車で戻ってきて白樺荘まで送ってくれた。ダムから白樺荘までの約1時間半の歩きを回避できた

今回の縦走は疲れたけど、好天に恵まれてとても気持ちの良い稜線歩きを楽しめた。チャンスをくれた山の神様に感謝感謝!

初日に白根御池小屋まで上がって宿泊するつもりが満室で予約できず、登山口の広河原山荘前泊となり、翌日の熊ノ平小屋までの行程がきつくなった。北岳への長い急登と熊ノ平小屋までのロングコースで12時間強の行程になり、縦走初日から体力を奪われた

どうなることかと思ったが、幸いなことにそれ以降は徐々に調子が上がり、最後まで計画通り歩き通すことができた。ただ、日中は日差しが強く、高温と紫外線にさらされて体力を奪われた(贅沢な愚痴ではあるが・・)

結果的には計画通り歩を進め、到着が16時半となった熊ノ平小屋以外はまっとうな時間に小屋に到着でき、翌日に備えることができた

今回通過した山々は、すべて過去の山行で登った山々だったが、稜線を繋いで一気に大好きな南プスの主稜線を歩き通すことができたことは、素晴らしい思い出となった。縦走のチャンスをくれた山の神様に感謝するとともに、1週間の縦走に快く送り出してくれたカミさんにも感謝。この手のロング縦走はこれを最後とし、これからは2-3泊程度でのんびりした山行を楽しみたいと思う

最後に、茶臼小屋で一緒になった九州から来られたTさんには、下山後に白樺荘まで車で送っていただき、ありがとうございました。おかげで毎日アルペン号の発車時刻まで、ゆっくり温泉と食事を楽しみ、休憩室で昼寝をすることができました。この場を借りて改めて御礼申し上げます

アクセス

甲府駅から広河原へのバス:
甲府駅南口の1番乗り場から乗車。片道2400円、Suica等の使用可。300円の協力金は別途現金で支払い
https://ykbus.jp/information/service_status/service_condition/1417/

畑薙から静岡駅へのバス:
夏季運行している静鉄ジャストラインのバスは8月17日で終了。
8月17日以降は毎日アルペン号が運行中。定員10名くらいのマイクロバス。「まいたび」で要事前予約、片道7000-9000円

基本スケジュール 沼平14:50発、畑薙夏期臨時駐車場15:00発、 赤石温泉・白樺荘15:05発 → 静岡駅前18:00着。
ただし予約者が揃えば発車時刻前でも即出発。白樺荘で入浴・食事後にのんびり休憩していたら発車時刻15分前にバスが来た(汗)。途中のトイレ休憩は申告制で、希望者がいなければ静岡駅まで直行(実際の静岡到着時刻は17時頃だった)
https://bus.maitabi.jp/detail.html?course_no=10275

山小屋

山小屋:すべての小屋で各予約サイトから事前予約が必要
1.広河原山荘(前泊)/12000円(泊、夕、朝弁)。風呂あり、夕飯はステーキだった。朝弁は食堂で食べてOK。包装容器などは回収箱あり。ネットではテン場は休業となっているが、使用可能だった(従来通り旧山荘横)

2.熊ノ平山荘/11000円(予約受付は素泊まりのみ)。現地でカレーの夕食や弁当の提供があった。テン場併設。手が千切れるほど冷たくておいしい沢水あり

3.三伏峠小屋/13000円(泊、夕、朝弁)。水は濾過または煮沸が必要。煮沸済みまたはペットボトル購入可能。テン場併設

4.荒川小屋/15000円(泊、夕、朝弁)。朝弁は食堂で食べてOK。包装紙などは回収あり。テン場併設。水場はホース2本から冷たい水がドバドバ

5.百間洞山の家/11000円(予約受付は素泊まりのみ)。引水がステンの流し台に来ている。小屋横の沢の水は飲料として使用しない方が良いと言われた。テン場併設

6.茶臼小屋/9000円(予約受付は素泊まりのみ。ここだけ現地支払い)。現地でカレーの夕食や弁当の提供があった。テン場併設。ホースから引水が流れっぱなし(飲料用と洗面用別々に)。茶臼小屋のみ枕がない(テン泊用の空気枕を持参した)

日帰り温泉、コンビニ

日帰り温泉:
赤石温泉 白樺荘を利用。600円。10-18時。静岡市葵区田代1110-5、TEL 054-260-2021。ぬるめのアルカリ温泉で気持ち良い。食事処は10:30-16:00(時間変更されることがあるみたい)。かつ丼1200円がうまい。生ジョッキ700円
https://ikawa-shinko.wixsite.com/shirakabasou

コンビニ:
甲府駅前にあり。車の場合は芦安へ向かう途中にメジャーなコンビニ複数あり

コース状況(私の主観です)

注意箇所:
・三峰岳から熊ノ平小屋へ向かう稜線直下の岩場のトラバースは慎重に
・塩見岳東峰の手前にある北股岳と仙塩尾根の分岐への登りはザレ気味の急登なのでバランスを崩さないように。分岐直下は登山道崩落によりハイマツ帯を切り開いて新たな登山道が作られている。幹や根の上を歩くので濡れているときは滑る
・塩見西峰の先から塩見小屋方面に下る鎖の岩場は落石に注意
・高山裏避難小屋の先から荒川前岳へ続く稜線への急登は落石に注意。最後の尾根の岩場は三点支持で確実に進む
・荒川前岳は崩落のためピークを踏めない(入山禁止)。直下のトラバース路を進む
・赤石岳から百間洞方面への下りは上からの自然落石に注意(滅多にないが)
・百間洞小屋周辺から兎岳周辺までは、今シーズン熊の目撃が非常に多いとのこと。また小屋やテン場の周りを数時間徘徊することもあるとか。早朝や夕暮れ時は要注意

歩行タイム(私のログ記録)

<1日目> 歩行時間 なし、休憩 なし、合計 0:00

<2日目> 歩行時間 10:43、休憩 1:57、合計 12:40
広河原山荘 3:48 → 6:15 白根御池小屋 6:29 → 10:53 北岳 10:58 → 11:49 北岳山荘 12:06 → 12:56 中白根山 13:13 → 14:18 間ノ岳 14:26 → 15:03 三峰岳 15:06 → 16:28 熊ノ平小屋(泊)

<3日目> 歩行時間 9:11、休憩 0:31、合計 9:42
熊ノ平小屋 4:52 → 7:55 北荒川岳 8:00 → 9:55 北股岳分岐 10:01 → 10:43 塩見岳東峰 10:54 → 10:56 塩見岳西峰 10:58 → 11:50 塩見小屋 11:56 → 13:32 本谷山 → 14:34 三伏峠小屋(泊)

<4日目> 歩行時間 9:37、休憩 0:33、合計 10:10
三伏峠小屋 3:57 → 4:55 烏帽子岳 5:00 → 6:18 小河内岳 6:35 → 9:22 高山裏避難小屋 9:27 → 9:56 高山裏縦走路水場 10:00 → 13:00 荒川前岳 → 14:07 荒川小屋(泊)

<5日目> 歩行時間 4:54、休憩 0:41、合計 5:35
荒川小屋 5:04 → 5:52 大聖寺平 → 7:07 小赤石岳 → 7:37 赤石岳 7:50 → 7:52 赤石岳避難小屋 8:26 → 9:45 百間平 → 10:39 百間洞山の家(泊)

<6日目> 歩行時間 10:44、休憩 0:35、合計 11:19
百間洞山の家 3:12 → 4:34 中盛丸山 → 6:05 兎岳 → 7:04 聖兎のコル 7:11 → 8:38 聖岳 8:42 → 10:12 聖平小屋分岐 → 12:04 南岳 → 12:49 上河内岳 13:00 → 14:31 茶臼小屋(泊)

<7日目> 歩行時間 5:31、休憩 0:10、合計 5:41
茶臼小屋 4:24 → 6:11 横窪沢小屋 6:15 → 8:22 ヤレヤレ峠 8:27 → 8:56 畑薙大吊橋 → 9:36 沼平ゲート → 10:05 畑薙第1ダム

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