本年7月終盤に大雪山系を3泊4日で縦走した。1日目は旭岳(大雪山)から白雲岳避難小屋へ、2日目は忠別岳を経てトムラウシ山の南沼キャンプ場まで、3日目は藪漕ぎに苦しみながらも双子池を経て、オプタテシケ山を越えて美瑛富士避難小屋のテン場まで縦走した。最終日4日目に、美瑛岳と十勝岳に向かったが、斜面を地吹雪のように這う強風とガスに見舞われ、縦走を途中断念した
今回は大雪縦走で予定していた最後部分のやり直し。美瑛富士分岐から吹上温泉へ下る際にエスケープルートとして使用したルートを登りに使って美瑛岳山頂を目指し、そこから十勝岳へと周回する
まずは前日の移動中に撮影した十勝連峰の山並み。この日は朝10時頃に幌尻岳の幕営地から林道を歩いて下山した。日高町の沙流川温泉で汗を流し、道の駅「樹海ロード日高」で昼食を取った。昼過ぎに日高を出発して、途中、富良野のコインランドリーで洗い物を済ませ、吹上温泉白銀荘のキャンプ場へ移動。16時頃に到着。キャンプサイトにテントを張り、吹上温泉でのんびり
翌朝4時頃にキャンプ場を出立。明けやらぬ空に稜線のラインがくっきりと映し出される。今日もいい天気だ
吹上温泉から緩やかなアップダウンを繰り返しながら、斜面をトラバースするように進み、十勝岳登山のメジャーな望岳台ルートに合流する。途中、徐々に夜が明けていく。美瑛や富良野方面には雲海が広がる。幌尻岳と打って変わって、ひんやりとした空気が何とも心地よい
雲ノ平分岐。ここから美瑛岳方面へ進み、十勝岳を周回してここに戻ってくる
雲海には影十勝が映し出されている
右側のトンガリが美瑛岳。風が冷たく薄手のパーカーを着る
ハイマツ帯の登山道を進むと函沢が現れた。一旦、沢の底まで下って、反対側に写っている梯子を登る
沢底へ下ってきたところ。前回はここを登ったので、さほど気にならなかったが、下りは怖い。斜面が脆く滑りやすい。お助けロープがなかったら滑落するだろうな
ポンピ沢の渡渉ポイント。渡渉後に振り返る。写真中央上部の岩の上にケルンがある。あそこに出てきて、手前の下流へ20mくらい移動して渡渉する。函沢の泥だらけの梯子で汚れた手を洗う
ポンピ沢から続いた樹林帯の急登が終わり、美瑛岳分岐まで来た。前回に下りで使った時は、美瑛富士登山口からこの分岐へと続くルートを下ってきた。今回はここから美瑛岳に直接向かう。稜線に咲く花はイワギキョウとオヤマノリンドウくらい
美瑛岳への稜線に出ると十勝岳の別世界が目に飛び込んでくる。前回見られなかった世界だ
美瑛や富良野と反対側にも雲海が広がっている
ほぼ4時間で美瑛岳山頂(2,052m)。悪くないペースだ。ここで軽い朝食
美瑛山頂から十勝岳。すごい眺めだ。樹木などの緑がない荒野のような光景だ。東北の安達太良山や九州の阿蘇山も似たような山容が広がるが、十勝の異世界も素晴らしい
雲海が何とも言えず素晴らしい。向こうの山並みは日高山脈方面のようだ。ということは、幌尻岳の方から見えた稜線は十勝連山だったか・・
日高山脈方面と反対側には、7月終盤に歩いた稜線。最奥の稜線が大雪山系。左端が旭岳で、中央左の大地のような山が忠別岳、右奥の双耳峰がトムラウシ。そのすぐ左手前にオプタテシケ山。左下へと続く稜線を歩いた。左下手前が美瑛富士
美瑛富士の裏側の麓に避難小屋とテン場がある。そこから美瑛富士の裾を巻くようにしてこちら側に来て、美瑛岳へと登った来たのだが、強風とガスで動きが取れず、裾まで引き返して、今回登ってきたルートへと下った
トムラウシとオプタテシケのアップ。途中の藪漕ぎが酷かったが、素晴らしい稜線歩きだった。つい1か月半ほど前のことだが、とても懐かしい感じがする
一人だけの美瑛山頂を思う存分楽しんだ。さて十勝岳へと向かおう。山頂からは稜線のすぐ左下をトラバース気味に進み、その先で左手の美瑛富士側に少し下る。前方には、遠く雲海に浮かぶ東大雪の山並み
東大雪山系のニペソツ山と左に石狩岳だろうか
お鉢巡りのような稜線を進む。右側は見るからに噴火の跡だろうな
ふっと湧いてきた雲がいい感じのアクセントになっている
稜線から美瑛岳を振り返る。中央やや左がさっきまでいた山頂
中央の尖がりは目指す十勝の山頂ではない。あの奥に山頂がある
草紅葉もいい感じだ
一つ前の写真の尖った山頂に向かう道。この砂礫の坂が登りづらかった。靴が沈み、踏みしめて登ることができない。靴の中に小石や砂が入り込むことはなかった
いよいよ十勝山頂が近づいてきた。この平原を進み、右のピークへと進む
十勝岳山頂(2,077m)。秋晴れの土曜で多くの登山者で賑わっている。多くの人が望岳台の登山口からこの山頂をピストンする
十勝山頂から美瑛岳を眺める。背後に表大雪からトムラウシへと続く稜線
十勝岳の山腹からは噴煙が立ちのぼっている。麓からの遠景でも見える煙だ
十勝山頂からの下り。最初は急斜面の劇下り。岩や石がゴロゴロして下りづらい。下からどんどん登山者が登ってくる。落石させると直撃してしまうので、慎重に下る
急斜面を下りてきた。荒涼とした異様な景色だ
昭和火口(すりばち火口)。背後のトンガリが美瑛岳
十勝岳山頂を振り返る。草も木も生えない山肌
避難小屋まで下りてきた。雲の平分岐のすぐ上だが、前回はガスガスで分岐から小屋すら見えなかった
望岳台ルートを離れ、吹上温泉へと進む。途中の渡渉ポイント
お昼ごろに吹上温泉のキャンプ場に戻ってきた。土曜日なのにキャンパー少ないな
キャンプサイトから十勝岳を見上げる
我が家撤収。夜露でびしょびしょだったテントもすっかり乾いた
吹上温泉で汗を流して、次の俱知安へと移動
前日と前々日の幌尻岳では、暑さで熱中症のような症状に苦しめられたが、十勝はスタート地点の標高が1000m位あること、樹林帯が少なく風が吹き抜けること、お昼頃には下山を完了したことから、ほとんど汗をかくこともなく、気持ちの良い快適な登山だった
幌尻岳に続いて、素晴らしい青空の下で美瑛岳と十勝岳を周回することができ、火山特有の別世界のような荒々しい景観を楽しむことができた。麓の富良野からの十勝連峰の絶景も目にすることができ、大満足な山行となった。感想感謝!
なお、本山行のコースやタイムなどの詳細については、以下の記録を参照されたし